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【UKP OFFICIAL INTERVIEW】帰還と破壊、そして新生。BURGER NUDS『BURGER NUDSワンマンライブ[2014.6.21]』後、第一声ロングインタビュー
2014年1月に再結成を発表し、日本のギターロックシーンに衝撃を与えたBURGER NUDS。また再結成と同時に『BURGER NUDSワンマンライブ[2014.6.21]』の開催の発表も告知された。
このインタビューではその『BURGER NUDSワンマンライブ[2014.6.21]』終了後のメンバーに、それぞれ1月から6月、そして現在の心の動向を訊いた。その中で内田武瑠(Dr)が「作ることもそうなんですけど、壊すことと両方やってかないといけないかなって思ってます。」という旨の発言をしているのだが、現在の彼らのスタンスを良く表している言葉なのではないかと感じた。BURGER NUDSのシーンへの帰還と、一度は築け上げたスタイルの破壊、そしてその新生を綴った貴重なテキスト。是非お楽しみ下さい。[取材・文:濱田和人(UKP) / 撮影:横山マサト]
–:復活ライブである『BURGER NUDSワンマンライブ[2014.6.21]』が終了して少し経ちましたが(取材日は7/12)、終えていかがですか? 感想など聞かせてください。
門田匡陽(Vo.Gt):良いことと悪いことが両方あったかなって感じですかね。良いことっていうのは新曲の評判が良かったこと。悪いこと…、悪いっていうか、演奏はもう少し出来たかなって思いましたね。
丸山潤(Ba):感想っていう意味だと、もっと込み上げてくるものとかあるんじゃないかとか、10年ぶりだからもっとガチガチになるんじゃないかとか考えてたんですけど、でも過去こんなにフラットな状態でステージに立ったことないって位の状態でステージに立てて、あんまりセンチメンタルになることもなくやれたなって思います。あと、お客さんに助けられた感がすごくあって。素直にありがたかったかな。僕らのぎこちないMCとかに対しても助けられたし、なんか相互間のやり取りとしては、過去にそういうことがあまり無かったので新しかったなって思いますね。
内田武瑠(Dr):最初に入った瞬間あんなに歓迎されるって思ってなかった。今まではライブやっても楽しいのか嬉しいのか悲しいのかわからないくらい、みんなシーンとしてたから。あんなに目に見えて歓迎されたのは初めてだった。俺はマルジュンと逆でガンガンにアガっちゃってて、もう後先のこと考えずにどれだけ自分がドラム叩けるか、100%、120%をずっとやってた感じかな。あとお客さんの顔を見れたことかな。今までは怖くて見れなかった。バーッって灯りが点いた時に顔が見えて嬉しかったな。
門田:ハツさん(初鹿氏[BURGER NUDS活動当時からのPA担当])が「BURGER NUDSのPAやっててこんなに歓声が上がったことないから、お前らが自分を見失わないかどうか心配だった。」って言ってて。確かにあんなに歓声があったりとかってBURGER NUDS史上一回か二回くらいしかなかったんじゃないかな。
内田:でも初めてじゃない?
–:2014年1月にライブの告知をしてから、当日までの気持ちの流れってどんなものだったんですか?
門田:やっぱり6/21っていうのは少なくとも自分の中で2014年の一番大きな日になるなってわかってたから。うーん、もの凄く楽しみな反面、心を見失わないように出来るだけ落ち着いてって一か月前くらいから過ごしてました。
–:そうだったんですね。ライブ後に今後の事について考えたりは?
門田:今年これからどうやって動いていこうかって話は3人で一回話し合ったんだけど、まだ実感としてふわふわしてるっていうかね。うん。
–:なるほど。丸山さんはいかがですか?
丸山:1月の告知の時には、リキッドでやることに不安があって、不安っていうか半信半疑というか。でもまあ告知後に良い反応もらえたのでちょっと浮かれてました。ただ、その後はライブ云々っていうよりはバンドとしての土台を作るって作業や、昔の感覚を意識しながら、昔のスキルを取り戻したりだとかを5月の途中までやっていたので僕は割と平穏に過ごしてましたけどね。でもよくよく考えると10年ぶりにやるバンドのライブに1000人集まるってヤバいだろって。そのことを考えた時に、生活の中で突然よくわかんない緊張をすることもありましたね(笑)。でも6月に入って、当日まで二週間切った頃には気持ち的には平穏でした。もうその日を迎えるしかないみたいな。で、ライブ当日も平穏、全然緊張もせずにフラットな感じで。こんなんでいいんだろうかってくらいに。面白いもんで10年ぶりの復活と言いつつ、10年という区切りをつけることでBURGER NUDSっていうものにけじめをつけるっていうのかな、そういうタイミングでもあったのかなと思ってて。この先は、過去の曲もあるんだけど、それに頼らず新しいものを作って、新しいスタートを切りたいと思ってます。あんまり復活ライブの日に対して気持ちを置き過ぎず、次の事を考えてるって感じですかね。
内田:俺はライブ前も後もフラットだったかなあ。他にもバンドやってたりするから、結構振り幅も大きいので、あまり考えすぎるとよくわかんなくなっちゃうから。いつもね、あんまり考えないんすよ。ライブの時にスイッチが入って、その時にその時のものが出せたらいいかなって。浮き沈みあったのも本当ライブの時間だけで、あとはほとんど普通でした。あのライブの時はスイッチ入って、フルスロットルで、あとはそのまま出せばいいって考えてました。あまり今の自分を出すとかどうのとかは考えずに、その時はその時のものを出せばいいやって。前準備もそんなにしなかったし、でもリハビリ期間、始めの2、3回のスタジオは戸惑いましたね。BURGER NUDSみたいなドラム叩くことってあんまりなかったし。
–:門田さんと武瑠さんはBURGER NUDS解散後も音楽活動を続けて、丸山さんは一旦離れてと、それぞれの道があったかと思いますが、その各々の活動が今回の活動に反映されたりしたんですか?
門田:俺はそんなに感じなかったかな。Good Dog Happy Menやって、Poet-type.MやってそれをBURGER NUDSに還元するっていうのは全然なくて。その三人でいるって時に、それ以外の要素を持ってこようとしても出来ないんですよね。バンドって一人でやってるものじゃないから。BURGER NUDSってやっぱりこの三人の何かが一致してBURGER NUDSになってると思うし、Good Dog Happy Menもそうだし、Poet-type.Mもそうだし、だからそれぞれが独立してますよね。ただ俺がずっと作詞をしてきて、世界観というか、主人公がBURGER NUDSの曲の中にいたり、Good Dog Happy Menの中にもいたりとか、物語の繋がりみたいなものはあったりするんですよ。BURGER NUDSの時に産まれたこのキャラクターがGood Dog Happy Menではこういうことをしていて、そのあと更に展開したり、群像劇っていうかそういうのはあるんですけど、音楽的にじゃあ何か還元し合ってるかっていったらそれはないかな…。とにかくバーガーを10年ぶりにやるにあたって、三人が一番気をつけたことは「確認」にならないようにというか。リスナーの人が持っている「BURGER NUDSってこういうバンドだったよね。」っていうバンド像に応える為のものになっちゃうっていうのが一番良くなかったから。でね、やっぱり曲を作ってるとそれをやりがちになってしまうんですよ、気持ちが。みんなが思ってるBURGER NUDS像ってきっとこういうものかなーって。それをやっぱりわかってるから、じゃあそれに沿ったものの方がいいのかなって気持ちにもなったりもしたけど、でも武瑠やマルジュンが「そういうものは一切考えずやろうぜ。」って言ってくれたから、今やりたい、かっこいいと思うことだけをやるって考えられるようになったし。今回のBURGER NUDSはさっきマルジュンが言ったように新しいことをやるための形になれたっていうか。10年ぶりの確認じゃなくて。
内田:還元って部分がありましたけど、無意識にしてるものと、意識的にしなきゃいけない部分両方あると思うんですよ。でも多分無意識なものって意図関係なくもう出ちゃってるものもあるのかもしれない。
門田:それなりに重ねてきた自分のキャリア全ての答え、それぞれの活動を凝縮させたものがBURGER NUDSって考えではないかな。それは他の活動も然り。BURGER NUDSはBURGER NUDSでしかない。
–:新曲が2曲演奏されましたが、新曲を発表するアイディアって元々あったんですか?
門田:ライブをやるんならば新曲がないとやらないっていうのは最初からありました。新曲やれないようならライブは絶対したくないって思ってましたね。
–:じゃあ新曲制作っていうのはライブが決まってから取り掛かったんですか?
内田:本格的に進みだしたのは3月4月とかだったよね。
門田:1月2月はスタジオ入ったの1回ずつだったもんね。
内田:ちょっとやってみるかみたいな。その二か月くらいの間に曲作ったりとか、アイディア出しとかやったりしてね。よく考えたら僕らせーので曲作るからもっと前からやっとけよって話なんだけど(笑)。その期間の70%くらいは新曲作りに時間使ってたね。
–:丸山さんはいかがでした?
丸山:新曲を生み出さないと意味がないなって思ってたし、そこは大事にしたいなって。3人とも全然違うベクトルを向いていて、10年ぶりに集まって音を出した瞬間に「おぉっ」ってなるくらい久しぶりだったので、そこから曲作りをするっていうのはリハビリみたいな作業でもありましたね。というのも、バンドとしての一体感を取り戻して、同じ方向を向くには過去の曲を練習しているだけでは中々難しいので。そういう意味でも新曲づくりというのはとても意味のあることでしたね。
内田:でもBURGER NUDSって元々そうだった気がする。曲の練習をするっていうよりは何かを「作る」段階で色々共有したりしてた気がする。
丸山:曲作ろうぜっていって作るわけじゃなくてね。誰かが適当に弾いてると誰かがそれに乗ってきてって感じで。今年の1月に10年ぶりにスタジオに入って、その時作った曲は今回のライブではやらなかったんですけど、その曲を合わせてた時はなんか感慨深かったですね。個人的に。
門田:そう、その一月で三曲作ったんですけど、その三曲っていうのはこないだのライブではやってないんですよ。
–:そうなんですね。
門田:その三曲は良かったんだけどね、なんかもう少し時間かけた方がいいのかなって。
内田:結構漬物的な置き方をしてるよね。味がまだだなみたいな。
丸山:とりあえず放り込むみたいなね。で、時が来たら取り出して。
–:熟成を待つんですね。
丸山:また新しい要素とくっつけたりとか。
–:そういうパターンもあるんですね。
丸山:ありますね。
内田:気付いたら元の形がなくなってることもあるし(笑)。
門田:新曲を作るにあたって気を付けたのは10年ぶりの活動再開だとかっていうことではなくて、『symphony』の次を作ってるってことかな…。
–:地続きなんですね。
門田:うん。そういうことを俺は気にしましたね。10年ぶりの再開だからそういったテーマを歌わなきゃいけないとか、ある意味みんなにわかりやすくしなきゃいけないってことは俺はやめようと思って、単純に『symphony』の次の作品を作る、曲を作る気持ちでいました。
–:一旦解散したバンドが漬物状態で、2014年にまた取り出されたって感じなんですね。
門田:特に『NERD』はそうだよね。この曲は10年前からあった曲なんです。当時のMDをマルジュンが持ってて、「この曲うまくやったら形になるんじゃないか?」って。だから歌詞も10年前に書いたものが殆どですね。だから感傷を込めて作ったわけじゃなくて。
–:『NERD』を今また演奏するにあたって、昔の作品に手を付けるという意味で、色んな部分を整理されたかと思うんですが、そういう作業に対して違和感とかあったりとかしたんですか?
門田:あったあった。発掘されたMDを元に三人で話して、一回俺がビルドアップしたんですよ。でもそれで出来上がったものはキーも違うし、演奏も全然違うしで、それを二人に投げたらあんまよくないって言われて(笑)。
一同:(笑)。
門田:「あぁ、そっか」って思って(笑)。じゃあ『NERD』のメロディと歌詞だけを残して、残りは三人でゼロから作りましたね。だから実はどの『NERD』でもないんですよ。10年前のものでもないし、それを俺がビルドアップさせたものでもないし、三人で作ったものが今回完成した『NERD』で。そういう意味では整理になったのかもしれない。三人のチューニングを合わせるっていう意味では。
丸山:そうだね。あの曲って武瑠はずっと同じことをやってるんですけど、同じことをずっとやるっていう選択をするまでが結構大変で。
内田:(笑)。
丸山:ずっとお互い試行錯誤してて、でもお互いのベクトルを合わせるっていう意味では、その作業はとても貢献しましたね。
門田:あと単純にBURGER NUDSはギターとベースとドラムだけで、かつ俺とマルジュンはそんな色々弾いていないんですね。ナラヤン(楢原英介[VOLA & THE ORIENTAL MACHINE / YakYakYak])が前に言ってたけど、「BURGER NUDSってすごいですよね、トリオで音が本当三つしか鳴ってない。」って。ギターの弦も一本しか弾いてないし、ベースも一本だけだし、武瑠はハットをチーンってやってるだけだし。『鋼鉄の朝』とか本当すごいよね。あの音数のなさ。でも10年前にバーガーやってた時はそれが俺らのマックスだったし、頭の中でそれしか鳴ってなかったんです。でも今はGood Dog Happy Menやって、Poet-type.Mやってきたから色んなものが頭の中で鳴るんですよ。その鳴ってる音をやるのかやらないのかってことが俺の中ですごく大きい。やってしまったのならばBURGER NUDSとしての面白さがなくなってしまうんじゃないかって思うし、引き算の感覚がBURGER NUDSをやってる時の難しさでもあり、楽しい部分でもあり。
内田:俺はもう本当になんも考えてない。やりたいことをやるって感じで。基本的にBURGER NUDSの中で一番大事だと思ってるのは詞だと思ってて。詞が素晴らしいから、そこが壊れなければいいなって思って。後は好きなようにやらせてくれよって。ライブの時とかも(笑)。
門田:そうだね。
–:新曲ってどんどん生まれてきてるんですか?
門田:とりあえず次のスタジオまでに各々ネタを仕込んでこようって事にはなってて、一月に作りかけてた曲もあるし。とにかくスタジオに入ったらアイディアも出てくるので、でも俺たちって最後の一手を入れるのが下手で(笑)。ある程度の所まではいけて、ある程度の形にはなるんですけど、じゃあこれを完成と呼ぶのか呼ばないのかっていう所は非常にファジーな所というか。なのでその辺りに関して、今はみんなBURGER NUDSだけをやってるわけじゃないから、よりセルフィッシュに考えてこうかなっていう風には思ってるんだけど。
内田:新曲を作る時に三人のチューニング合わせようとして、今好きな、今聴いてるもの送りあったら見事にバラバラで。余計わかんなくなっちゃって(笑)。
門田:本当だよね(笑)。
丸山:そんなバラバラとは思わなかったけどね。
内田:俺これはあんま好きじゃないわって(笑)。
丸山:門田は割とニューヨークみたいな感じで。
内田:門田は割とよくわかんないとこから「これいいんだよ。」って持ってくる。ウェーブを作る人(笑)。
門田:結構絞ったんだけどねえ。
内田:そのバラバラさ加減がよりバラバラになって。
門田:今回面白かったな。武瑠はヨーロッパなんだよ。ヨーロッパっていってもイギリスとかじゃなくて、チェコとかユーゴスラビアとか、はたまたヨーロッパじゃないけど南米、アルゼンチンとか。でも俺は分かりやすくニューヨーク縛りで行こうと思ったんですよ。で、マルジュンは割と全世界(笑)。
丸山:北欧が多かったかな。
門田:日本の音楽を一番聴いてたのはマルジュンだったな。
丸山:そうかな?
門田:そうだよ。明らかに。日本の若いバンド聴いてるのはマルジュンだよ。
丸山:いいと思って聴いてるっていうよりは最近どうなんだろうっていう部分が強いかな。
門田:真面目だからね、リサーチも兼ねてそういうことも考えてて。
–:それぞれが好きな音楽持ち寄るって、結成したての若いバンドがやるようなことをBURGER NUDSがやってるって面白いですね。
内田:それしかできないっていうのもあるし、それがやっぱ楽しいっていうのもありますよね。今はまた三人とも知識増えたし。
門田:BURGER NUDSっていうのは元々何人かしか友達がいなくて、BURGER NUDSのメンバーとGood Dog Happy Menのメンバーくらいしか友達いなかったんすよ。でその中で一番音楽の趣味が合ったのがこの三人だった。当時、高校生の時とかに三人がスウェディッシュポップとかUKロックとか好きで、まあUSインディーが好きだったんですけど、そういう共通項があってこの三人が聴いてる音楽がほぼ一緒だったんですよ。BURGER NUDSを組んだその後も三人が好きな音楽は一緒で、それが『kageokuri』くらいまではそうだったんです。三人ともおんなじ音楽が好きだった。それが崩れ始めたのが『kageokuri』以降で。それからは音楽性の方向も違ってきてしまったんですよね。10年経って、今もう一回始めようってなった時に、スタート地点は音楽性が合ってない所から、最初とは逆のスタートなんですよ。そういった意味ではそれがすごく楽しいというか、三人が三人おんなじ音楽を最高と思ってないからこそ、やれる楽しさが絶対あるから。
丸山:昔からそういうコミュニケーションをしてきたから。高校生の時に初めて話した時も「門田君、テープ作ってきてくんない?」って門田にカセット作ってきてもらったりして。バンドもそうだけど、友達関係もまた復活するって意味では今どんなの聴いてるの?って。そういうコミュニケーションの取り方も復活して。音楽性の違いっていうのは、そんなにあるとは思ってなくて。今聴いてるものが違うってだけで。音楽いっぱいあるし、全部に手を出せるわけではないので。三人がそれぞれ聴いてて、お互い聴いてるものをみんなで聴いて全然良くないねってなるんじゃなくて、コアになるものは感じるんです。こいつはこの曲のここが良いって言って聴いてるんだなって。
門田:それはあるよね。確かに
丸山:お互いの芯は掴んでるんですよ。違うジャンルを聴き合うんだけど芯は変わってないんだなあって再確認出来たっていう面もある。
–:『LESSON』も『NERD』もちゃんとBURGER NUDSの曲になってるなあって思ったんですよ。
門田:確かにそうだよね。BURGER NUDSをやろうとしてやってるわけじゃなくて、三人がやるとああいう形になるっていうね。やっぱりみんなが求めてるBURGER NUDSをやるって方向にシフトしないでよかったなあって思う。もしかしたらあざといものになってしまってたかもしれないし…。
丸山:そういう話を一回したんですよ。どういうスタンスで曲を作れば良いのか?みたいな。「これちょっとやり過ぎだよね。」ってところまでやったほうがものとしてはいいものが出来るし。逆に「みんなこういうの好きでしょ。」みたいなものを作ると良くない。これ俺らは好きだけど外から見たらどうなんだろうってものの方がやってて楽しい。
内田:今は知識も増えてきたから「これ意味ないな。」ってことが判断できるし、昔よりうまくまとめる力もあるし、その「意味ないだろ。」ってものをやるのが楽しい。
–:ライブ観させてもらった時、新曲にフレッシュさを感じました。
丸山:これから何ができるんだろうね(笑)。
内田:ね。まあ断片が梅干しだったりピクルスだったりしてるから、それをちょいちょいかじりながら色んなことしてらしくなれればいいかなとは思います。
門田:さっきマルジュンが言ったようなことなんだけど、自分たちで極端だなあって思うくらいの事を恐れずにやり続けていきたいなあって思いますね。置きにいきたくはないね、BURGER NUDSでやってる以上は。ロックって音楽に対して自分が印象に残ってることって、いつもどこか飛びぬけてるんですよ発想が。そういう発想の飛びぬけ方っていうのはBURGER NUDSとってすごい重要なのかなっていうのは、この三人でやってる時に再確認できた。普通に俺がいい曲作って、それをBURGER NUDSでやったところで、それはメインにはならないんですよ。アルバムの中だったらそういう曲あってもいいんだけど。だけどBURGER NUDSの面白さって事にはならないと思う。だからロック的な感情表現の面白さをプラス出来れば美しいメロディが乗っかってて、それに合う詞が乗っかってて。そういうことがもっと濃い純度で出来れば、それがBURGER NUDSの新作だっていうことが言えると思う。何かしらのアティチュードを示すわけでもないし、俺たちはこういう思想でこういうことが言いたいんだってことがあるバンドでもないし。そういう意味ではロックが持ってるちょっと極端なんだけど面白い側面を探っていければなっていう。で、そういうことができるのが武瑠とマルジュンと俺なんですよ。
–:今後、ライブも活動の視野に入ってくると思うんですがいかがですか?
門田:今の段階では待っていてくれる人たちに対して借りしかないから。やっぱり自分たちの新しい音楽性ってものを提示してからじゃないとやってもしょうがないんじゃないかなって思います。
丸山:とてもテクニカルな話で、普通、再結成するバンドって集まってある程度スタジオ入って曲出来てから再結成の告知気がするんだけど、このバンドは1月に告知した段階では何もなかったからね。ちょっと時間かかってるんです。
門田:はっきりわかってるのは『NERD』とか『LESSON』ってその一部でしかないんですよ。今やろうとしてるBURGER NUDSっていうものの核を俺たち三人はまだ掴んでなくて。そこにもう少しハッキリとしたものが見えてきたのなら、その後の段階としてライブが見えてくるっていうか。
–:では当面は制作に専念するようなイメージですか?
門田:とりあえず新しい曲をもうちょっと作って、年内くらいにレコーディングできればいいかなっていうくらい…。
丸山:期間決めて、それをやるためのルーティーンを作って回していけたらとは思います。
門田:BURGER NUDSとしてスタジオに入る前に、二人に対してこういう風に発信しようっていうのを探すのって結構大変なんですよ。ある程度面白くないとやってくれないっていうのもあるし。
内田:そんなことないよ(笑)。
門田:いやー、やっぱそれはそうだよ。
–:バンド内のジャッジの比重も重要なってきますよね。
門田:経験上、誰かが良くないと思っていたらBURGER NUDSは進まないところがあって。うん。例えば自分がすげえいい、自信があるって思っていても、マルジュンがイマイチって思ったらそこからが進まないんですよ。だから…、大変(笑)。
内田:進まないね(笑)。
門田:とにかく進めることが大事って考える人間が一人もいないから大変(笑)。
–:納得いくまでやるってことですよね?
門田:今時珍しく非効率的なバンドだと思う(笑)。スイッチが入ると早いんだけどね、スイッチが入らないと何時間悩んでも何も出てこないから…。
内田:Aメロのリズム一つにしても、(拍を)食うか食わないかとかね。3時間ずっとやってたりするから。で、結局できないみたいな(笑)。本当効率悪いよね。作品を作る上ではそんな風には思わないけど。
門田:いやいや本当効率悪いよ(笑)。
–:門田さんが前に「曲作りは探し物をする作業。」ってことを話していたことがあって、それが印象的で、まさに効率の良し悪しとはまた別の話なんだなあと思いました。
門田:本当そうだよね。探し物をして、結局なにもなかったんだなってこともあるし、探してた物自体なかったんだなってこと結構多いんですよ。「見つかった!」ってなるのは三回に一回くらい。
–:今はBURGER NUDSの「核」がその探し物になってると。
門田:そうですね。その中でももっと詞も演奏もレベルを上げていきたいなあって気持ちもありつつ。
内田:いかんせん昔の曲もあるから、逆にそこを壊す作業も必要なのかなって思ってて。作ることもそうなんですけど、壊すことと両方やっていかないといけないかなって思ってます。
門田:例えば『ミナソコ』と新曲を一緒にやってさ、同じバンドですって言えるようになるかならないかってとこだね。
内田:うん、なんか壊さないとさ、その破片でまた新しいものを作って。じゃないとさ面白くない。壊したいっていう(笑)。「作りたい。」って思う反面。そういうのバーガーには結構多い。
門田:「作りたい。」と「壊したい。」は表裏一体だしね。面白いね、確かにそうかもね。
丸山:この三人で作ると、自分たちが気にしてなくても、なにかしら一貫したものができるんですよね。それは今僕たちが思わないようなアプローチで曲作ったりしても、最終的には同じバンドだよねって言える。なので、さっき言った元々あった曲と新曲を並べた時に感じる不安感とかはあまり気にならないですね。やってる人が同じなんだから大丈夫でしょうって。
内田:そこを信じるのがバンドだと思うしね。
丸山:そう。そういう意味では一貫性というか統一性というか同じ色というか、そういったものは自然と出るなあって。なんだかんだでBURGER NUDSの音楽になっているし、さっき武瑠が言ったみたいに「壊す。」っていう行為の対象には、今までの世界観とか、曲を作るアプローチの仕方も含まれると思うんだけど、そういうことをやったとしてもブレない自信がありますね。
内田:俺ね、額縁作るの好きなんですよ。廃材とかも大好きで。壊してはその破片で組み直すみたいな。そういうモノづくりの感覚に近い。形を決めてしまって動きづらくなってしまうことの方が勿体ない気がして。
–:かなりフレキシブルですよね。
内田:ミュージシャンってみんな無意識に壊しながら作ってるんだと思うんですよ。バーガーも今は「再結成」みたいなのがあるけど、少しでも意識的に壊していく感覚がないとそのまんま戻っていっちゃうから。
丸山:それってね、門田のフレキシブルさが大きいような気がする。割とね、僕らの意見を尊重してくれるんですよ。「お前らが言うんなら俺はいいよ。」みたいな。他の人とバンドやったことないからわかんないけど、そうじゃない人って多い気がするんだよね。要するにバンドメンバーには曲を作るってことに対して役割を求めないバンドもあると思うんですよ。バーガーはそうじゃなくて、みんなで曲作りすることに価値を見出してることがフレキシブルさに繋がってるんだと思う。
内田:門田は俺らの意見をちゃんと取り入れてくれるんですよ。逆に聞き過ぎる部分もあるんだけど。もっと我を出せばいいのにと思うんだけど。でも彼はそこに楽しみを見出してないというか、その中で生まれるものに楽しさを感じているのかなって思う。
門田:や、そっちの方が楽なんですよ(笑)。
一同:(笑)。
丸山:せっかく褒めてるのに(笑)。
門田:一曲に対する責任は、三人同じくらいでいいんだよ。武瑠がやっててすげえ良いなあって思う時って、こんなの武瑠しかやんねえだろって思うし。マルジュンこんなコード進行よく考えるなって思うし。それがやっぱり楽しいし、それが俺にとっての音楽なんだと思う。
内田:結構自分は二の次だよね?
門田:自分は二の次っていうか自分の考えてることが二の次。こういう風に作ってきたんだけどマルジュンがそうじゃない風にプレイしてもそれはそれでいいやって(笑)。
内田:(笑)。当時の俺は、そういうの考えてなかったかも。今思えば門田は、「委ねる」とか、「みんなで作る」ことに重点を置いていたんだと思うけど、俺は意識してなかったなあ。
丸山:そういうバンドじゃなかったらまた新しく始めようってならなかったかもね。
門田:そういった意味では稀有なバンドだと思いますよ。たまに俺が仕切った方がいいんじゃないかって悩む時もあるけど(笑)。だけど今回BURGER NUDS再結成して、あれだけの人が待っててくれてるなんて本当に思ってなかったんですよ。だからこないだのライブに来てくれた人にとっても感謝しています。そういう人たちの期待をいい意味で裏切っていけるように頑張っていきたいですね。