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【UKFC2016 OFFICIAL LIVE REPORTER】UKFC on the Road 2016ライブレポート

2016年8月16日(火)、新木場スタジオコーストにて盛大に行われた「UKFC on the Road 2016」。今回はUKFC史上初めての試みとなる「オフィシャルライブレポーター募集」なる企画が行われました!
UKFC2016にお越しいただくお客様の中からオフィシャルライブレポーターを募集、観客の目線での会場の雰囲気・ライブの感想など「あなたが過ごしたUKFC on the Road 2016」を書いていただき、イベントを一緒に盛り上げていただくというこの企画。沢山の応募の中から厳選された8名のオフィシャルライブレポーターによる「リアルなUKFC2016」をお楽しみください!

 

 

今井雄太(21歳・学生)

UKFC on the Road 2016(以下、UKFC)が8月16日に新木場STUDIO COASTで行われた。UK.PROJECTが主催し、レーベルの在籍アーティストや縁の深いアーティストが出演するイベントだ。

UK.PROJECTと言えば、[Alexandros]や銀杏BOYZ、また今回のUKFCに出演するMO’SOME TONEBENDERやBIGMAMAなど、ジャンルは違えど、音楽を素直に、真摯に表現するという事に感度の高いアーティストを輩出するレーベルだ。赤裸々で、爽快で、それぞれ美学があって、ちょっと泣けてしまう様なロマンチックな音楽達。そんな音楽がお互いに、リスペクトと負けん気を持ち合わせながら、お客さんと共に楽しむ「お祭り」———UKFCに行ってきた。

・ odol

今年のUKFCは、UK.PROJECT期待の新人たちが多く出演するGATE STAGEから始まる。トップバッターは5月に2ndアルバム『YEARS』を発売し、メンバーそれぞれ 20代前半ながら緻密な楽曲を生み出す 5人組バンドodol だ。

「odolを観に来てくれてありがとう。UKFC始めます」と、ミゾベリョウ(Vo&Gt)が堂々と開会を告げると、疾走感ある「退屈」からスタート。各パートが鳴らすアグレッシブなフレーズに、早速耳を奪われてしまう。2曲目は「飾り過ぎていた」。小節ごとに叩き付けるタイム感のあるグルーヴに、零れてしまいそうなメロディが乗る。崩壊のギリギリまでタメを利かせた演奏に胸を揺さぶられた。フロアから曲ごとに送られる拍手にはodolの鳴らす音楽への信頼と、聴き入りを感じる。その後、軽やかなコードの「グッド・バイ」、突き抜けるようなドライブ感のある「綺麗な人」と続く。とにかく演奏が良い。各パートの5人がそれぞれ独立性を持ちながらも絡み合っていく。そして、歌詞には20代前半特有のアイデンティティの揺らぎに対する、俯瞰的なのにどこか隠し切れない衝動が滲む。

巧みな演奏とメッセージ。そして、表情から微かに感じられた緊張感やあどけない一面。作品として出来上がっていた音源ではなく、生身のライヴでは彼らの音楽の等身大さ、必然性が滲んでいて、説得力を感じた。10代や20代がメインのUKFCのお客さんにどう響いたか。そんな事を考えずにいられない、とても沁みるライヴだった。

・ POLYSICS

odolの余韻に浸っているとFRONTIER STAGEから聞こえるのは今年で結成 19周年を迎えるPOLYSICSのピコピコサウンド。1曲目「Introduction!」から、続けて「Buggie Technica」、「Young OH! OH!」と熱狂の渦へ。MCで、ハヤシ(Vo&Gt&Syn&Pro)がUK.PROJECTとの長い関係性を懐かしそうに話した後、「ゲストを呼んでもいいですか?」と呼ばれたのは TOTALFATのJose(Vo&Gt) だ。共に披露されたキラーチューン「Let’sダバダバ」ではTOTALFATの「PARTY PARTY」の一節を引用して、会場は両曲のシンガロングの嵐となり大盛り上がり。そこから後半にかけてはPOLYSICSにしか出来ない刺激物たっぷりの熱狂モノへ。猫の肉球への気持ちを歌う「299」では観客に「299ダンス」を求め、可愛らしいしぐさで一体感を出したと思えば「MEGA OVER DRIVE」、「シーラカンス イズ アンドロイド」、「SUN ELECTRIC」と突き抜けた。思考を刺激し続けるピコピコサウンドや、独特の言葉使いやコーラスワーク。今年の3月には、結成19年目記念で100曲ライヴも開催しているPOLYSICSだが、そんなやりすぎなエンタメ精神からも感じさせる、ある種の執念をも感じさせるライヴだった。

ここで会場をぐるっと回ってみる。 UKFCで過ごしていて感じたのは、アクトの充実感だ。普段使われるメインフロアにFRONTIER STAGEとFUTURE STAGEを、更にバーラウンジ横にGATE STAGEを設置した今年のUKFC。新木場STUDIO COASTクラスのイベントで3ステージ制、DJでのアクトが1組の計18アーティストはとてもボリュームがある。ステージ間の移動も楽だし、2階席の開放など、座りながら演奏が見れる配慮も。当日は台風が近づいてあいにくの雨だったが、もし晴れていたら….と考えてしまう。撮影スポットがあったSTUDIO COAST入口付近でフェス飯を食べれたらもっと開放的だったのに、と。それは来年の楽しみとして取っておこう。

・MO’SOME TONEBENDER

時間も18時を超えイベントも終盤に差しかかり、メインフロアの階段で座り込むキッズもちらほらと出てきた時、カーテンの掛かったステージから体の芯が震えるような爆音ダンスチューンが聞こえてきた。次のアクトは来年、結成20周年を迎える福岡出身MO’SOME TONEBENDER(以下、モーサム)だ。リハから「To Hell With Poverty!」、「TIGER」を演奏し、もう期待せずにはいられない。「誰も逃がさない」という熱量がガンガン伝わってくる。

カーテンが開くとメンバーが袖から登場。武井靖典(Ba)は、はっぴ姿に巨大な「祭」と書かれたうちわを持って出てきた。1曲目の「FEEVEER」からマイクを持ってステージを移動し、フロアをどんどん煽っていく。武井がベースを持つと2曲目は「Shining」。続いて「We are Lucky friends」とシンセ、打ち込みをふんだんに使ったモーサム流アッパーチューンでフロアの熱気はどんどん上がっていく。改めてベースを置いたかと思えば、武井のライトセーバーによる演出がお馴染みの「Lost In the city」へと続く。ライトセーバーに合わせてフロアのみんなで手を振ったり、ライトセーバーを振りかざしてポーズを決める武井に歓声が上がったり、バンドのエクストリームな音の洪水に飲まれたり、もうフロアはモーサムに心を掴まれてしまっている。

そこからは改めて打ち込みを排し、シンプルなバンドセットで披露されるのは「Have you ever seen the stars?」。百々和宏(Vo&Gt)の少年性を忘れない歌声と、モーサムの変わらないロックへのロマンティシズムが伝わってくる。そして、最後は「GREEN & GOLD」。身を悶えさせながら鳴らされるエバーグリーンな爆音に圧倒される。終わってからも胸のざわめきが落ち着かない、素晴らしい名演だった。

・ polly

長い夏の夕日の落ちる 19時前、GATE STAGE で静かにpollyが始まった。

今年の7月に発売した2ndミニアルバム『哀余る』から「沈めてくれたら」でライヴはスタート。イントロの強烈なフィードバックノイズと、丁寧に詰め込まれたフックのある展開に聞き惚れてしまう。そこから音を繋ぎ、「哀余る」、「ふつうのせいかつ」そして冒頭よりもっと暴力的なノイズパートを経て「Addict」と途切れる事無く連続して曲を繋げる。まさに『哀余る』以降のpollyのライヴだ。モーサムが変わり続ける事で自身のスタイルを確立したのならば、ジャンルは違うが、pollyは今まさにその変化の中で戦っているバンドだと思う。

「人間もバンドも生モノだから。どうなるかは分からない」、「(FUTURE STAGEで演奏中のPELICAN FANCLUBに対して)こっちの音は聞こえないのに向こうの音は聞こえるんですね。不愉快だな」と越雲龍馬(Gt&Vo&Syn)らしい、皮肉の効いたMCが入り、1stミニアルバムから唯一の曲「hello goodbye」を演奏する。孤独な言葉をぽつりぽつりと昇天させる様に歌うバラードに、GATE STAGEの空気が包まれていく中、しっとりとしたバラードなのに、どこか悔しさをこの曲から感じた。それは、親交の深いバンドが自分達より大きなステージで演奏しているという現実もあり、そう受け取れてしまった。そんな越雲の繊細さだからこそ、とても身近な普遍的な発露を感じたし、見ていて生まれるものがあった。MC中、「来年は出れないかもしれない」という発言もあったが、わがままを言うなら、また来年音源を作り、UKFCに出て欲しいと思った。もっと大きなステージで。現在進行形なpollyの魅力を知る。そんなステージだった。

・ Helsinki Lambda Club

メインステージで TOTALFATがラストスパートを繰り広げる中、GATE STAGEには隙間がないぐらいたくさんの人数が集まっていた。 GATE STAGEのトリを務めるHelsinki Lambda Club(以下、ヘルシンキ)の期待値の高さが伺える。客電が落ちてt.A.T.uの「All the Things She Said」をSEにメンバーが入場する。SEの抜けっぷりとメンバーのラフな表情でフロアをいい具合に気を抜くと、稲葉航大(Ba&Cho)が「トイス!」と叫び「TVHBD」でライヴはスタート。続いて新曲「This is a pen.」、そして、橋本薫(Vo&Gt)の「ベース、稲葉航大ー!」という紹介の後、「Lost in the Supermarket」をプレイ。4曲目の「メリールウ」までアップテンポな曲をガンガン繋げてフロアが盛り上がっていく。

「10月に初めてのフルアルバムが出ます。今年最後の名盤です」と、ブレイクを期待させるMCを橋本が入れると、フロアが沸いた。自信の溢れるメンバー達の顔が頼もしい。「トリという事でアッパーな曲で行きます。でも、これは僕らの氷山の一角なんで他の曲も聴いてみてください」と謙虚なMCの後、「ユアンと踊れ」と新曲を2曲披露して予定されていたライヴは終了。が、フロアから手拍子が起き、予定外のアンコールが始まる。アンコールは「シンセミア」だ。メンバーもフロアからも笑顔が絶えない。そんなハッピーな景色を見ていると、10月のアルバムを出してどんなに売れたとしても、ヘルシンキのバイブスは変わらないと思えた最高のライヴだった。

 

 

円城寺倫子(25歳・会社員)

「…美味しい」
少し早めに会場に着き、風知空知のフードを食べる。選んだのはMO’SOME TONEBENDERとコラボした野菜スティック。野菜不足になりがちなフェスで、新鮮な生野菜があるのはうれしい。ディップソースは、黒ごまと生姜がアクセントになった味噌。ありそうで無かった味に、食がすすむ。

気の早い台風が、近づいてきているらしい。雨が降りだした頃、UKFC on the Road 2016が幕を開けた。トップバッターは、odol。1曲目「退屈」から、轟音と美メロが渦を巻いて、真夏のSTUDIO COASTを呑み込んでいく。

UKFC初登場どころか、バンドのお披露目ライブとなったのは、megsri。BIGMAMA・柿沼広也(Vo/Gt)、リアド偉武(Dr)、TOTALFAT・Kuboty(Gt/Cho)、the telephones・長島涼平(Ba/Cho)が組んだ、スペシャルバンドだ。「合言葉」「My Dear 52」と、ポジティブでストレートな楽曲を演奏する。ボーカルの柿沼は、表情こそ緊張していたものの、伸びやかな歌声を披露する。オフショットのように仲良くかけ合うMCを経て、ラストナンバー「誓いのうた」まで駆け抜けた。

意外にもUKFC初出演なのは、ART-SCHOOL。前半戦は、木下理樹(Vo/Gt)の確かなポップセンスと、戸高賢史(Gt)の柔軟なギタープレイが炸裂する楽曲を披露。後半は「UNDER MY SKIN」「スカーレット」と、定番曲を息つく間もなく連発。中尾憲太郎(Ba)と藤田勇(Dr・MO’SOME TONEBENDER)の織り成す、機関銃のようなビートで、場内を踊らせる。ライブアンセム「あと10秒で」を演奏し、「何もねぇ!」の合唱を巻き起こして、ステージを終えた。

音で空間を染め替えたのはasobius。甲斐一斗(Vo)が指揮棒をふると、バンドメンバーが壮大な音像を描き出す。1曲1曲を丁寧に紡ぎ、異世界へと連れて行ってくれる、ファンタジックなショータイムとなった。

飛び道具的な演出で沸かせたのは、MO’SOME TONEBENDER。ド派手なサングラスを掛けた武井靖典(Ba/Vo)が、身の丈ほどのうちわを持って登場。1曲目「FEEVEER」では刺激的なサウンドに合わせてうちわで客席を煽り、「Lost In the City」ではライトセーバーを両手に持って、ステージ上を鮮やかに舞う。遊び心全開の演出は、確かな技術に裏打ちされた、ベテランの余裕があるから出来ること。まっすぐで色気のある歌声の百々和宏(Vo/Gt)、ギターとドラムを自在に行き来する藤田、てんこ盛りのサウンドを支える骨太なベースの武井。三者が絡み合い、とことん自由で刺激的なロックンロールが場内を満たしていった。

大トリを飾ったのは、BIGMAMA。豪華ゲストと次々に共演する、スペシャルステージだ。まずはアルカラ・稲村太佑(Gt/Vo)が、マジシャンの装いで登場。「荒狂曲”シンセカイ”」で、東出真緒(Vn)とバイオリンをユニゾンし、艶のある歌声で華を添える。04 Limited Sazabys・GEN(B/Vo)を招いた「the cookie crumbles」は、予想以上に好相性。GENのまっすぐな声と、金井政人(Vo/Gt)の甘い声が相性良く絡み合う。「沖縄から大事な友達です」とHY・新里英之(Vo/Gt)、名嘉俊(Dr)を招き入れ「Sweet Dreams(bittersweet)」と「MUTOPIA in Okinawa」を共演。シンセサイザーの飛び交うダンスナンバーに「イーヤーサーサー、ハーイヤ」と、沖縄風の合いの手を入れ、新鮮なアレンジで場内を楽しませ、本編を終えた。

「台風なのに来た人を馬鹿だと言う人もいるかもしれないけれど、僕らは全肯定します。」と金井がMCする。アンコールでは、お祭り男TOTALFAT・Jose(Vo/Gt)を呼び込んで「Mr. & Mrs. Balloon」で共演。BIGMAMAがUK.PROJECTに加わるきっかけとなった「CPX」で、UKFCを締め括った。

UK PROJECT Family Conference。「UKプロジェクト家族会議」を意味するUKFCの正式名称だ。アーティストが度々フロアへ出て来て、互いの晴れ姿を観ていたし、時に飛び入り参加していた。兄弟喧嘩の様にせめぎあい、時に協力して唯一無二の時間を作り上げるのだ。

主役は、アーティストだけではない。公式instagramでは事前に参加者の思い出写真を募集していたし、ライブ以外にもフォトスポットや、フェイスデコやハンドデコ、アーティストグッズのガチャなど、来場者が楽しめる仕掛けを随所に織り込んでいた。

来るものを拒まず、むしろ巻き込んでいく懐の大きな家族。UK.PROJECT流のおもてなしで、最大級に楽しませて貰った1日になった。

 

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角萌楓(21歳・学生)

こんなにも愛に溢れたイベントはないだろう。会場の盛り上がりから、全員が一緒になってイベントを成功させようとしているのが伝わってくるのが印象的だった。

今年で6年目のUKFC on the Road。私が初めて参加したのは高校2年生の頃。初年度だった。BIGMAMA、[Alexandros]、POLYSICS、THE NOVEMBERS、the telephonesと、シーンを牽引する5大バンドの出演に期待に胸を大きく膨らませ、そして圧倒的なステージに胸を打たれたのをよく覚えている。 そのビッグなステージから、5年が経った。こうして私が再び、このイベントに足を運んだのは、確かめたかったからだ。私の人生にとって大きな意味を持つこのイベント。ここに熱量は、まだあるか。私が信じたものが、まだあるか。心のどこかで、確かめるような、試すような気持ちで来たのは間違いない。

13:35、GATE STAGEのトップバッターを飾ったのはodol。 なぜ彼らがトップバッターなのか、不思議だった。私がそれまでに持っていた“UKPらしさ”とは少し違っているように思えたからだ。しかし、そんな予想をはるかに上回る演奏を彼らは見せた。目に見えないはずの空気の色を変えるバンド、それがodolだ。彼らが音を鳴らし始め、会場の雰囲気は一気に変わった。 誰もが“始まった”という感覚を得たのが見て取れるほど、彼らの持つ空気感に吸い込まれていった。丁寧に作られ、奏でられていることを感じさせる端正なステージに、通りかかる人全てが足を止め、イベントの開幕に浮き足立つ心を抑え、耳を澄ませていた。彼らは、「退屈」「飾りすぎていた」をはじめとする6曲を、結成2年という月日を感じさせないほどの堂々とした姿で魅せた。照明を自ら操るかのような演奏。間違いのない始まり。彼らはとっても美しかった。

14:00、odolの演奏が終わると共に足早に向かうは、FRONTIER STAGEのトップバッター、誰もが大好きなPOLYSICSのもと。「Introduction!」に始まり、「Buggie Technica」「Young OH! OH!」と初っ端から全力で飛ばしていくPOLYSICSの大船に誰もが全速力で乗り込んで行く。手を挙げ、「TOISU!」と叫び、「エベレスト3分間はい頂上」とどこで教わったでもないフリを、全員で踊る。どこから来たとか、何を聴いてきたとか、何が好きとか、関係ない。どんな人も巻き込んで、一瞬でいっしょくたにしてしまう。楽しむか/楽しまないかという垣根もなく、一歩を踏み出すまでもない。居合わせただけでこんなに楽しくなるバンドはいないのだ。お馴染みの「Let’s ダバダバ」では、TOTALFAT・Joseが参入し、会場に新たなトイスコールを巻き起こす。さらにJoseは、「Let’s ダバダバ」の曲中にTOTALFAT「PARTY PARTY」のお馴染みのフレーズを盛り込み、POLYSICSのステージに暴挙とも愛とも言えるようなパフォーマンスを繰り広げた。こんなことが受け入れられ、さらには「こうでなくっちゃ!」と言わんばかりに観客が熱狂する、それがこの《UKFC》である。続けてPOLYSICSが奏でるは、「シーラカンス イズ アンドロイド」「SUN ELECTRIC」と、私が、そしてみんなが大好きなキラーチューン。圧倒的なステージを魅せてくれた。汗だくなのはフロントマン・ハヤシも、観客もみな同じ。どんな人も汗だくになりながら、大きく息を吸って全身で彼らの音楽を吸い込む。分かりやすさ、笑顔、そして「TOISU!」。彼らのブレない舵取りが、きっと全員をハッピーにするのだ。

16:00、UKPの綺麗な声で鳴く小鳥。それがCettiaだ。今回のUKFC唯一の女性ソロアーティスト。しかしそれ以上に、自分という存在を見せつける、と言わんばかりに美しく歌い上げた「Brother」からステージは始まる。今回、弾き語りではなく、バンドセットで登場した彼女は、さらに自由に飛び回っているように見えた。このイベントに出始めて3年目の彼女は、UKFCのことを「穢れや悔しさ、かなしさを吹き飛ばしてくれるイベント」と言う。そんな言葉を証明するかのように、彼女のエモーショナルなステージは繰り広げられる。「ブルーブルー・スーサイズ」。空間という形のないものに、これほど自らの感情をぶつけられること、そんな彼女が素晴らしいと思った。また、最後に涙を流しながら、弾き語ったのは彼女の代表曲「escha」。最後、指が弦を離れる音まで綺麗に響くほどシンとした空間で、彼女は堂々と、エモーショナルに歌い上げた。拳を天に高く突き上げ、笑顔でステージを去る姿が目に焼き付いている。喜怒哀楽、なんて言葉じゃ足りないくらいの感情を30分のステージにぶつけきった彼女が、今日のベストアクトだ。

16:50、“いいバンドなんですよ”そう自ら言ってしまうバンドは、lovefilm。彼ら/彼女らを待つ沢山の観客が、心なしか、愛おしいような、嬉しいような、親しみを持った表情でいたのが印象的だった。「Vomit」から始まる、彼ら/彼女らの今しか感じられない空気感。会場にはハッピーな空気が充満していて、今年3月に結成したとは思えないほど、既にこのバンドがみんなの愛に包まれていることを実感した。MCを挟んでの「Don’t Cry」は一番気持ちのいい曲。今回のバンド結成に欠かせない存在・江夏詩織のシャウトに視線が集まる。モデル出身の彼女が隠し持っている沢山の魅力が、lovefilmというバンドによって息を吹き込まれていく。全員が、観客が、どれだけ振り切れられるか。殻を破れるか。どれだけ、楽しめるか。これからが楽しみでしょうがない。「Kiss」を太い軸として、アンセムとして、これからどこまで大きくなっていくか、見てみたい。もし私たちに未来があるのなら、それはきっととっても素敵で、キラキラしたものなんだろうな、と思わせてくれるバンドだった。

18:50、フェスやイベントの醍醐味と言えば、新たなものとの出会い。私にとってのそれは、pollyだった。ぼやけているような、迫ってくるような、距離の取り方や歌い方、立ち姿に一瞬で心を奪われた。それはきっと、私だけでなく、居合わせた全員がそう思ったのではないだろうか。彼らの音が会場の空気を飲み込んでいくのが目に見える。MVが美しいことで有名な「沈めてくれたら」から始まった30分のステージ。あっという間だった。ほとんどMCはなかったが、その様が全てを物語っている気がした。堂々とした演奏。UKPにおいて特異かつ確固たる位置。音の波、感情の波にただ身を任せるだけ。どこまでも響いていて、いつまでも続くような気がした。最後は「hello goodbye」。観客に対して、沸かせるでもなく、煽るでもなく、彼ら独自の空気感で、会場を一体にして見せた。魅惑的なバンドだ。

21:05、トリはBIGMAMA。観客、演者、会場全てのボルテージがMAXになった中、“あの”曲で始める彼らはずるい。「荒狂曲“シンセカイ”」で、一瞬にして彼らの存在の大きさを見せつけた。その後も、「秘密」「the cookie crumbles」「MUTOPIA in Okinawa」、アンコールでの「CPX」まで、本当にあっという間の空間だった。

5年前、同じイベントで同じように聴いた曲達は、変わらずにかっこいいままに、でも確かに、いろんなものが変わっていたし、新たな色がさらに加わってそれがまた美しくて、心が揺さぶられる1日だった。

会場に行く前に持っていた、確かめる、試す、なんて感情はもってのほか。これはただのイベントではない。UKPと、それを愛する人へのラヴソングなのだ。私が信じたもの、心が震える瞬間、それは確かにあった。感情に突き動かされた音楽と、何かを作り上げよう、誰かを楽しませよう、という熱意。 私がUKPと共に歩んできた人生を、私や多くの人を魅了し続けてきたUKPを想う。新しいものを取り込む柔軟さ、ひたむきに音楽や人に相対す誠実さ。とどまることはない。UKPは常に時代ごとの色を、UKPの視点で映し続けている。時代が変われば、色も変わる。開催6年目のUKFCを楽しみながら、そんなことを感じ、挑み続けるアーティストや、挑み続けるUKPを、私はこれからも見ていたい、と思った。

 

 

堀菜々花(20歳・学生)

8月16日、新木場 STUDIO COASTにてUK.PROJECT主催イベント「UKFC on the Road 2016」が開催。真夏の新木場を熱く盛り上げた。

会場に入ってすぐ右手のステージGATE STAGEにて、今年のUKFCに最初に登場したのは、去年に引き続き2度目の出演となったodol。聴き心地の良いメロディと勢いのある演奏に、GATE STAGEに涼しい空気が流れる。ボーカルのミゾベが「UKFC on the Road 2016、始めます。」と宣言し、「今日は絶対に楽しい日になるから。」と話す。その言葉通りに、楽しい1日のスタートにふさわしいステージとなった。odolらしい音に聴き惚れさせるステージで、真夏の祭典のトップバッターをしっかりとつとめ上げた。

megsri。GATE STAGEには溢れんばかりの人が集まり、期待に胸を躍らせた。この日が初めてにして最後かもしれないという、究極にレアなステージであった彼ら。持ち歌の4曲全てを披露し、全力でステージを終えた。これが最後となるにはもったいないと感じさせるほどの盛り上がりであった。

そして、個人的にこの日のベストアクト、圧巻のステージを披露したのがPELICAN FANCLUB! はやる気持ちを抑えきれない、感情のままに繰り広げられるステージはまさにお祭り。紡ぎ出す言葉にも、掻き鳴らす音にも、ひとつの嘘もないと伝わってくる。このストレートな表現こそ彼らの魅力であり、感情を直に揺さぶる演奏は、心を掴んで離さない。ステージ上で誰よりもこの場を楽しんでる姿は、見ていてとても気持ちがいい。FRONTIER STAGEに立つPELICAN FANCLUBを見てみたいと、心から思う。これからを期待させる、記憶に残るステージとなった。

Helsinki Lambda ClubがGATE STAGEのトリを飾る。新曲を含めアップテンポな楽曲で、最初から最後までかっ飛ばす。今年で3度目の出演となる彼ら。安定感のある演奏の中にも、全力で楽しませにきているステージには胸が踊る。笑顔が溢れる空間をつくる。フルアルバムの発売は、個人的にもとても嬉しい発表!この先どんな景色を見せてくれるのか、わくわくする。

ぎっちり詰まった1日も終わりを迎える。満員のFRONTIER STAGEにて、BIGMAMAが特別なステージで今日という日を締めくくる。ボーカルの金井は10年前に本レーベルに所属するに至った際の経緯を打ち明け、今ここで音楽を続けていられることへの喜びを語る。本イベントの主催でもあるレーベルUK.PROJECT、そこに所属する多くのバンド、そしてその音楽に導かれてやってきた観客。それぞれがそれぞれを思いやり、愛し、支えあっていることで生まれたこのイベント、UKFC on the Road。BIGMAMAのステージ、そしてそれを心から楽しんでいる人々の姿は、今日この場にいることの喜びをありありと感じさせるものがあった。

大好きな音楽とたくさんの愛に包まれた空間で過ごす1日は、これ以上ないほどの幸せをもたらしてくれた。感謝で胸がいっぱいだ。2016年夏の最高の思い出ができた。

 

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秋葉由実(25歳・会社員)

今年もこの日を待っていた。

新木場駅から歩を進めると、雲間から差し込む日差しが東京湾の水面に反射し、行き交う人々の視界を煌かせる。ついつい浮足立ってUKFC on the Road 2016へ向かう。

来場者の注目度No.1といっても過言ではない。GATE STAGEは観客で溢れ、期待に満ちた熱い視線が注がれる。本日が初お披露目のmegsriに顔を揃えるのはBIGMAMAからVo.Gt.柿沼、Dr.リアド、TOTALFATからGt.Cho.Kuboty、そしてフレンズ/FINAL FRASHからBa.Cho.長嶋、といった豪華メンバーだ。カラーこそ異なるが、それぞれのシーンを牽引してきたバンドたちが見事に融合し、観客の期待に応えた。

風知空知とアーティストのコラボフードはUKFCの目玉の一つだ。毎年趣向を凝らせたおしゃれフードに、多くの来場者が目を奪われる。コラボフードに沸く人々を横目に、ケバブをもりもり食してしまった(ビールと合う…)。

FRONTIER STAGEではART-SCHOOLが独特なMCで観客を置き去りにしたかと思えば、「real love/slow dawn」から「Promised Land」と繰り出される怒涛の曲展開によって、一気に彼等の世界に引きずり込まれてしまった。

GATE STAGEへ向かうと、観客は固唾を飲んでCettiaを待っていた。彼女が登場すると、その白肌と身に纏った衣装が暗転したステージ上で際立つ。「Brother」を歌い始めると、あどけなさが残るその歌声は、まるで水面を彩る波紋のように広がっていき、観客の心を鷲掴みにした。

「ただいま、もしくは初めまして!」Vo.Gt.石毛の言葉にどれだけの人の心が揺さぶられただろう。lovefilmは「Honey Bee」の様な軽快なナンバーを放つ一方、「Kiss」では聴く者を青春の郷愁に駆り立てる。ステージ演出もアンプに色とりどりの電飾が飾られ、その輝きはどことなくノスタルジックであった。

FUTURE STAGEはすっかりasobiusの独擅場となった。リハーサルから「It’s a Small World」を放つと、観客はその歌唱力と演奏に魅入ってしまう。ファーストミニアルバム『Rainbow』からの曲を中心とした構成で、原点回帰を思わせるが実はそうではない。彼等は決意を持って進化を望んだのだ。余韻を噛みしめながら外へ出ると、まるで門出を祝福する様に、空には虹が架かっていた。

夏がやって来るのではない、TOTALFATが夏を連れてくるのだ。「夏のトカゲ」のイントロが流れると、観客は飛び跳ねる衝動を抑えられない。「PARTY PARTY」ではコール&レスポンスで一体感を生み出し、熱に浮かされた様にフロアーは踊りっぱなしだ。興奮のままに「ONE FOR THE DREAMS」の大合唱で大団円を迎えた。

UKFC on the Roadは、「ファミリーだからこそ、本気で戦う。」という意気込みを持って、出演者同士がお互いを鼓舞するからこそ、他にはない熱さがある。余韻に包まれながら、熱気に当てられぼんやりとした頭で帰路に着いた。

 

 

高橋蓉(19歳・学生)

台風7号が迫りくる中、今年もUKFC on the Roadが新木場 STUDIO COASTで開催された。

遠藤社長の挨拶(odolが一足先にGATE STAGEで「UKFC on the Road 2016、始めます」と開会宣言をしていたことはここだけの話にしておこう)の後、いきなりキマすね!と思わず言ってしまうほど勢いがありすぎるPOLYSICSのご登場。POLYSICSのハヤシと言えば、THE NOVEMBERSの小林に「戦後稀に見るヤバイ人」として認定されているほどのお人である。

一曲目は最新アルバム『What’s This???』から「Introduction!」で会場全体を電子音でいっぱいにし、そのまま「Buggie Technica」へ突入しフロアを一気に巻き込んでいく。

本日最初のコラボでTOTALFATのJoseが登場。「トイストイストイス~」と、どことなく南風を吹かせながら、新しいトイスの技法を提案。そして、コラボした楽曲は「Let’s ダバダバ」。ダバダバの歌詞がTOTALFATの「PARTY PARTY」に変化していく下りでは、ハヤシとJoseの掛け合いにスキがなく流石のパフォーマンスだった。また、その掛け合いにしっかりとついていける観客もUKFCならではだった。この二組はレーベルメイトというのだけでなく、お互いにリスペクトし合っていることが分かるコラボだった。

秋葉原のメイドさん以外の人が合法で肉球ダンスをしたり、何も考えずひたすら指で頭上に円を描く、UFOが来た時ぐらいしかしないであろう仕草は、恐らくポリシックスのライブでしかできない。ストレスが溜まり苦しんでいるひとは、某チョコレートに頼る前にPOLYSICSを見に行くべきだ。

FUTURE STAGEのトップバッターで登場したのは、UKFC出演二年目になるDATSだ。今年のDATSのステージは去年からの成長と変化を魅せつけられるものだった。最初のナンバーは会場限定シングルに収録されている「North」だ。前作『DIVE』の楽曲の浮遊感を超え、リズム隊がリードしながら高音が浮遊しているのでとても安定感がある。所々にある遊びの効いた音が、曲全体をより軽快かつ、耳に多くの満足感を与えている。ボーカルやギターを前に押し出しつつも重厚さを欠かないベースが、リズムを刻みながら踊ることを観客に教えてくれる。二曲目はハヤカワのギターがアクセントになり、曲のタイトル通りキャンディーのような丸さを帯びた軽快な音が耳で跳ねる感覚が持ち味の「Candy Girl」だ。

「今日ここでみんなとひとつになれたことを誇りに思います」と杉本は話し、最後の一曲へ繋げた。リズム隊が作り上げる膜のなかで、ギターが自由に風を起こしながら巻き上がり耳に甘さを残していく。その心地よさに浸らずにはいられない「Cool Wind」で締めくくった。

飴玉のような形の音が目の前に広がったり、音が詰まったシャボン玉のようなものがあふれてきたり、様々な音に直に触れる感触を満喫できるライブだった。また、約25分間六曲の中でDATSが鳴らす多種多様な音を一身に浴び、バンドとしての幅の広さを実感した。これからの活躍に期待が高まるライブでもあった。

FRONTIER STAGEに登場したのはART-SCHOOLだ。登場SEが切れるタイミングで木下の方に目をやった戸高は、「なんか言いたそうなんだよな…」と感づいていた。その直後「andoroid and i」をおもむろに始める。一曲終えると、にやけながら「本当は言いたく無いけど……トイス」と木下。フロアはかなりざわついた。今日の木下は何かが違うと誰もが感じたはずだ。こんなリラックスした木下を見られるのはUKFCならではな気がする。その後もトイスとディスコとハイトーンボイスを使いつつMCを進める木下にフロアはざわつきながらも、微笑ましく見ていた。こんな木下を戸高は「精神が錯乱してる」といい、木下は自身のことを「こんなすべる人は自分でも見たことがないと」言いながら笑っていた。錯乱しつつ、最後三曲になったときもハイトーンボイスで観客を煽り、「UNDER MY SKIN」に突入した。「FADE TO BLACK」と「あと10秒」で、を最後まで激しく、切れ味鋭く振りかざし終えた。

ART-SCHOOLを見終わった後、突如空腹が押し寄せどうしようもなくなり、外のフードエリアに出て辺りを見渡してみる。すると、同じように空腹に襲われた人々が様々なものを食べていた。今年は風知空知とケバブの他にも、お祭りの屋台のようなものが出ていた。屋台でにんにくしょうゆをかけた唐揚げを食べた。値段の割に量があり、三個くらいで既に満腹を知らせる旗が挙がったがなんとか食べきった。その結果胃もたれがやってきた。そこでドリンクカウンターでジンジャーエールを頼み、それを飲み干し、胃もたれに別れを告げさっぱりしたところで次はFRONTIER STAGEへ。

一年前は当たり前のようにあった、あの甲高い声が帰ってきた。「UKFC on the Road~~」と叫んだ石毛の声に懐かしさを覚え、思わず笑ってしまった人もいただろう。あのお祭りバンドの面影はなく、遊園地で様々な乗り物に乗って楽しむような心躍る気持ちをマイクスタンドやアンプに巻かれたネオンや虹色の照明がよく似合うバンドだった。江夏の純粋でどこまでも伸びる声を石毛が抑えながらも、さらに心地よく伸ばしていく。甘すぎず、辛すぎず、その塩梅がよく柔らかかった。まるでかわいく飾られた思春期の女の子の部屋を突然、フィルムのネガが覆いつくしたような光景だった。愛らしさとロックが融合し、これまでにない新たな音楽を作り上げていた。最後はツインボーカルの掛け合いが見ている側の気持ちを掻き立てる「Kiss」を鳴らし、lovefilmがUKPの新たな家族であることを印象付けて行った。

lovefilm終了後間もなくして、FUTURE STAGEにてasobiusのサウンドチェックが始まった。ミュージカルを見に来たのかと錯覚してしまうほどの声量で甲斐がディズニーソングの「Let it go」や「It’s a Small World」を歌い上げるとフロアからは拍手が沸き起こった。思わずサウンドチェックであるということを忘れて聴き入ってしまった。セットリストはファーストアルバムから「made of my friends」、「I’m in the love」、「golden wombs」が選び抜かれた。ゆったりとしたテンポの中をめぐる美しい音と、甲斐の透き通った強い歌声が絡み合い、輝きを帯び、眩しさを覚えるほどだ。この日はギターの杉本が脱退前最後の都内ライブだったこともあり、原点回帰とこれからのバンドにかける思いが滲み出ていた。最後に演奏された「song for you」はこれからのバンドの指針をUKFCで示したいという意思が強く表れていた。UKFCという家族会議で明日について報告し合っているかのようなライブだった。

大型の祭団扇と共にFRONTIER STAGEに現れたのは言うまででもなく、MO’SOME TONEBENDERだ。最初から超かっこいい「FEEVEER」でフロアを温め、突っ立って聴いてんじゃねぇぞと言わんばかりに重い音を発砲し続ける。四曲目の「Lost In the City」では武井が二本の青と赤のライトセーバーを器用に振り回し、ステージを上手から下手へと行き来し、エンターテイメントな一面を見せた。激しさに圧倒されながらも、思わずにやけてしまうステージを作り上げるモーサムは貫禄があった。百々が「台風来るぞー」と若干不吉なことを徐に呟き、「最後一曲、嵐のようにやって帰りますMO’SOME TONEBENDERでした」とMCをし、「GREEN & GOLD」をラストナンバーとした。圧巻だった。爆裂という言葉が相応しかった。台風よりも激しく、後腐れなく去っていった。

GATE STAGEのトリを飾ったのは「All The things she said」をSEに登場したHelsinki Lambda Clubだ。登場して早々に「トーイス!」「We are ディスコー!」と叫ぶ稲葉。

そして、このビデオは既に消されていますという内容の「TVHBD」をあいさつ代わりに一発。三曲目は21世紀の日本のロックはヘルシンキに任しておけ、と言いたくなるナンバーの「Lost in the Supermarket」だ。四曲立て続けに演奏したあと、フルアルバムリリースの発表があった。今年はそのアルバムを買ったら、その後はどのCDも買う必要がないほどの名盤になっているという。そして、今日のライブはまだ氷山の一角に過ぎないと言う橋本。

後半は「Justin Believer」や「ユアンと踊れ」を愉快に演奏した。バンドが愉快だと、フロアも愉快愉快でいっぱいになる。最後は、ミラーボールに当たった照明が反射し、その光がライブハウスの壁をめぐるような流れの「宵山ミラーボール」で終わった。

アンコールを求める手拍子がどこからともなく沸き起こった。アンコールがあるとは思わなかったと言いながらステージに戻ったメンバーは、先ほどの氷山の一角発言も頷ける一曲の「シンセミア」を披露。しっとりとした曲ではあるが、サビは気持ちがよいほど疾走感がある。この緩急織り交ぜた独特のスピード感は病みつきになる。本編では主にヘルシンキの楽しい部分を前面に出したライブだったが、アンコールで別の一面をチラと魅せるあたり大変狡い。元来人間はチラ見せに弱い生き物である。チラ見せを食らうともっとガッツリと見たくなるものなのだ。フルアルバムへの期待が高まるライブだった。

前回のUKFCまではそれぞれのバンドが、UKPは家族だ!といいながらもライブではバチバチやり合っていた。しかし、今回はUKFCの文字通りファミリーカンファレンスであった。親戚が集まるお正月の席のように、近況について報告し合ったり、何気無い会話のようなものが聞こえてきた気がする。様々なジャンルのバンドが一堂に会するこのイベントはオリンピックに似たものがある。UKFCが四年に一回の開催でなくて本当によかった。
 全バンドを見終え、帰路につくときには、様々なバンドのライブを観ることができた満足感を抱きしめるとともに、来年も開催されることを願わずにはられない。UKFCがなくては私の夏は始まらない。

来年もUKFCが開催されますように。

 

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藤宮日菜子(20歳・学生)

8月16日に新木場STUDIO COASTで開催された「UKFC on the Road 2016」では、全17組のアーティストが集結した。FRONTIER STAGE, FUTURE STAGE. GATE STAGEの3ステージによる展開で、各ステージの間隔が近いので、周りやすい。開演前から公式グッズやガチャバッジは長い列だ。当たりのガチャ玉が出るとスタッフの方が鐘を鳴らして盛り上げてくれる。列からも拍手や歓声が聞こえてくる。食べ物も充実していて、練乳と果肉のたっぷり入ったかき氷は甘くて美味しい。コラボフードもあり、食べようと思った時にはもうなくなっていたBIGMAMAポテトは来年にお預けだ。

FUTURE STAGEでは、ウソツキ。1曲目「一生分のラブレター」では、歌詞に合わせてとるVo.竹田さんの仕草や表情が愛らしい。「僕らなりのダンスナンバーです!」と言って始まった「旗揚げ運動」では、会場中にあがる手が、右手、左手遅らせながらも徐々にあっていく感じが歌詞通り踊らされている。最後の曲 「新木場発、銀河鉄道」はウソツキの代表曲と言っても過言ではない。Gt.吉田さんの奏でる汽笛の音が暗闇の会場に響き渡る。所々光るライトが星のようで本当に銀河鉄道が来たみたいだ。いつも以上に大きくて激しい動きのウソツキにかっこいい!とワクワクしてしまう。

GATE STAGEで始まったカフカ。「夏はいいことばかりじゃない。クソみたいな思い出もたくさんある。」と言って始まった「Ice Candy」では「ハズレ ハズレ ハズレの棒だけ」という歌詞が切なく胸に染みる。夏は明るくて弾けるような歌が多いけれど、ちょっぴり切なくて、辛い曲もいいな、と感じた。「来年は大きいステージで!」と言って始まった最後の曲、「線香花火が落ちるとき」では、優しい音色から弾けるようなサウンドに、とろけるような歌声が叫ぶような歌声に変わる。観客が引きつけられ、後ろの方まで手が上がってゆく。

カフカの後はpolly。独特の暗い歌詞は少しカフカと通じるものがあるように感じる。1曲目「沈めてくれたら」では、Vo.越雲さんの高く伸びのある洗練された歌声で、会場がゆっくりと包まれていく。思わず聞き入ってしまう。歌声と打って変わったサウンドの力強い音は、聴き手に強い印象も与える。

FRONTIER STAGEではTOTALFATが、「ディズニーの曲やってもいいですか!」といって始まった「生まれてはじめて」。オリジナリティ溢れるロックな曲調がくせになりそうだ。そして「俺にはこんなにたくさんの家族がいて幸せだよ。」となんとも心のこもったVo./Gt.Joseさんの一言、ひとことに心を打たれる。「ONE FOR THE DREAMS」では、観客の手も高く上がり、興奮も絶頂に達する。

トリを務めるのはBIGMAMAだ。「荒狂曲“シンセカイ”」が始まると会場が歓声に満ちる。楽しみ方は本当に色々あるのだなと感じさせてくれる。サークル、小さな輪になっておどったり、手をあげたり、歌ったり、リズムをとったり静かに聴いていたり、それぞれのやり方で観客が本当に楽しそうに参加している。自然に体が揺れてくる。UK.PROJECTに入るきっかけの話では、「あの時の判断は、正しかった。後悔はしていない。」と語り、最後はステージにたくさんのアーティストたちも登場し観客に手を振る。UKFC on the Roadは本当に、アーティストさん、スタッフさん、ファンの方々と大きな家族で作り上げているのだなぁ、と感じ、今回ここに参加できたことが嬉しい。最後、「また来年会いましょう!」という言葉とともに、深い余韻を残しながら「UKFC on the Road 2016」は幕を閉じた。

 

 

古谷梓(21歳・学生)

UKFC on the Road 2016が今年も開催されました。そんな中今年1番に楽しみにしていたのが「megsri」。事前の紹介では日本詞のラブソングを歌うとのことで大人のラブソングを歌うのかなと思っていたら、期待は良い意味で裏切られました。「誓いの歌」が始まると、アラサーメンバーが歌っているとは思えないほどの青春系ROCKな爽やかバンドでした(笑)。柿沼さんの力強い歌声はどこか切なく、青春の懐かしさを感じました。Kubotyさんのトレンドを取り入れたというピンクシャツも新鮮でいつもと違う雰囲気があり、演奏中のメンバーの笑顔は本当に楽しそうで忘れられません!

UKFCといえばバンドコラボのある風知空知の屋台!今回私が選んだのはlovefilmの「スイカとバニラのディップのグリッシーニ」。凍ったスイカとバニラが絶妙なバランスで相性◎。店員さんによると今年の1番人気はPOLYSICSの「レットチェダーソースのフライドポテト」で即Sold outだったそうです。

日も暮れて、FUTURE STAGEのトリはSPiCYSOL。「AWAKE」は海で聞きたくなる夏らしいメロディ。UKPの中でこんなに夏と海が似合うバンドはSPiCYSOLしかいないと思います…! TOTALFATのカバー「Room45」ではTOTALFATのShunさんが登場。原曲よりゆったりとしたテンポで、思わず踊りたくなってしまうようなSPiCYSOLらしいおしゃれなサウンドで会場との一体感のあるコラボでした。

FRONTIER STAGEのトリは豪華コラボのBIGMAMA!スタートから「荒狂曲“シンセカイ”」でアルカラの稲村さんがヴァイオリンを披露し、東出さんとのダブルヴァイオリンの演奏は息がぴったり。綺麗な音色が響き渡ります。MCでUKPの思い出話になり、金井さんの「選択した時点で失敗成功は分かるわけではなく、その時の結果は全てじゃない。後悔をしないようにということ。」この言葉からの「I Don’t Need a Time Machine」はグッとくるものがありました。そして、HYとコラボした「MUTOPIA in Okinawa」の声とサウンドは素晴らしいほどマッチして、さらにオーディエンスとの大合唱は感動していまいました。 最後は「CPX」で出演者が勢揃い。TOTALFATのKubotyさんがダイブ。思わず私も体が動きそうになるくらい熱く冷めきらない終幕でした。

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