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【UKP OFFICIAL INTERVIEW:きのこ帝国】「フェイクワールドワンダーランド」リリースインタビュー
【UKP OFFICIAL INTERVIEW:きのこ帝国】「フェイクワールドワンダーランド」リリースインタビュー
10/29にきのこ帝国の2nd AL「フェイクワールドワンダーランド」がリリースされた。前作「ロンググッドバイ」から約10か月。その歩みは止まることなく、2014年の名盤の中に名を連ねることが出来る会心の作品が届いた。今回は佐藤(Vo.Gt)に今回の作品について話を訊いた。[取材・文:濱田和人(UKP)]
―:UKオフィシャルサイトのインタビューの登場は初ということで、よろしくお願いします。
佐藤:よろしくお願いします。
―:ニューアルバム「フェイクワールドワンダーランド」聴かせてもらいました。とてもかっこいい作品が生まれたなあと思っているのですが、完成して手応えっていかがですか?
佐藤:面白いものが出来たなあっていうのは思ってて、結構今までに比べてメロディアスな曲が多く入っていて、聴いて口ずさんだり出来るような、こうちょっと身近な温度感のものが詰まってるのかって思います。
完成させることに毎回精一杯で、作り終わってすぐは「やっと終わった」感覚の方が大きいですね。半年とかしばらく経ってから改めて良い作品だなって思ったりすることはありますけど。
―:まだ制作の余韻みたいなものが続いてますか?
佐藤:そうですね。出来上がってすぐっていうのは実感がなかったり、あんまり手放しに喜んだり出来るモードではないけど、リスナーの耳に触れてから実感が湧いてくるのかなあって思います。
―:今回サウンドメイクの部分がより緻密になった印象を受けたんですね。実際に作業していた時はどんな感じで進んでいったんですか?
佐藤:メロディの軸が強い曲が多かったので、そこに導かれるままにみんなアレンジしていったと思うんですけど、レコーディング現場でのテンポ感っていうのは、結構とんとん拍子というか。私たちの中でゴール地点があらかじめ決まってて、そこに向かって作業していく流れだったので、途中で止まったりだとかっていうのはなく、スムーズに進んでいって、その中で特にドラムとかは楽しみながら音作りとかしていったんじゃないかなっていうのがありましたね。ライブとかで演奏重ねた曲っていうよりは、今回出来立ての曲をスタジオで完成させていく作業が多かったので、フレッシュな気持ちで演奏に取り組めて、音が凝り固まらずにそれぞれの曲に合ったニュアンスで表現できてるのかなって思います。
―:曲が揃ったからじゃあアルバム作ろうって事だったのか、それともキーになる曲が一曲あって始まったのか、アルバム制作のきっかけになるスタート地点ってどんなものだったんですか?
佐藤:後者の形になるんですけど、今年2月のワンマンライブで演奏した「東京」という曲が最初に出来て、その曲のパワーが自分達でも感じられるくらい大きくて、そこからアルバムを形作っていくんだろうなあってうっすら自分の中にもあったし、メンバーそれぞれにも芽生えてた気持ちだと思うんですけど。「東京」っていう曲が軸としてあったので、ある種の安堵感というか、次のアルバムはきっといいものになるんじゃないかっていう予感はあって。「東京」が出来ていたのは気持ち的には大きかったですね。
―:「東京」という曲の存在が軸になってたんですね。
佐藤:アルバム作るにあたって伝えたいことが一番良く出てる曲だなと思っていて、言いたいことを全部言い切っちゃったじゃないですけど、そんな曲だなと思っています。
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―:今回のアルバムって日常のふとした一部分の切り取り方がとても細かく表現されているように感じたんですけど、「みかん」って単語がさりげなく出てきたりとか。
佐藤:はい(笑)。
―:(笑)。かわいらしい響きがいいなあって個人的に思ったり、意外だなあって思う部分もあったりしたんですけど、今回作詞の部分で心掛けた部分ってあるんですか?
佐藤:最初の頃は真っ直ぐに感情の吐露だったり、怒りとか悲しみとか喪失感っていうものをそのまんま表現していた感じなんですけど、「ロンググッドバイ」のあたりではもうちょっと詞的な表現を試みたいと思うようになって、そういう作品に出来たと思うんですけど、今回は直接的な感情の吐露とかじゃなく、詞的なものでもなく、もっと身近な言葉ですっと人の耳に入ってきて、共感したりできる言葉がいいなって思っていて、なんかそれって結局、音楽始めた頃、曲作ってた頃に純粋な気持ちで書いていた言葉がまさにそういう表現だったりして、さっきの「みかん」って言葉が入ってる「ラストデイ」は高校生の時に書いた曲で、最近書いた歌詞じゃないんですけど、遡って改めて聴いてみると「ああいいな」って思う表現があって、そこに敢えて立ち返るっていうのが自分の中でいいこと事のような気がして。なので今回は素直に表現をするっていうことを意識して歌詞を書きました。
―:そういったモードになったきっかけってなんだったんですか?
佐藤:ここ最近、音楽で自分が何をしたかったのか、何になりたかったのか、どういう表現がしたかったのかっていうのを初心に立ち返って考えることが増えてきて。、私は自分の近くにいる人ともあんまり心の交流が計れなかったりするタイプだったので、音楽そのものにすごい救われてたんです。音楽をやることで、歌を歌うことで、他者との繋がりが持てる。自分とは全く違う人間と関わり合うことが出来たら、人生で音楽をやっていく意味があるなっていう風に、最近また特に改めて痛感したんです。そういう中で変に意地を張らないでちゃんと人に曲を届けることをしっかり丁寧にやっていきたいなって思って。そう思ったのがきっかけになって、歌詞の表現だったり、メロディの載せ方も、今回は特に変わってきました。
―:一方でインスト曲が二曲収録されていますけど、この意図っていうのは?
佐藤:メンバーの遊び心みたいなものも入れたいなって思って。イメージ先行なんですけど。「24」とか元々原型があったトラックを再現して、「Unknown Planet」はスタジオでゼロの状態からMTR回して、3時間で作り上げた曲だったんです。アルバムとどう調和させようかって考えた時にすごい悩んだんですけど、入れどころによっては浮いちゃうなって感じてたので。でも「あるゆえ」っていうちょっと異質な一曲があるんですけど、その前後に挟む形で置いたら際立たせるための要素にちゃんとなったので、これはこれで効果的だったかなって思っていて。レコーディングの時は、単純に遊び心っていうニュアンスでやりましたね。
―:インストが入ることで、サントラみたいな雰囲気も醸し出してますよね。
佐藤:中盤は不思議な感じですよね。
―:きのこ帝国らしさから外れて、また違った一面が表現されているというか。
最後に収録されている「Telepathy/Overdrive」なんですけど、以前に同名の企画がありましたよね? 何か関連してたりするんですかね?
佐藤:はい。なんか響きがいいなあってずっと思ってて、企画者の人に「響きが良い言葉ですよね。よかったら曲にしてもいいですか?」って確認取ったら、「全然いいよ」って言われたので、それで書こうと思ったんです。イベントタイトルが良くって、それに引っ張られて作った曲ですね。
―:外からの影響で曲が出来たりもするんですね。
佐藤:結構、本とか映画とかから影響受けたりはしてますね。「ヴァージン・スーサイド」っていうコッポラ(ソフィア・コッポラ)の映画を最近観て、高校生の時とかって意味もなく「死んでもいいや」みたいなネガティブな感情を抱えてたなあと思って。そのころを思い出して曲を書いたんですけど。そういうきっかけで曲を書くこともありますね。
―:過去の曲も収録されているという事ですが、今作に入れようと思ったのはどうしてですか?
佐藤:「東京」が出来たり、他の「Telepathy/Overdrive」とか「疾走」とかが出来ていく中で、今回開けたサウンドの作品になるんじゃないかなって予感があって。その中でもしかしたら今までの雰囲気だったら入れられなかった曲が今回の作品の中だったらフィットするんじゃないかって思って、色々掘り出して「You outside my window」は今回の作品にも合うし、合いつつなんだけどちょっと違うカラーも添えることが出来るんじゃないかって思って入れました。
―:新旧の曲が同じ作品の中に並ぶということで、音像に対するビジョンみたいなものってあったんですか?
佐藤:特にはなかったですね。今までと確実に違うポイントはライブの昂揚感っていうものよりかは、単純に曲の良さ、メロディの良さ、詞の入ってくる感じっていうのを一番重視して書いたというところで。なので、まず第一に曲があって、サウンドはそれに付随してくるイメージ。メンバーそれぞれのプレイのスキルが上がったり、引き出しが増えてるっていうのもあって、色んな表現が出来るようになったのかなとはすごい感じています。
―:今回のアルバム制作を通じてメンバーそれぞれの変化など、佐藤さんから見ていかがでしたか?
佐藤:単純にレコ―ディング作業に慣れてきてるんだなっていうのがまずありますね。結構和やかな楽しい雰囲気でやることが出来るようになってきていて、それがすごく音にも表れていると思います。
―:前作「ロンググッドバイ」が2013年12月のリリースで、今作までの間が約10か月ありましたが、アルバムへの意識はどのように育まれていったのでしょうか?
佐藤:自分としては8月とか9月頃にアルバム出したいイメージで考えていて、曲も作りたいなって思っていたんですけど、今年の前半はカナダに行ったり、割とバタバタしてて、ちょっと制作が自分たちの中で後ろ倒しになってしまった所があって、リリースの形自体もどういう形になるかっていう部分で二転三転してしまったので、なので今回10月っていうのは自分の中では遅くなってしまった感じなんです。でも逆にじっくり、どういうやり方がいいか話し合って、先行シングル出して、効果的なやり方が出来たかなっていうのはあります。でもアルバムの制作自体は急ピッチだったところがあって、曲がこうポンポン出来るタイプではないので、結構ぎりぎりにバーッと書いた曲とかもあるので、メンバーはがんばってアレンジしたり大変だったと思います。
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―:来年にはツアーも控えてますね。
佐藤:基本的には体力作りをしていこうねってみんなで話してます。
―:今作の曲はもうライブでやっていたりするんですか?
佐藤:今思うと結構やってますね。「あるゆえ」以外は。レコーディング終わってその後のイベントとかではちょこちょこやってたりしますね。
―:新曲演奏した後の反応っていかがでした?
佐藤:「東京」の反応はやっぱりものすごく大きかったですね。あと「クロノスタシス」はこれまできのこ帝国がやっていた曲と毛色が違うっていうのがあって、お客さんもにやにやしながら「面白いことやってるな」みたいな感じで結構ノリノリで聴いてくれたりして、いい反応みたいだったのでよかったですね。
―:「クロノスタシス」ってBPMが特別速いという訳ではないんですけど、心地が良くって踊れる曲ですよね。
佐藤:そうなるといいですよね。
―:アルバムの中で一番好きな曲です。
佐藤:嬉しいです。
―:MVもワンカットで収録されたということで、内容も独特でしたよね。撮影の時ってどんな感じだったんですか?
佐藤:完全に通行止めにしたってわけじゃなくて、一般の方とかも歩いてはいたんです。そっちを見ちゃうと画に出ちゃうのでそこに気を取られないようにしてましたね。
―:大変だったんですね。「クロノスタシス」はライブで聴くの楽しみです。今は制作終わったばかりで、まだその空気感が続いてるというお話でしたが、新曲とかってもう作り始めていたりするんですか?
佐藤:新曲は割と作ろうとしていますね。曲のかけらを宅録したりしてます。
―:10/29に新作「フェイクワールドワンダーランド」のリリースがあって、これからもきのこ帝国の新しい音楽、新しい面に触れるリスナーが増えると思うのですが、アルバムに対する佐藤さんの想いを聞かせてください。
佐藤:聴いてみて気に入った曲とかがあったら口ずさんでもらえると嬉しいですね。はい。……だめですか?
―:(笑)。そんなことないっすよ。
佐藤:自由に聴いてもらいたいなあって思います。
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【取材終了後】
―:佐藤さんってコンドル(CONDOR44/現 44th music)好きなんですよね?
佐藤:そうです。え、なんで知ってるんですか。
―:なんかで読んで知ったんですよ。そうなんだ!って思って。
佐藤:「Good Bye 44th music」がすごく好きで。いいアルバムですよね。今名前変わっちゃいましたよね?
―:44th musicになりましたね。
佐藤:そうそう。なんでだろうって思って…。
―:前に佐々木さん(44th music/Vo.Gt)に聞いた時は「なんとなく」って言ってましたけど、真偽のほどは定かじゃないっす。
佐藤:コンドルの話になると思ってなかったです。なんかUKのインタビューっぽい!
―:(笑)。自分もコンドル昔から好きなので。ちょっと戻りますけど「フェイクワールドワンダーランド」全体の空気感ってコンドルの作品に通ずるものがあるなあって勝手に思ってたんですけど。
佐藤:ああー、私どちらかというと「ロンググッドバイ」の方があると思ってて。「Hush&Vane」あたりの感じというか。海感っていうんですかね?
―:なるほど。海感。なんとなくわかります。おもしろいすね。
佐藤:さっきのインタビューより盛り上がってますね。
―:(苦笑)。
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きのこ帝国
2nd Full Album『フェイクワールドワンダーランド』
2014年10月29日(水)発売
UKDZ-0159、¥2,800(税別価格)
DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT inc.
01.東京
02.クロノスタシス
03.ヴァージン・スーサイド
04.You outside my window
05.Unknown Planet
06.あるゆえ
07.24
08.フェイクワールドワンダーランド
09.ラストデイ
10.疾走
11.Telepathy/Overdrive
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【CITY GIRL CITY BOY】
2015年1月15日(木)大阪・梅田CLUB QUATTRO
OPEN 18:15 / START 19:00
前売 3500円(D代別)
お問い合わせ:GREENS(06-6882-1224)
http://ukproject.com/calendar/6606/
2015年1月21日(水)東京・赤坂BLITZ
OPEN 18:15 / START 19:00
前売 3500円(D代別)
お問い合わせ:VINTAGE ROCK std.(03-3770-6900)
http://ukproject.com/calendar/6607/
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【インストアイベント】
2014.11.08(SAT) @タワーレコード渋谷店 B1F「CUTUP STUDIO」
きのこ帝国「フェイクワールドワンダーランド」発売記念インストアイベント
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きのこ帝国HP
http://www.kinokoteikoku.com/
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