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Live Report ライブレポート 2019



2019.2.18
"竹原ピストル LIVE"
竹原ピストル -oneman-
竹原ピストル
竹原ピストル
竹原ピストル
竹原ピストル
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真冬の寒い夜にこそ、竹原ピストルの歌声が聴きたくて下北沢に向かった。開演寸前のCLUB Queは、入り口のカウンターの前まで観客で一杯だった。昨年末、日本武道館でギター1本の弾き語り公演を行ったことも記憶に新しいが、今夜はどんなライブになるだろうか。男性ファンが8割程を占めるフロアの後方からは、拍手と歓声と共にステージに登場した姿は見えなかったが、あらきゆうこ(Dr)、サトウヨウスケ(Ba)を率いて、竹原自身はアコギを掻き鳴らす、シンプルなバンドセットでライブが始まった。

むしろステージと客席の近さに、初めはお互いによそよそしくも感じたが、次第に緊張が解けていくにつれ、少しずつ人の谷間からステージが見えてきた。中央で頭にタオルを巻いてアコギを構え、少しうつむき気味で不器用に、でもまっすぐ誠実に歌う竹原ピストルの姿があった。まるで会話しているような歌詞で、私小説的な世界観を親しみやすいメロディに乗せ、時にはラップ調で語りかけ、その言葉を受け取った観客との距離感を一足飛びに縮めてしまう。一方で、あらきとの可愛らしくも温かいムードのデュエット(mi-gu「Train run」)で新たな面も見せた。CMでお馴染みの「あ。っという間はあるさ」の軽やかな演奏に、お客さんの笑顔が広がった。

そんな中、血管が切れそうな凄みで魅せたのは、ミジンコの歌に置き換えた竹原流「Amazing Grace」の最後のフレーズ。聴きながら、自分の親不孝を顧みて涙するほど心が揺さぶられた。そしてドラマ『バイプレイヤーズ』の主題歌「Forever Young」を聴いて、大杉漣さんを思ってしんみりとした。竹原は久しぶりのQueのライブを、北海道から上京してすぐ、下北沢周辺での“野狐禅”のライブ活動で悔しい想いをした当時を思い出し、甘酸っぱい気持ちになったと語った。「どーん! とやってこい」「み~んなやってるか!」などの歌詞に前向きに背中を押され、「よー、そこの若いの」では観客も共に歌い、歓声を上げて盛り上がった。

本編ラスト2曲ではロックなサウンドに乗せて、ほぼラップと化した言葉のパンチを連投。アンダーグラウンドから狼煙が上がるぞ! と何度も叫んだ。本編が終わった瞬間、竹原は頭に巻いたタオルを外すと満面の笑顔で「クソ緊張したぁ~!」ともらして楽屋に下がった。途中のMCで「会場の大きさを問わず、お客さんの数を問わず、何百回、何千回ステージにあがっても、もうガクガクと膝が震えるぐらい緊張する。こればっかりは慣れるものじゃないんだな」と告白していたのがよみがえる。アンコールの拍手に応え、4曲を披露すると最後に「シモキタで死ぬほど飲むぞ~」と歌詞にぶち込んで、この日のライブは幕を閉じた。唯一無二の竹原節に彩られた楽曲と、あの緊張から解き放たれた“ほっかほかの笑顔”を胸に下北沢を後にした。

[文:下村祥子/撮影:前田美里]

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