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　8月30日に突如行われたドラマー中村達也の独奏ライブが好評だったため翌日、追加公演が発表された。初回のライブは見ることができなかったが目撃した人たちが皆、口を揃えて「サイコーだった」というので見たくてたまらなかった。しかし全く想像ができない、ドラマーがドラム一つで行うライブとは一体どういうものなのだろうか？
　入り時間から立ち会ったのだが、中村達也の持ち込む機材はブルーが特徴的で打面にしか皮の張られていないバスドラムとライドシンバル。胴の部分の薄いスネア、ハイハットシンバル。黒いタムを台にしてその上に置かれたボンゴ。スネアの左側にはオレンジ色のタム。そして大小音階のついたベルのような吊るされた珍しい楽器？というよりも陶器のようなもの。それとステージに飾られたGIBSONのベース。使い込まれたカウベルのみであった。見慣れない機材はあるものの、想像以上にシンプルだった。
　これらをライブハウスに持ち込み、一つずつセッティングしていく様子に見とれていた。 まずはバスドラムをステージ中央にセットし、そこにライドシンバルを合わせていく。 その角度や高さを何度か調整してドラムセットの形が次々に出来上がっていくのだが、最初の二つバスドラムとライドシンバルのセッティングには特に入念に時間をかけていたように思う。 CLUB QueのPA中村充孝は少々変則的なこのセッティングにそれぞれ集音用マイクの位置を見極め、納得のいく音に仕上げていく。
　リハーサル終了から本番までの時間、物販として使用済のドラムスティックにサインを書き込む。付いた傷一つ一つがかっこいい。(終演後、即完売となっていた。)
現在会場の収容人数を制限してイベントを行っているCLUB Que に用意された席は即完売。コロナ以降スタンダードになりつつあるライブ配信もなく、唯一会場内でだけ鳴らされる音。
　客電が落ちドラムに一つのライトが当たる。そこに姿を表す中村達也を拍手で迎える観客。そしてスティックを振り下ろしたところから始まるノンストップ90分間のライブは五感に訴えかけるステージだった。一挙手一投足が、打楽器でありリズム楽器であるドラムに旋律と感情をもたせて解き放たれる。シンプルな照明の中、暗闇の中に浮かんでいるドラムセットと腕と表情。時折叫び声をあげる。 その頃には観客も私も音の中で一つになっていた。限界まで発せられたその叫び声が途切れると、中村達也の一瞬にして最大の一呼吸が決められた位置に我々を引きあげる。 彼の肺が空気を取り入れるその度に緊張と解放が訪れ会場内の一体感が増していく。ハイハットの音が消える瞬間、次のスネアに触れるまでのわずかな時間、タムの音がまだ伸びている。
全身全霊、一音ごとに言霊というかまさに音霊を感じるライブだ。サイコーだった。

　最後にマイクを持って観客への挨拶や近況報告ライブ予定などを話していたが、前日の京都ライブからの帰り、サービスエリアで遭遇した人物に関しての話題が嬉しかった。
京都で昼夜2公演を行い、さすがに疲れ果て、夜のうちに東京へ戻らず朝まで仮眠をとって帰ってきた中村達也が某サービスエリアで出会ったのはなんと浅井健一(BLANKEY JET CITY)。 『「何してるの？」と話しかけられ一緒に写真を撮ろうと言われ、写真を撮った。「インスタグラムにあげていいよ」と言われたのであげました』とのこと、必見です。(ベンジーのインスタグラムにも上がってました！)
　今後も9/24にHellMeowsBand(TOKIE・中村達也・栗原健)、10/7にSPEEDER-X(中村達也・KenKen)でのライブが予定されています、コロナ禍でなかなか出演バンドがいないライブハウスで たくさんの予定を入れてくれています。Queだけではなく下北以外の色々な都市でライブをやっています、今一番ライブをやっているアーティストなのではないでしょうか？
お客さんにとってのLIVE、ライブハウスにとってのLIVEはまさにアーティストにとってもLIVEだと見せつけられたのでした。

[文：CLUB Que 福田政博／撮影：山中善正]