ファースト・ミニアルバム「青、時々、goodbye」から一年ぶりのリリースとなる今作から聴こえてくるサウンドは、フィードバックノイズや、スウェディッシュポップ、さらにアーバンポップかと思えば、J-ROCKだったりもする。一見、まとまりのない作品に捉えられるかもしれないが、まるで混沌とした吹き溜まりに集まった渦が、いつのまにかさらりと溶けて消えてしまったような、違和感を感じさせない作品に仕上がった。
焦燥、憂鬱、疲弊、孤独、、、
pollyというバンドを言葉で表現しようとすると、ネガティブな単語が真っ先に思い浮かぶ。フロントマンの越雲龍馬(Vo/Gu)にはこれらの暗い言葉がとても似合う。彼は自分自身にコンプレックスを抱えるどこにでもいるような若者の一人だ。とはいえ、容姿は整っていて、人が羨む甘い歌声の持ち主であり、頭の回転も速いが故に気も利くし、服装のセンスだっていい。たくさんの才能が揃っているくせに、いったい彼はなにが不満で、なにが気に入らないのか?M6の歌詞にもあるが、「ふつうのせいかつ」に嫌気をさしたかと思えば、「ふつうのせいかつ」を望んで眠りにつきたいという。そんな矛盾を抱えながら、日々もがき苦しんでいる。M4では「なにがふつう?」と問いかけ、「僕がふつう」と言い切って歌う。やたらと「ふつう」という言葉に過敏な人間が作る楽曲と歌詞は、とても人間らしく生々しく聴くものに刺さる。
安堵、爽快、希望、友情、、、
前向きなテーマはいつだって時代から求められているけれど、pollyのような救われないテーマを歌うバンドの存在は、陰と陽の対比の如く重要である。救われない歌に、救われている人がたくさんいるという現実を彼らのライブ会場では目の当たりにできるのだが、 まずはpollyの音源に触れることから始めてほしい。そして肯定、もしくは否定してくれることが、日々の生活に不満を抱く越雲龍馬の精神を解放させるはずだ。