2006.2.17
僕は町田康を今日まで知らずにいた。ライブレポの電話で「知ってます」と言ってしまったのは、名前だけは聞いていたからだ。「パンクの神様」それ以外に情報はない。寧ろその一言が十分な情報になった。僕のearに余計な物が詰め込まれる事なく、純粋に彼に魅とれる事が出来たからだ。当日、待てをされた犬のように今かとオーディエンスは待ち構えていた。登場するや否や、彼は夕日色の下で、朗読を奏でだした。斬新な始まりと斬新なスタイルにただただ驚いた。だがこれは助長にしか過ぎん。LIVEが始まり、罠にかかったようにどっぷりと世界に浸った。不協和音な照明が良く合ったSOUNDと独特な詩が織りなすハーモニーは、牛乳とアンパンの最強コンビにも勝る。「うどんだし」「うどんの中の世界」を聴いた時、すぐさま僕は思った。きっとうどんの中は今ここにいるQueで、僕らは町田康というダシにどっぷりつかった麺だと。ダシの中で僕らは泳いでいた。その証拠にとき放たれたように、最後の曲「フェイドアウト」では新曲にも関わらず手を上げるオーディエンスの姿があった。本編を終え、それぞれ思いが隠った盛大な拍手はやがて、そのままアンコール特有の一体の手拍子に変わる。「メシ喰うな」が流れだす。今正にLIVEが始まったかのような空気が舞う新鮮さ。始まりから終わりまで「町田康」と言う本を見せつけられたようなLIVEだった。続きが読みたくなるのは言うまでもない。"町田康ワンマンライブ" 町田康 [撮影/平沼久奈、文/田嶋秀子] ※CLUB Que WEBSITEすべてのコンテンツに使用されている画像の無断転載は禁止です。
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