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【UKP OFFICIAL LIVE REPORT:TOTALFAT】ベスコレTour 2014@Zepp東京 LIVE REPORT
3月12日千葉LOOK公演からスタートした超ロングツアー「ベスコレTour 2014」も遂に終盤戦。このレポートでお伝えする東京ワンマン公演はもちろんソールドアウト。たくさんの観客がZepp東京に足を運んだ。
ホール内は開演前からまだかまだかと、ところどころで手拍子を始めヒートアップするオーディエンスの姿も見られる。客電が落ちるとホールは一気に大歓声に埋め尽くされた。ステージを覆う幕に照明の演出が照らし出され、鳴り響くSE。幕にメンバーのシャドウが浮かび上がった瞬間、さらに湧き上がるオーディエンス。幕が落ちると開口一番「東京かかってこい!」とJoseのシャウトから一曲目『DA NA NA』になだれ込む。ウォーミングアップ無用のホール内はすぐさま熱狂の嵐に包まれた。
『Room45』ではメロディックに奏でられるアルペジオをバックに「お前らの声を聞かせてくれ」とShun。サビではKubotyの高速タッピングが炸裂させ、丁寧にそのギアを上げていく。『X-stream』『Summer Frequence』『Livin’ for The Future』と続き、この日を待ち望んでいたのは誰でもなく自分達だと言わんばかりに堂々たる演奏を見せつける。ステージを縦横無尽に駆け回り、比類なきテクニックで表現するKuboty。フォーム度外視のダイナミックなドラミングでエモーショナルさを惜しみなく発揮するBunta。オーディエンスに「おめえらそんなもんじゃねえだろ、もっと来い!」とJoseが放つと。すぐさまオーディエンスも反応。瞬く間にダイバーで埋め尽くされる一幕もあった。
MCではShunが「バンド14年の歴史で一番やばい日にする」と宣誓し、それにありったけの声で応えるオーディエンス。するとステージの両脇から二基の和太鼓が登場すると、ここでこの夏彼ら最大のアンセムとなった『夏のトカゲ』をドロップ。『feat.男鹿なまはげ太鼓』がプラスされ、より強靭なグルーヴを得て高らかに鳴り響く。圧巻だったのは間奏中、Joseの「タオルを回せ!」コールからホールは一気にタオルを回す人の海となった。各地の夏フェスで天井知らずの盛り上がりを見せていたこの曲の熱量はこの日も余すことなくZepp東京を包み込んでいた。直後に演奏された『Save Your Days』では「どんな時でも音楽がそばにあった」と音楽に対する想いを、ひとつひとつ切実に言葉とメロディに託していたのが印象的だった。7月にリリースしたシングル『夏のトカゲ/Save Your Days』の曲順通りの披露となったこの2曲のセクション。このシングルがバンドにとっていかに重要なターニングポイントになっていたのか、彼らの曲に対する想いがパフォーマンスとして見事に表現されていた。
減速という概念がどこか吹っ飛んでしまったF1マシンのように『Invention~Good morning,my treasures~』『Highway Mark4』『Show Me Your Caurage』の3曲を立て続けにプレイし、その加速をどんどん増していく。これでもかと無尽蔵なバンドそのスタミナにただ感服するばかり。しかしオーディエンスもその加速にひるむことなく真っ向から対峙。互いが互いを信頼し合い、TOTALFATが「もっとついて来い!」というコールに対し全力でそれに応えるオーディエンス。この場所を共有しているもの同士の濃密なコミュニケーションが生まれていた。
ライブも折り返し地点に差し掛かったところで、Buntaドラムソロセクションが登場。TOTALFATの屋台骨を支える彼のドラミングは野性的でパワフル。照明と同期のトラックと一体となり独自の世界観を作り上げ、これまで激しさに包まれていたホールは一転、Buntaのパフォーマンス一点に目を奪われていた。
続いてはKubotyのソロセクションへ。次代のギターヒーローの担い手として、その注目を集めている彼のパフォーマンスは約三分間ソロを弾き続けるというもの。緩急変幻自在のフレーズワーク。ただただ一言にテクニカルと言ってしまうには言葉が足りないほどに、様々な表情をギター一本で表現していた。
Bunta、Kubotyのソロセクション後、JoseとShunが登場しバンドスタイルに。ここで鳴らされたのは『PARTY PARTY』。特効として四本のノズルから大量のスモークが放出され、急激なボルテージアップに再びホールは熱狂の渦へと化していく。ラウドなサウンドを切り裂くようにJoseのハイトーンボイスもその鋭さを増していき、その後の『Life Like Movies』『Call It Love』へと畳みかける。
Shunの「歌とギターだけで届けたい」というMCを挟み、ここでアコースティック形態にセットチェンジ。JoseとShunがアコースティックギターに持ち替える。14年前に初めてZepp東京で観たライブはNOFXで、そして自分がどのあたりで観ていたのかを少年のような面持ちで話すShun。自分にとってZepp東京という場所がいかに特別かを話した後に演奏されたのは『The Naked Journey』。2声プラス2本のアコギ。まさに削ぎ落とした音数で構成し、オーディエンスを魅了していた。続く曲は「封印したつもりの曲」と紹介された『Always』。Buntaの強力なプッシュによりこの日の演奏が決定したというエピソードを明かし、Buntaがカホン&シェイカー、Kubotyがアコースティックギター、JoseとShunがツインボーカルとして、アコースティック編成になることでメロディアスな成分が強まり、より浸透度が増した二曲。まさにワンマンならではのスペシャルなパフォーマンスとなった。
後半戦に差し掛かり『World of Glory』『I Wanna Make You Feel Alright』『Just Say Your Word』『Good Bye, Good Luck』と「ベスコレTour」にふさわしい盤石の曲たちが集う中、MCでは「明日の朝まで(LIVE)やってたい」とShun。「俺たちは音楽を止めません。14年前、NOFXを観にここ(Zepp東京)に来たこと、でもさ14年かかったけど諦めなければ夢は叶うんだよ!自分の中に何かを持ってる奴は俺たちについてこい!」と自らの感情を飾らず、惜しげもなくオーディエンスに伝える姿は彼らが音楽を愛する永遠のキッズであり、音楽と共に歩むという道を選んだバンドが、一本一本のライブに己の夢を叶えるための力を注ぐドキュメントとして観るものに伝わる。だからこそオーディエンスはTOTALFATというバンドを選び、信頼する。そのサークルのサイズがどんなに拡大しようと、観る景色がどんなに変わろうとも彼らの音楽は常にすぐそばで鳴りつづけるだろう。本編ラストには『Good Fight & Promise You』『Overdrive』の2曲がプレイされ本編が終了した。が、オーディエンスはまだ足りないと言わんばかりにアンコールを求める手拍子を開始。上半身をツアーTに統一したメンバーが現れ、Joseが一言「俺たちさまだ速い曲残してんだよね」と告げた。ここでプレイされたのは『ROCKERS IN DA HOUSE!!』ギアなんか取っ払らうために投下された限界突破ナンバー。Buntaの高速ビートがホール全体を震わせ、Kubotyの情報量のふんだんに詰まったテクニカルフレーズが矢継ぎ早に放たれる。そして『Highway Part2』『Dear My Empire』と続き、「音楽を止めないのが俺らの役割。だからお前たちも中途半端なところでやめないで、俺たちについて来てください。このでっかい会場で音楽に恩返しをしよう。またライブハウスで会いましょうTOTALFATでした!」とShunがメッセージを残し、最後は「涙こえて 君と進んでいこう」と歌われる『Place to Try』で全エネルギーを出し切りオールフィニッシュ。涙を隠さないからこそ彼らの音楽は誠実で愛される。そんなことが改めて確認することができたアクトだった。この先、どんなことがあっても彼らの音楽は鳴り続けることだろう。彼らがそうだったように、憧れの連鎖は終わることなく繋がっていく。新世代の牽引者としてアティチュードを示し続ける限りTOTALFATの旅は終わらない。[文:濱田和人(UKP) / 撮影:AZUSA TAKADA]
【TOTALFAT ベスコレTour 2014@Zepp東京 PHOTO GALLERY】