ZtZ後藤:君らは21歳で、俺は26歳、離れているけど同世代だと思ってるの。変な話だけどライブハウスに求めるものって、何かある?

栗原:お客さんの立場からすると、もうちょっとお客さんの事考えてくれてもいいかな、と思います。例えば椅子を用意してもらうとか、荷物置きを用意してもらうとか。

ZtZ後藤:ライブハウスから寄りかかるというね?

渡辺:俺としてはフラっと集まれる場所であって欲しいです。ライブハウスって最初来る時、怖いじゃないですか?そうじゃなくって、もっとホッと出来る場所にしていきたいと。

福永:ちょっと話ずれると思うのですが…。ライブハウスが、というよりは、活動全般なんですが、昨年Zher the ZOO YOYOGIで[RAG TIME konzelt注釈6]という企画をやらせて頂いたのですが、そういうイベントを創って、ライブハウスでこうやったりとか、ラグタイムの時に、今までに(内容的に)前例が無くっても『こういうのやったら面白いんじゃない?』みたいな妄想あるじゃないですか?その妄想を皆で頭くっつけて考えて、どうしたら実現できるのかって考えていって、考える時点で楽しかったしそれを実現した時にお客さんが凄いピースフルな顔で帰ってくれて。『凄い良い企画だった!』って言ってくれて、そういうワクワク感というか、枠にとらわれないような、『今までどうだった』とかじゃなくて、『これは無理そうだから』とかじゃなくって、思いついた楽しそうな事を俺は全部やって行きたいなぁと思ってて。去年はライブハウスという枠も取っ払って、公園のベンチとかにただ座って、野外フェス的なものをやってみたりとか。フェスっつってもそこらへん歩いてる人に手拍子お願いしたりとか。作品作りに関してもライヴに関しても企画に関してもどんな活動にしても、やっぱ作り手側はワクワクしてないと、見る側も楽しめないと思いますし。俺、よくいうんですけど、秘密基地を子供の頃に作ってた感覚に近くて。『これヤバイの創っちゃったよ』って思うけど、『でもこれ秘密だから見せないけど、超見せてぇ』みたいな。で、結局見せるみたいな。親呼んで来て『これ秘密基地なんだよ』って。あのワクワク感ばかりを俺はやって行きたいと、去年の企画以降思い始めて。音楽的なアプローチもそうだし、ライブハウスでのライヴもそうだし、ライブハウス以外でもそうだし、あらゆる面で今はこれやったら面白いというか、いたずら心というか、そこを大事に活動していきたいです。

ZtZ後藤:そうなんだよね。やっぱり固定概念は本当にいらなくって。ライブハウスはそういうフラットな自由な場所であって欲しい。どんな事を発言してもいい場所だから。間違いも、勿論正解もないんだけどね。いかにライブハウスの人間が思わない、言わない事をアーティストが言うか、行動するか。大事だよね。困らせて欲しい、ライブハウスの人間に頭を使わせて欲しい(笑)。俺らの考えもしない事を言って欲しい。それこそ君らのような若い人たちから。

福永:ワクワクすることじゃなきゃダメですよね。

ZtZ後藤:aireziasがさ、指揮者となって皆を引っ張ってて欲しい。aireziasのようなバンドがもっと沢山出てくるといいよね。ラグタイムなんだけど、airezias的にはthe roomsとGOOD BYE APRILはどういうバンドなのかな?

福永:良きライバルであり、良き友達であり、刺激をうけつつ励ましあいつつ(笑)

ZtZ後藤:この3バンドが企画やるのって、結構異質なんだよね。どういう流れで企画に至ったの?

福永:最初the roomsとはREVOLUTION ROCK注釈7というオーディションの最終審査に2バンドともいて、その審査の控え室で仲良くなって。その時別に企画の話はしなくって。『また今度なんかやろうよ』とは意気投合して。まぁその審査は2バンドとも落ちて。その後の2010年に学芸大メイプルハウスでGOOD BYE APRILとthe roomsとウチと対バンして。その時にGOOD BYE APRILとも喋って意気投合して。当時俺はなんか面白いことしたいなぁと思ってて。吉祥寺のライブハウスの方に『お笑い芸人ってライブやるときおんなじメンバーで各地を周っていくんだよ?』って言われて。音楽のフェスって、毎年出演者入れ替わるじゃないですか?おんなじ名前の企画でやってるのに。でもお笑いだと同じ企画で同じメンバーでやる。そうする事によって企画に愛着が湧くというか。企画自体にファンが付く。それは凄いと。何で音楽業界はそれをあんまりやらないのかな?と思って、そういうのやりたいなと思って。それで今俺が誘いたいしカッコいいと思うバンドを誘おうと思って、それがthe roomsとGOOD BYE APRILで。連絡した所速攻OKで。そういうのに賛同してくれる方々で、気も合うし。それでこの3バンドでやる事になりました。

ZtZ後藤:この3バンドは音楽的にはバラバラだけど、年齢も近いし、3バンドの伸びしろにしろ、若い発想にしろ、最初その話をウチに持ってきた時には、まぁ結果論になるけど、勝つ要素しかなかったから。だから断る理由もなくて。だからOK出来たし。でもそういう決断もライブハウスには必要だと思ってて。だから一つ壊してくれたよね、airezias達が。そういうの待ってた。そうやって手を出してくれたら、こっちだって手を繋ぐよ。って。

福永:フルアルバム作ろうってなったのも、ラグタイムがきっかけで。正直にいうと、俺ラグタイムが始まるまで、不安でしょうがなくって。他のバンドがなかなかやらないような事を…、それこそ今まで皆避けていたって事はそれだけの理由がある訳で。でもやりたくなったし。始まる前に不安になって。でも始まってみると本当に楽しくて。『我々で創り上げたんだぜ!?』みたいな(笑)。それがちゃんとお客さんにも届いたんですよ、あの日は。帰り際も凄い良い顔してくれてて。そういう作りこんで、面白いこと実現できるか判らないまま飛び出しちゃって、飛び出しちゃったから何とかしようってなって皆で知恵出し合って、作り上げていく。それが凄い楽しい事に気付いちゃって。もともとフルアルバムという話は何となくあったんですけど、俺もうその時に次のアルバム作るんだったら『普通のアルバムって言わせねぇぜ』と思って。言わせたくないなって。俺らが思いつく面白い事、ワクワクするような事、ギミックを全部詰め込んで『これ、絶対面白いでしょ?』『これなら面白いでしょ??』みたいな。絶対妥協したくなくって。6月のラグタイムの直後くらいからずっと構想を練ってて。頭の中でこの曲がここにあってとか。アルバムっていうか、もうアルバムという概念にもこだわらないようにしようと思って。だからラグタイムをきっかけに今回のアルバム創ろうと思ったし、そこからの活動がすごい、変わりましたね。そういうワクワク要素を詰め込む楽しさを感じて、そしてそれがちゃんと届くんだなと判りました。曲に、『え?そんな音聞こえるの??』みたいな小さい事もやってますよ。『意味あんの?』みたいな細かい事もやってるんですよ。でも、聞こえないんですけど、伝わるんですよ。っていうのを俺ラグタイムで実感した。逆に言えば手抜いたものも絶対伝わるんだなと。

ZtZ後藤:ばれるね。

福永:今回のアルバムは、そういった思いで作ったものです。

ZtZ後藤:今後の活動は?ラグタイムもあり、アルバムも出す。ワンマンもウチでやると。

福永:ラグタイムもありますし、その時にアルバムもリリースします。そのぴったり1ヶ月後にワンマンやります。アルバムのコンセプトワンマンをやります。

栗原:その後は、アレとかですね(笑)

ZtZ後藤:あれね。

福永:これからもワクワクは追及しますね。新しい事にどんどん挑戦していきますね。

栗原:常識っていうか、『これはこういうもんだよね?』っていうのをぶち壊していきたい。壁を1枚1枚でも。5枚くらいイッキにでもぶち壊していきます。

福永:そこに関しては俺ら妥協しないです。シーンぶち壊したいっていうか…、度肝抜かしたいです。折角なんで。

ZtZ後藤:今一番賢いのは、もしかしたら君らの世代なのかも。

福永:(若いから)"知らない"って武器がありますから。知ってしまえば知るほど…どんどん逆に…。

ZtZ後藤:馬鹿になるよね(笑)

福永:まだなんにも知らないんで、だから一番賢いです!発想しかないんです。

渡辺:俺は海外旅行がしたいです。

一同:笑

渡辺:今までもそうだったけど…、一瞬のニュアンスとかそういう部分にもこだわりを持ってるんですけど、それとワクワクすること、もっと繋いでいきたい。それがこだわればこだわるほどきっとワクワク出来るとは思っています。自分の長所でもあると思う。手を抜かない。それを強めていきたいです。

ZtZ後藤:真面目だなー!だてに皆メガネかけてないね。

福永:多分レースゲームとかやったら、0.01秒のために必死になりますね。

ZtZ後藤:じゃあ最後にそれぞれ一言ずつどうぞ。

渡辺:繰り返しのようでアレですが…。太陽って自分達で見ようとしても見えないじゃないですか?まぶし過ぎて。でも月ってそうじゃなくて、見えるじゃないですか。部屋の明かりを消せば、その(月の)灯りが入ってくるじゃないですか。そういうバンドでいたい。なんだかんだで人との繋がりを大切にしているので、それを今後も大事にしていきたいです。あとアルバムはめっちゃこだわってるんで。ノイローゼになるんじゃないかって程(笑) 自分達の今の最善は尽くしました。宜しくお願いします。

栗原:とにかくこのバンド、今ちょうど掴んで昇っていくところなので、これが順調に行くように、(メンバーを)手助けをして行きたいです。パート的にもドラムなんで。調整していきたいです。お客さんに対してはいいライヴを見せていきたいです。

福永:さんざん言ってきてはいるのですが、本当に楽しい事をやっていきたいです。これからもずっと。こだわるとこにこだわっていきたいですし。これから作る作品は全部そうだし。固定概念にこだわらずに挑戦していきたいので、これからも応援宜しくお願いします。