カフカから名義を新たに『KFK(読み:ケーエフケー)』として完成したそのファーストアルバムは、
この混沌としたゼロ年代以降のディストピアシティを生きる全ての人へのラブソングである。
ロック、エレクトロ、ヒップホップ、ソウル、R&B、果てはヴェイバーウェイブまでを飲み込み、ジャンルレスに吐き出すスタイルにこそ、KFKのオリジナリティ。唯一無二である。
そして人間の持つ本質的な孤独や、ありのまま汚れていく事への美しさを描いた歌詞世界が渾然一体となった今作は、ファーストアルバム特有の未完成な危うさや、初期衝動と共に心に突き刺さる。
まるでギターロックの亡霊が事故に問いかけるようなサンプリングから始まる「私はもう気にしない」、
80′sライクなシンセリフとサンプリングを主体とした「M i s s i n g」を筆頭に、チルな「Falling Butterfly」、
ソウルやファンクなどをルーツにした「いたって普通」、ヴェイパーウェイブ的なインスト「Neo Tokyo//気象情報」と続く。
バンドの活動の拠点であり、メンバーの愛する世田谷でのワンシーンを歌った「せたがや・とわいらいと」は、EDMとヒップホップをミクスチャーさせたアンセムとして、高揚感を残しアルバムを締めくくる。
マスタリングエンジニアには、メンバーが敬愛するNew Orderを始め、数々の著名アーティストを手掛けているロンドンのアビー・ロードスタジオ「フランク・アークライト」を起用。
ジャケットアートワークは、コラージュやペインティングを中心にさまざまな手法を用いて鮮烈な作品を制作するアーティスト「とんだ林蘭」が手掛けている。研ぎ澄まされた感性との新たなタッグでデビュー作を彩る。
ベッドルームからステージまで、パリピからひきこもりまでを巻き込んで踊らせる、KFK、ここにあり。