IMG_4065

livereport

【LIVE REPORT】11/15(金) teto 47都道府県ツアー『日ノ出行脚』@千葉LOOK

teto 47都道府県ツアー「日ノ出行脚」

2019年11月15日(金)
@千葉LOOK

http://te-to.net/19-20-sp/


 

teto

 

外へ出ればまとわりつく秋の夜風が冷たく肌に触れるというのに、ここ千葉LOOKの中は、汗の臭いと蒸したような熱気に包まれていた。今、フロアからは盛大なアンコールが起きている。しかしステージに現れたtetoの福田裕介は、観客に意外な言葉を放った。「えー、今日はアンコールやりません。メンバーも出てきません」。これはツアー初日の出来事である——。

 

2019年11月15日。tetoが47都道府県ツアー『日ノ出行脚』の初日を千葉LOOKで迎えた。僕がライブハウスに到着したのは開場時間の30分前。山崎陸に意気込みを聞くと「いやぁ、ずっとライブ続きなので。まだ自分たちのツアーが始まる実感がないんですよね」と言うので「じゃあ、今日のライブを終えてから始まった感じがするかもですね」「うん、そうですね」なんてやり取りを交わした。時間になり、入り口の扉が開けられると一斉にチケットを持った観客が場内へと押し寄せた。パッと見の印象は10代から20代の観客が多く、男女の割合は半々くらいだ。

 

そして、いよいよ本番。最初に登場したのはCody・Lee(李)。真っ暗だったステージに突然、パンと一筋のスポットライトが点いて尾崎リノだけを照らした。彼女は手に持ったアコギをストロークではなく、1本1本の弦を丁寧に弾いて、<この街に住んで2回目の春だ>と「春」の冒頭から1番の終わりまでを1人で歌い上げた。<春よさらって行かないで>と放った瞬間、他のメンバーも一斉に音を鳴らし、こうしてライブは幕を開けたのだった。そして2曲目「drizzle」へ。小雨が降る中を2人の男女が会話をしながら家路を急ぐ。そのあとは部屋の中でビールを飲みながら鍋をつつく。そんな他愛のない日常が4分半の音の中に映し出されていた。

 

高橋響が「あ……こんにちは、Cody・Lee(李)です」と少し照れ臭そうに挨拶をすると、今回なぜtetoのツアーに呼ばれたのか経緯を話した。「今日はtetoの千葉LOOK公演、“一般公募枠”にお呼びいただきましてありがとうございます。知り合いのバンドもみんな応募してたから僕らもやってみたんですけど、まさかのツアー初日に選んでいただけて本当に嬉しいです」。この一般公募というのは、tetoがツアーをまわるに当たりプロアマ問わず、音源を送ってもらったバンドの中から対バン相手を決めるという試みである。「僕、実はtetoと出会ったきっかけがあって。以前、TSUTAYA O-nestというライブハウスでアルバイトをしてまして、その時に『MUSIC MONSTERS』というイベントにtetoが出ていてカッコイイなと思ったんです。僕、銀杏BOYZが大好きなんですけどZepp Diver Cityでやった『GOD SAVES THE わーるど』というツアーの対バンにもtetoが出てて。そこで山崎さんが全裸になられていたのを見て、またカッコイイなぁと思って。いや、全裸だけがカッコイイわけじゃないんですけど(笑)」と思い出を語った。

 

Cody繝サLee・域搦・噂IMG_3457

 

そして3曲目で「東京」を披露した後、高橋は再びtetoへの想いを伝えた。「今、tetoみたいにグワーって激しくやるバンドが増えた気がするんですけど、tetoは大前提として曲が良いんですよ。tetoが頑張ってきたことに対して、そこに甘えてラクをするバンドが多いなと思う。もう、そういうバンドは良いなって思うんです。だから今日、僕たちはそこに一矢報いることができるんじゃないかって」。そう言って歌ったのは新曲「I’m sweet on you(BABY I LOVE YOU)」。——2018年5月に高橋がソロ活動としてCody・Lee(李)を始動させて、同年6月にはバンド形態となった。今年1月は『LIVE BOOSTER』で 300 組の中からグランプリに選ばれて、8月には『RO JACK for COUNTDOWN JAPAN 19/20』で入賞。「さあ、ここから」と思った矢先に3人のメンバーが脱退。しかしCody・Lee(李)は窮地に陥っても、自分たちの音楽を見失わずにバンドを続けた。この日、高橋が「一矢報いたい」と話したのは、音楽をする上での葛藤や焦燥感に挟まれながらもオリジナルを求めた意地から来る言葉だったのかもしれない。彼らは今、ステージで歌っている。<川を越え 海を越え 流れるビートが聴こえた>。この日、Cody・Lee(李)は持ち時間30分を自分たちのビートで完走し、ステージを後にした。

 

IMG_3478

IMG_3575

 

続いて登場したのは言わずもがな、tetoである。スタッフが楽器のセッティングをする段階で観客がフロア前方へなだれ込む。僕は後方からライブを見届けることにした。そしてステージが暗転すると、山崎陸、福田裕介、佐藤健一郎が順に姿を見せた。残すはあの男のみである。観客の歓声もどんどん大きくなる。そこへ小池貞利が登場すると第一声は「何、今日は葬式?」だった。「今日から47都道府県ツアーが始まります。ここが最初の“光るまち”だ!」と言って、オープニング一発目は「光るまち」でスタート。これまでだと頭の歌詞は優しく歌っていた印象だったが、この日は出だしから熱り立つように熱唱。

 

そして言葉にならない叫び声を何度も飛ばした後に「音の上で溺れろぉ!」と言って「高層ビルと人工衛星」が始まった途端、気が狂ったように観客も乱舞した。小池がマイクスンタンドを客席へ放り込むと、フロアから合唱が起きる。ふと周りを見渡すと、男はTシャツが汗で濡れ濡れだし、女はせっかく整えた髪の毛を乱しまくっている。あの様子を言葉にするなら、もう“ぐっちゃぐちゃ”だ。演奏が終わったかと思えば、すかさず「蜩の鳴き声が聞こえる!」と言って「蜩」へ突入。サビになると床がグラつくほど全員がジャンプしながら拳を突き上げる。「100万回、1億回、心が痛えのはよく分かる! 心が痛えのはよく分かるが、それをそのまま表に出しちゃイカしてねえし、しょうもねえ! これは、めちゃくちゃポジティブな歌だ」。そう言って4曲目は「Pain Pain Pain」。もう2人や3人倒れてもおかしくないぐらいの熱狂と危うさがそこにあった。「血も汗も涙も、全部置いていけ!」という叫びとともに1ターン目を締めくくった。

 

IMG_4081

IMG_4093

 

一旦、場を落ち着かせて小池が話す。「自分が高校生の時、友達がライブハウスに出るって言ったのでライブを観に行った。で、その友達は全然イケてる奴でも何でもなかったけど、そのライブを観て俺はすごい感動して。その時の景色を今も心に残しながらバンドをやってるわけですよ。だから観に来てくれた人や一般公募の人にも何か引っ掛かれば良いなと思ってやっております」。応募されたバンドの中から、Cody・Lee(李)は最初に対バン相手として決めたそうだ。「メールには音源と一緒に“山崎さんが全裸になったのを見て、すごい感動しました”と書いてあって。ああ山崎、これは打ち上げで尻を隠さなきゃいけねえなと思って。だって全裸で感動してる男がいるんだから」と話すと山崎は「(全裸のことを)あんま言うたらあかんで。別にアレをカッケエと思ったらダメよ」と袖にいる高橋に向けて照れくさそうに話した。

 

中盤になり「自分のプライドは自分で守れ。自分の場所は自分で守れ。身近な花は俺が守る」という言葉から「ねぇねぇデイジー」を演奏。よくSNSで「こういうバンドにこそ売れてほしい」とか「こういうバンドが認められないと日本の音楽業界は……」と書く人がいるけど、僕は正直そんなことどうでも良くて。tetoに対しても日本のロックを牽引してほしい気持ちや期待は全然ない。ただステージで4人が好きなようにやり続けてくれればそれで良い。<革命を起こされるのはごめんだって 勝手気ままで何とか暮らしてるんだって>のまさにそれだな、なんてステージを観ながら思った。よく小池はライブ中に「最近こんなニュースがありましたけどね、俺は正直どうでも良いんすよ」と言う。周りはどうでも良い、自分は自分だ。でも、それが一番難しかったりする。

 

IMG_4026

IMG_4122

 

そのあとに歌った「忘れた」では<自分の居場所を知られたくない それでも誰かに気づいて欲しい 当ての無い場所を彷徨い>と歌ったあと、「……ああ、俺はもう29歳だ」と漏らした。爆音の中に紛れたその一言は、何か鼻にツーンとくるものがあった。そして終盤に入り「ぶっ倒れる覚悟は、俺できてます。骨を埋めるから拾ってくれ」と言って「拝啓」を披露。「おめえらの歌だろうが!」とマイクをフロアに向けて、小池は客席へダイブする。スタッフが観客と小池を引き剥がすが、何度も何度もフロアへ飛び込んでいく。小池は観客に持ち上げられながら「刹那的な生き方は無視された。求めてねーんだよ!」と怒りや嘆きをぶちまけていた。

 

「残り2曲です。これから47都道府県ツアーへ行ってきます! なんとか骨を折らずに目ん玉飛び出さずに戻ってきたら“ただいま”と言うので、その時は“おかえり”と言ってください。お前らが帰ってきた時は、その時は俺らが“おかえり”って言う番だ」と発して、最後は立て続けに「ただいまおかえり」「LIFE」を歌って4人はステージから去った。

 

IMG_3622

IMG_3601

 

しかし観客が大人しく帰るはずもなく、すぐにアンコールへ。再びステージに戻ってきたのは、福田1人だけだった。「えー、今日はアンコールやりません。メンバーも出てきません」と言うと、フロアから「えー!」という声があがる。「いや、綺麗にまとまったのでね。もうどんなに粘っても(メンバーは)出てこんぞ」と話し、最後は三三七拍子で初日を締めくくった。

 

——終演後。スタッフが機材の片付けをしている中、僕は福田に話しかけた。「今日ってアンコールの時間も用意してたと思うんですけど、演奏しないのはいつ決めたんですか」と尋ねると「ライブが終わった瞬間ですね。“やり切っただろう”ということでアンコールしないことにしました。だけど、自分たちのイベントでアンコールをやらなかったのは初めだなぁ」と言っていた。確かに、この日のtetoは本編だけで十分にやりきった。今度は小池に「カッコ良かったです」と伝えると、じーっと目を見つめて「これで満足されちゃ困りますよ」と僕のお尻をポンと叩き、その場から立ち去っていった。

テキスト:真貝聡
写真:小杉歩


teto 47都道府県ツアー「日ノ出行脚」

▶︎「日ノ出行脚」特設サイト

 

11/15(金)千葉LOOK
OPEN 18:30 / START 19:00
VINTAGE ROCK std.  03-3770-6900

11/28(木)郡山CLUB ♯9
OPEN 18:30 / START 19:00
ノースロードミュージック022-256-1000

11/30(土)山形ミュージック昭和SESSION
OPEN 17:30 / START 18:00
ノースロードミュージック 022-256-1000

12/1(日)秋田CLUB SWINDLE
OPEN 17:30 / START 18:00
ノースロードミュージック秋田 018-833-7100

12/5(木)長野LIVEHOUSE J
OPEN 18:30 / START 19:00
FOB新潟 025-229-5000

12/7(土)富山SOUL POWER
OPEN 17:30 / START 18:00
FOB金沢 076-232-2424

12/8(日)岐阜ants
OPEN 17:30 / START 18:00
JAILHOUSE 052-936-6041

12/13(金)神戸太陽と虎
OPEN 18:30 / START 19:00
GREENS 06-6882-1224

12/15(日)和歌山CLUB GATE
OPEN 17:00 / START 17:30
GREENS 06-6882-1224

2020年
1/19(日)HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
OPEN 17:30 / START 18:00
VINTAGE ROCK std. 03-3770-6900

1/21(火)滋賀B-FLAT
OPEN 18:30 / START 19:00
GREENS 06-6882-1224

1/23(木)長崎DRUM Be-7
OPEN 18:30 / START 19:00
キョードー西日本 0570-09-2424

1/25(土)大分DRUM Be-0
OPEN 17:30 / START 18:00
キョードー西日本 0570-09-2424

1/26(日)佐賀GEILS
OPEN 17:30 / START 18:00
キョードー西日本 0570-09-2424

1/28(火)岡山PEPPER LAND
OPEN 18:30 / START 19:00
YUMEBANCHI岡山 086-231-3531

2/8(土)徳島club GRINDHOUSE
OPEN 17:30 / START 18:00
DUKE高松 087-822-2520

2/9(日)松山Double-u studio
OPEN 17:30 / START 18:00
DUKE松山 089-947-3535

2/11(火祝)静岡UMBER
OPEN 17:30 / START 18:00
JAILHOUSE 052-936-6041

2/19(水)奈良NEVERLAND
OPEN 18:30 / START 19:00
GREENS 06-6882-1224

2/21(金)熊本DRUM Be-9 V2
OPEN 18:30 / START 19:00
キョードー西日本 0570-09-2424

2/23(日)鹿児島SR HALL
OPEN 17:30 / START 18:00
キョードー西日本 0570-09-2424

2/24(月休)宮崎SR BOX
OPEN 17:30 / START 18:00
キョードー西日本 0570-09-2424

2/26(水)四日市CLUB CHAOS
OPEN 18:30 / START 19:00
JAILHOUSE 052-936-6041

2/29(土)高知X-pt.
OPEN 17:30 / START 18:00
DUKE高知 088-822-4488

3/1(日)京都磔磔
OPEN 17:30 / START 18:00
GREENS 06-6882-1224

3/7(土)桜坂セントラル
OPEN 17:30 / START 18:00
PM AGENCY
098-898-1331

3/14(土)HEAVEN’S ROCK 宇都宮VJ-2
OPEN 17:30 / START 18:00
VINTAGE ROCK std. 03-3770-6900

3/28(土)甲府KAZOO HALL
OPEN 17:30 / START 18:00
VINTAGE ROCK std. 03-3770-6900

4/2(木)苫小牧ELLCUBE
OPEN 18:30 / START 19:00
SMASH EAST 011-261-5569

4/4(土)北見ONION HALL
OPEN 17:30 / START 18:00
SMASH EAST 011-261-5569

4/5(日)旭川CASINO DRIVE
OPEN 17:30 / START 18:00
SMASH EAST 011-261-5569

4/18(土)福井CHOP
OPEN 17:30 / START 18:00
FOB金沢 076-232-2424

4/19(日)金沢AZ
OPEN 17:30 / START 18:00
FOB金沢 076-232-2424

4/23(木)周南rise
OPEN 18:30 / START 19:00
YUMEBANCHI広島 082-249-3571

4/25(土)松江AZTiC canova
OPEN 17:30 / START 18:00
YUMEBANCHI岡山 086-231-3531

4/26(日)米子AZTiC laughs
OPEN 17:30 / START 18:00
YUMEBANCHI岡山 086-231-3531

4/29(水祝)高崎club FLEEZ
OPEN 17:30 / START 18:00
VINTAGE ROCK std. 03-3770-6900

5/14(木)水戸LIGHT HOUSE
OPEN 18:30 / START 19:00
VINTAGE ROCK std. 03-3770-6900

5/16(土)盛岡CLUB CHANGE WAVE
OPEN 17:30 / START 18:00
ノースロードミュージック 022-256-1000

5/17(日)青森quarter
OPEN 17:30 / START 18:00
ノースロードミュージック 022-256-1000

5/31(日)川崎CLUB CITTA’
OPEN 17:00 / START 18:00
VINTAGE ROCK std. 03-3770-6900

6/11(木)高松DIME
OPEN 18:15 / START 19:00
DUKE高松 087-822-2520

6/13(土)なんばHatch
OPEN 17:00 / START 18:00
GREENS 06-6882-1224

6/14(日)名古屋CLUB QUATTRO
OPEN 17:00 / START 18:00
JAILHOUSE 052-936-6041

6/20(土)福岡DRUM Be-1
OPEN 17:15 / START 18:00
キョードー西日本 0570-09-2424

6/21(日)広島セカンドクラッチ
OPEN 17:30 / START 18:00
YUMEBANCHI広島 082-249-3571

6/27(土)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
OPEN 17:30 / START 18:00
FOB新潟 025-229-5000

7/3(金)仙台CLUB JUNK BOX
OPEN 18:15 / START 19:00
ノースロードミュージック 022-256-1000

7/5(日)札幌PENNY LANE 24
OPEN 17:00 / START 18:00
SMASH EAST 011-261-5569

7/17(金)Zepp Divercity TOKYO
OPEN 18:00 / START 19:00
VINTAGE ROCK std. 03-3770-6900

 

[価格]
前売り:3,300円(D代別・オールスタンディング)
※6/13(土)公演・7/17(金)公演のみ、1Fオールスタンディング・2F指定

 

[一般発売]
2019/11/15(金)~2019/12/15(日)公演:2019/10/19(土)
2020/1/19(日)~2020/3/28(土)公演:2019/11/30(土)
2020/4/2(木)~2020/5/31(日)公演:2020/1/25(土)
2020/6/11(木)~2020/7/17(金)公演:2020/2/22(土)
2019/11/15(金)~2020/5/31(日)公演:対バン有
2020/6/11(木)~7/17(金)公演:ワンマン

  • UKPHP_バナー
  • アートボード 1@3x-100
  • アートボード 1@2x-100
  • デモ音源募集
  • banner-ukp-newsletter
  • 代沢まつりアイコン
  • CLUB Que SHIMOKITAZAWA
  • 下北沢発。新しい音楽、見つけよう。Majix
  • 風知空知
  • 1000x275_8