前日に続きDJブースで林束紗がホットな曲をかけるなか、まずはMerpeoplesの4人が登場。先日発表されたが、残念ながらMerpeoplesは4/5のワンマン・ライブをもって解散することを発表した。解散前のライブとなったこの日、髪を切ったというシャルロットが解散のことを話し、「メトロポリス」からライブはスタート。彼女たちの持つポップなニューウェーヴ感覚とアートな世界観が凝縮されたビートチューンだ。続いて、ダンサブルな楽曲を立て続けに披露。Ikukoのベースに身体が自然と動く。“忘れられない どうして?”のリフレインが頭から離れないコンピ収録の「Tonight」含め、解散する4/5にリリースされるラスト・アルバムに収録されるとのこと。最後はライブで何度も聴いた定番曲「シャーマン」を。Sayakaのシンセが鳴り響き、BPM上げめなテンポに圧倒された。個人的にも本当に大好きなバンドなだけに解散はとても残念だけど、この日もアート感覚を携えたクールなライブに魅了させられた。
海月ひかりがエレピを弾き、歌い出すだけで、一瞬で空気が変わった。彼女の生き様や想いが色濃く反映された曲と詞は、赤裸々に生々しく迫る。コンピ収録の「千鳥橋」は海月ひかりが生まれ育った福岡市にある橋の名前。高校時代に教室の窓から見えていた大好きな風景を、自身の生き様を重ねて歌う。続いてSIONのカヴァーで「俺の声」を、まるで自分の曲のように歌う。そして、「僕の中の小さなカイジュウ」が心にガツン!と響いた。彼女のヒリヒリした青春時代を歌った曲で、ボロボロと涙があふれ出て困ってしまった。海月ひかりは、歌うことや表現することを奪われたら死んでしまうんじゃないか?というような、そんな生命力に突き動かされるように歌う。嘘の無い歌を。
グラマラスでセクシーな衣装に身にまとったRISが登場するだけで、フロアの視線を釘づけにする。「Not a Cat」が始まるとニューウェーブなデザインのギターを手にし、ヴォコーダーをかけたマイクで歌い出す。MCはアンドロイド調。妖艶なライティングでビザール感漂う中、コンピ収録曲の「LOVE CLUB」を披露。RISの音楽性のベースにあるグラム要素にダンサブルな面も打ち出した楽曲だ。サポートの2人を紹介した後はニューロマンティックな楽曲も繰り出される。昨年はVISAGEのオープニングや、SUZI QUATRO来日公演のサポート・アクトに抜擢されるなど注目を集めつつあるRIS。この先、もっと話題になる前に、要チェックです!
アコギを携え、うつみようこが登場。元メスカリン・ドライヴ、元ソウル・フラワー・ユニオン、うつみようこ&YOKOLOCO BANDだけでなく多数の客演参加でも知られる彼女。今回のコンピではメスカリン時代の楽曲をセルフ・カヴァーの新録で提供してくれた。ライブが始まるなり、若干の場違い感を「ドキドキする」というMCで笑いを誘いつつも、歌い出すとソウルフルな本物っぷりに圧倒させられる。「さよなら またね」など自身の曲以外に、ザ・ルースターズの「恋をしようよ」やピストルズの辛辣な日本詞でのカヴァーを交えライブは進む。「今年で50なんですけど、こんな歳まで音楽やるとは、しかも試練の道を歩むとは夢にも思わなかったんですが、ロックやりだしたら、死ぬまでロックですね」と重い言葉を放って、レナード・コーエンの「Hallelujah」で締め括った。
2日間にわたるリリース・パーティーのトリを務めてもらったのはPOP CHOCOLAT。実はPOP CHOCOLATは、Zher the ZOOがオープンした2005年3月、オープニング・イベントに出演している(3/6、POLYSICSとTOMOVSKYのオープニング・アクトとして)。そういう意味でもトリを飾ってほしかった。この日は、3ピースでロックなライブ。Gu/Vo.mihoとDr/Vo.natsukoの不動のメンバーに、Ba/Vo.chisato(シガレットケース)を迎えた編成。オルタナ・サウンドに3人のはんなりヴォーカルが重なるというPOP CHOCOLATらしさはそのままに、新曲も披露。この日、mihoはオレンジ色のテスコのギターを初めて使い、またnatsuko が作った新衣装を3人で着てのライブ。10年という歳月を経ても進化し続ける彼女たちに拍手を贈りたい。彼女たちが京都から上京した頃、Zher the ZOOがオープンし、同年6月にPOP CHOCOLATはUKプロジェクトから初の全国リリースCDをリリースした。mihoが「そう考えると早いというか、怖いというか(笑)」とMCし、コンピ収録の新曲「No request」を披露。少し切ないメロディと言葉が真っ直ぐに届く、そんな名曲が誕生した。「サヨナラの日」で胸の奥がジーンと熱くなって本編終了。アンコールはオルタナ・サウンドの美味しさが濃縮された「ローファイテック」でフロアを魅了して終了。
今作、『HERE COME THE GIRL'ZOO』に参加してくれたバンドやアーティストは、Zher the ZOOではお馴染みの「この10年を語るうえで欠かせないアーティスト」から「向こう10年を担うアーティスト」まで、まさに“GIRL'ZOO”な14組の楽曲が詰まっています。ぜひ、聴いてほしいです。
(文:田代洋一/撮影:田代洋一[RISを除く])
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