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【UKP OFFICIAL INTERVIEW】BIGMAMA 金井政人「ワンダーラスト」リリースインタビュー後編

BIGMAMAが12/17に東海地区限定シングル「ワンダーラスト」をリリースする。
今回、東海地区限定リリースというこれまでになかった形態でのリリースとなった今作。インタビュー後編となる今回は、バンドが2014年をいかに過ごしてきたのか。金井政人(Vo.Gt)が語る「本気」という言葉の中に込められた意味、今年の総括とこれからのBIGMAMAの「野望」をじっくり話してもらった。[取材・文:濱田和人(UKP)]


インタビューの前編はこちらから→http://ukproject.com/column/2014/12/7077/


―:「ワンダーラスト」のリリース発表後の反響って大きかったですよね。

金井:適度な賛否両論感(笑)。

―:(笑)。その反響っていかがでした?

金井:SNSでその地域の方はすごく喜んでくれたし、地域以外の方は戸惑ってるってことはわかりますけど、今回縁があった人たちに対しては気持ちを伝えたいし、届けられなかった人達に対しては「ごめんな、ごめんな」って思いながら。でも東海地区以外の場所でもその場所場所で特別な曲であったり、そういうチャンスっていうものは自分で作っていくものだから、例えば大阪だって、北海道だって、そこで自分が必死になって、きっかけ作ってインスパイアされて曲作って、また何か産みにいかなきゃって思うし。それに対してBIGMAMAは短い旅路のバンドじゃないと思うし、また長い歴史の中で、また別の土地でまた新しい特別なものを作れたらいいと思うし。長い目で見て欲しいなと思いますね。

―:このリリースも種蒔きの一環という役割もあるんですね。

金井:一つそこで生まれたものに対して自分たちなりの還元の仕方というか、それを結晶化させる、形にするっていうことをやってみるってことのチャンスをもらえてラッキーだな、嬉しいなって思いましたね。その地区で育ったものを形にして、その地区で出すっていう。つまり他の日本の地区に対して、東海地区がBIGMAMAにとってどういう場所になるかって事を僕も楽しみにしてるし、BIGMAMAのツアーで名古屋2デイズとか会場大きいところでやるとかすごく面白いだろうし。それぐらいの遊び心というか。遊ぶにも全力でっていう、そうなってくるのが理想ですね。

―:「遊ぶにも全力で」っていう部分すごく大事にされてますよね。先日のハロウィンのイベント(AKASAKA HALLOWEEN 2014「ROCK’N HALLOWEEN」の出演時、BIGMAMAメンバーは全員ゾンビメイクで登場した。)に出演された時もすごかったですよね。

金井:大人が本気出して遊ぶとこうなるんだぞっていう(笑)。

―:(笑)。

金井:中途半端になるのが一番怖いっていうか。なにをするにも。一生懸命やって失敗するのは許されるとは思ってないですけど、自分としては後悔はしないなって。失敗が許される年齢じゃなくなってきてるので、常に怖いんですけど、それよりは「未遂」が怖いっていうか。やらない後悔が一番怖い。で、この仕事ってやらないって事を選ぶと他の人がやっちゃうんですよね。取っちゃうんですよ、その場所を。その時は誘ってもらったイベントだったんですけど、ハロウィンのイベントだったってことを出演決まった後から認識したんですよね。ステージっていう一弾上の場所に立つ人間として、クオリティの高いものを用意してその場に立っていたいっていう話をしたんですよ。でもバンドに5人もいて仮装ともなるとやたらもめるんですよ(笑)。「おれはこれがいい」とか「別にそういうの興味ない」とか「え、ハロウィンってなんだっけ」とか。もうハロウィンの解釈とかめんどくさいんですよね(笑)。そんなこと思いながらゾンビに落ち着いて。

―:実際、仮装のクオリティすごいことになってましたよね。

金井:BIGMAMAのメイクとスタイリングをやってくれている方に相談して、当日謎に会場一番乗りしましたよね(笑)。今って音楽制作に関して自由に好きなことをやらせてもらってる感覚が僕にはあって、バンドのみんなもそう思ってくれてるといいなって思うんですけど。好きな音楽作ってるんですよ。誰かの顔色伺ってるわけでもなくて。自分がかっこいいって思える、素敵だなあって思えるものを10年先も出し続けていきたい、そのまま棺桶入っても大丈夫な音楽を今自覚的に作っているんですね。それを共有する「ライブ」って場所はみんなと一緒に作るものだと思っているし、チケット代払って遊びに来てくれた人が全力で楽しめていい体験というか、良い一日だったなって思ってもらえるようなことに全力を尽くそうと思えるようになってきてて、常にっていうよりは、「その日がハロウィンだった」とか「その日がクリスマスだった」とかライブハウス以外にも普通に家でテレビ観たり、ディズニーランドいったりしてもいいかもしれないし、映画観に行ってもいいかもしれないし、色んな選択肢がある中で、ライブハウスを選んでくれたってことに対して、自分なりに全力で応えたかったんですよね。今年に関してはBIGMAMAはほぼすべての行事をやってしまったんじゃないかってくらいオファーが来て(笑)。でもそれって多分僕のそういう想いをお客さんであったり、イベントを作る人が、感じ取ってくれたのかなあと思うし。僕らの音楽がいつ何時も勝手にフィットしていくというか、色んな所で鳴らせる音楽が作れてるんじゃないかっていう風に思ったり。その特別な日にその場所を選んでくれた人に対して自分が何ができるんだろう、バンドが何ができるんだろう、そういう事に対してBIGMAMAってバンドがオープンな気持ちになってきたんじゃないかな。それはただ単にオープンな気持ちだけじゃなく、多分今自信もって音楽やれているし、曲も作れてるんですよね。借りにどんな恰好してても「これカッコいいでしょう?」って。ちょっとずつですけど余裕も出てきたんじゃないかなって思います。「これはこの状況でこうじゃなきゃかっこよくないでしょう」みたいな条件みたいなものが自分達の中で壊せていってる、少しずつ余裕が生まれてきているような。

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―:BIGMAMAは大晦日まで休むことなく濃密なスケジュールとなっています。まだ一か月以上残していますが(取材日は11/17)、改めて2014年ってBIGMAMAにとって金井さんにとってどんな年でした?

金井:うーん…。換気? 空気の入れ替え。空気の入れ替えを良くしようってやったのが「Roclassick」であり「Roclassickツアー」でしたね。今まで作ってきたアルバムの中で「君想う、故に我在り」って唯一特殊なアルバムだったのかなって。「Roclassick」よりも。僕の見解なんですけど、自分の表現欲求を突き詰めたが故に、僕の内省的な部分をフィーチャーし過ぎたなって今では思っていて。し過ぎたというかそういう作品になってしまったなって。「君がまたブラウスのボタンを留めるまで」から「君想う、故に我在り」に向かう流れ、曲作りがバンドの嗜好、向いてる向いてない、こういうバンドであるべきだみたいなことから、僕のやってみたかったことを追及して形にしたイメージ、僕のパーソナリティに寄った感覚があって。その後に「Sweet Dreams」が出来たんですね。そのタイミングがまさに換気のタイミングだったかもしれない。自分が書いた曲で僕以外のメンバー4人の良さを引き出せたり、その時点での完璧な曲が書けたと思ったんですよね。バンドにおける自分の好きな部分を1曲にまとめるとこういう曲になるっていうか。この「Sweet Dreams」って曲が軸になった途端、結構色んな考え方というか、自分の中で風通しが良くなったんです。「君想う、故に我在り」を作ってた時に自分の感じてた違和感っていうものが、結果として自分のパーソナリティに寄ったもので成り立っていたんだなあと。今までに比べて。今BIGMAMAってライブハウスの現場とか、フェスとか、何千、何万のお客さんを前にした時にやってることってそこまで内省的な事じゃなかったんですよ。より「バンドってかっこいいでしょ?」「音楽って楽しいよね」っていう所を引っ張り上げることが、今一番自分たちがこの年齢でライブハウスで演奏を楽しむ、ライブを楽しむ、作りたいものを作るって思った時に、ちょっとだけ軌道修正が必要だった。それにこの一年を使ったのかなって思います。「Roclassick2」が今一度ライブハウスを意識して作ったアルバムだったんですね。今まで作ってきた曲に比べると。やっぱり「Roclassick2」のツアーって楽しかったんですよ。それはもうちょっと歳を取ってからゆったりした曲であったり、アコースティックだったりっていうものにどんどん踏み込んでいけばいい、今やっていくものの主軸として僕らは「ロックバンド」であること、バイオリンが弾けるメンバーがいること。っていうものを今一度全力でやる。それが「Sweet Dreams」以降に入ったスイッチで、それが「Roclassick2」であり、今の制作にも繋がってきてるんですけど。それが今年一年間どういう風に過ごしてきたかっていうことが、自分の中での換気、空気を入れ替えるって事だったかな。これから来年、再来年に一番いい状況で挑んでいけるんじゃないかなって。今本当にいい空気で曲たくさん書けてて。もう余るくらい書けてて勿体ないくらいに。しかもどれも似たような曲じゃないっていう自信があって。それを僕だけじゃなくて、メンバーも割と自信満々に「うん」って言うと思うし。

―:さっきの言葉を借りるなら余裕が生まれてきたと。

金井:余裕もそうですけど「自信」ですね。

―:「君想う、故に我在り」制作時に自身の内面に寄り過ぎていたって事だったんですけど、それを改めて感じたきっかけってなんだったんですか?

金井:あのアルバムでツアーを回った時に鳴らしたいサウンドがもっと広い会場、ざっくり言えばホールとかアリーナとかに似合う曲がアルバムの中に多かったなあって。自分たちがライブハウスでツアーを回って、その熱気で汗かきながらやる楽曲に少し違和感があったのかも。今思うと。その常々で反動ってあって、こういうツアーでこういうライブだったから、次はこういう曲書こうっていう。また今年の話になりますけど、去年は「君想う、故に我在り」のツアーがあって、もう一度ロックバンド然としてる事をちゃんとやりたかったんですよね。その中でただそれをやるんじゃなくて、誰にも真似できないことをやりたい。誰が見てもかっこいいと思えるものをやりたい。目標で言うとすごい大ざっぱなものかも知れないけど、それをどんどん模索していく、形にしていくことを今年ずっとやってきたことで。この一年って傍から見たら常に動いていたように見えたかもしれないけど、ずっと油を引いてるような、見えないところでも活動していたので、今は油を引いて、来年に鉄板が出てきて、再来年には大炎上みたいな。炎上って言葉良くないのか(笑)。

―:(笑)。

金井:花火が上がってるんだと思います(笑)。

―:なぜ油を引いたのか、どうして鉄板を引いたのか、花火の理由がこれから証明されていくんですね。

金井:ちょうど引いた油が温まってくる頃だと思います、今。

―:「油を引く」とか「鉄板を出す」とか表現が独特ですよね。実は今肉食べたいとか?

金井:(笑)。ここ来る前にくいしんぼう(下北沢のハンバーグ店)をチラ見してきたんですよ。

―:(笑)。僕が思ったことなんですけど、2014年の12月に新しい曲がリリースされるってバンドのアクションとしてとても素敵だなって思ったんですよね。「来年なんかあるぞ!」って思えるし、2015年のBIGMAMAへの期待が高まるというか。

金井:それ僕も同じ事思っていました。「Roclassick2」出してツアー終わって、リリースの予定がないのって実は寂しかったんです。フィジカルで、盤で何かを出すってことが今回のZIP-FMのオファーがなかったらまた形になってなかったかもしれないし。でもチャンスをもらえていい曲だし出そうよっていう風になったことって、自分の中で嬉しかったな。

―:リリースするバンドのアクション、姿勢っていうのはリスナーにも届いてますよね。東海地区以外の方にも。それはこの後の期待感にも繋がると思いますし。盤が買えない悔しさもあるとは思うんですけど。

金井:本当にごめんなさい…(泣き顔)。

―:(笑)。

金井:でも自分達が作った音楽が届けられるって事は変わらず嬉しいです。形になって世に送り出すことが出来る。誰かの人生の一部になれる。所有物になれる。そういう感覚は未だにドキドキするし、それによってバンドが、自分が変われるんじゃないかっていう気持ちを持てることってモチベーションにもなるし、それによって続いているって部分もあるし。

―:ちなみに2015年に起こすBIGMAMAのアクションというのは?

金井:BIGMAMAにとって、金井政人にとって今までで一番インパクトがあって、他の誰にも真似できない音楽がお聴かせできると思います。その音楽を実際にライブ会場もそうだし、それ以外の場所でもテレビでもラジオでも場所を選ばずに人が聴いてくれるなら、観てくれるならそこに立っていこうと思ってるし。体が空いていて誰かが誘ってくれれば出来るだけそこに行きたいと思うし。そういう事を重ねていけばもっといろんな人が気付いて、見つけてくれると思うし、BIGMAMAってバンドに出会ってくれるんじゃないかって思うし。今まで好きだった人はさらにビックリしてくれるんじゃないか、驚いてくれるんじゃないかっていう準備をずっとこの一年間続けてきたので。だから来年はとにかくライブもたくさんしたいし、曲もたくさん披露したいし、別に休みいらないし。休んじゃうと僕腐っちゃうんで(笑)。

―:(笑)。

金井:今までで一番活発な年にしたいなあって。期待して待っていて嬉しいなって思います。

―:なんか話してて思ったんですけど、金井さんが一番楽しそうですよね(笑)。

金井:ですね。それが楽しみで生きてますから(笑)。

―:「ワンダーラスト」のお話の時に「曲が完成してから共有できた」っていう部分とちょっと似てますよね。最初はパーツなんだけど組み合わさって初めてわかる感覚というか。このインタビューもパーツのひとつで、金井さんはあの時このこと言ってたんだなっていうの後々わかるんだろうなって今感じましたね。

金井:伏線張るの好きなんですよ。「ワンダーラスト」も伏線というには形になりすぎてもう入口くらいの曲なんですけど、その入り口に入ってみたらジェットコースターみたいな、光り輝いてるって思っていたら、いきなりどん底みたいななにこれ!みたいな(笑)。

―:(笑)。このテキスト読んだ方も金井さん何か企んでるんだなっていうのがわかりますよね。お話伺っていて金井さんが自分に興奮したりワクワクしてるのがすごく伝わってきますよ。

金井:早く聴いてほしいですもん。まあでもじきにわかるさっていう。これからはBIGMAMAが有意義に活動していくための準備をすることが僕にとって当たり前のことなので。その準備として鉄板に油引いて熱々の状態で来年を迎えて、後は曲を放りこむだけっていう状況まで持っていくだけです。そこまでにすごく集中して全力でいい準備が出来ているので、仕上げる最後まで油断しないように。BIGMAMAが楽しくなかったら自分の人生楽しくないんで。それが素晴らしくなかったら、僕が素晴らしくないので。そういう意味でもドキドキして待っていてもらえたらと思っています。…それを私は欲しています(笑)。


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