夏ノ陣、この日の対バンはバンド結成20年のnano.RIPEと、まだ公式HPすら持っていない平均年齢20歳・超新人であり注目バンドBambooというドキドキの組み合わせだ。
先攻のBambooは「Go Straight」から幕を開けると、タイトルの通り真っ直ぐで爽やかなバンド・サウンドを響かせていく。「黒いアルバム」へと続くと手拍子が沸き起こり出だしは好調だ。ロングセットの経験もまだ少ない彼らだが新曲「Chocolate」や“夏の歌を”と「クロノス」とバッチリと盛り込んでいた。晴れやかな表情を浮かべながらギターをかき鳴らし歌う平沼智奈美(Vo.Gu)は、トークになると一転して新人らしいノリのよさで“私たちは高校の軽音楽部で結成したバンドで、卒業してからその延長で活動していて。こんなステージに立てるなんて。もちろんいまはガチで、本気でバンド活動してるんですけどね(笑)”と夢にも思ってなかったと本音を漏らす。リヴァーブのかかった幻想的なムードの「Who is?」やミディアム調の「月光」など、多彩な楽曲を響かせ、「偽りをもって」とバラードを披露。たっぷりと想いを届け終盤には“自分たちの自信作です”と紹介し「泣くな少年」へ、メンバーの緊張もほぐれた様子で“みんなの表情が柔らかく見える”と平沼。いままでとは違う感じの新曲と紹介し「H.E.」を演奏すると、ラストに“休憩している暇なんてないよ! いくよー!”と煽り「ウタウタイ」へなだれ込み、ベストを尽くすライヴを見せた。
続くnano.RIPEは、のっけからステージも観客もヴォルテージは全開。「絵空事」ではお決まりのファンの合唱あり「ノクチルカ」でコール&レスポンスを交えていく。“夏が始まりましたよー!”と投げかけるきみコ(Vo.Gu)に応えるように大盛り上がり。「なないろびより」と季節にぴったりな楽曲からゴリゴリのハードなナンバー「虚虚実実」を挟んでいくと、MCを挟み“大切な曲を歌わせてください”と「アイシー」へ。nano.RIPEの元ドラマー青山友樹が亡くなりもすぐ1年が経つ。忘れたくない人、想い、やさしく包むように歌い上げた。空気を変えて“今年、やっと夏が好きになった”と嬉しそうにきみコは、夏の高校野球の番組に起用された「ローリエ」をライヴ初披露。きみコ自身が学生時代から励んでいた思い入れ深い野球であり、少年が抱く希望や勇気、nano.RIPEらしい表現されたナンバーだ。少し話しが本題からそれるが、この日は外国人のファンも数名訪れていて転換中のフロアは英語、中国語と多言語が行き交っていた。アニメや番組の主題歌なども手がけてきたnano.RIPEだけに出会いのキッカケはそれぞれあると思うが、ライヴを体感するほどの愛情はたしかなもの。そんな熱気が渦巻く終盤戦は「ツマビクヒトリ」とキレッキレの演奏で圧倒すると、最後の「ステム」で拳を突き上げる観客に応戦するようにステージを繰り広げてライヴを締めくくった。観客から“nano.RIPE”とコールに応え再び登場したメンバーは、「ハナノイロ」を演奏してフィニッシュ。これからロックフェス出演など、夏を一気に駆け抜けるnano.RIPEが夏の始まりを告げるようなライヴだった。
[文:大島あゆみ/撮影:前田美里]