dialogue
【UKP OFFICIAL INTERVIEW】「over sleeper」リリース記念 ヤマジカズヒデ×小野島大 対談
―:今作は『400 モアイアイズ』(1994年)以来のソロ・アルバムということになるんですね。21年ぶり。
そうなんですよ。
―:でもその間にCD-Rを一部のお店でいっぱい売ってたでしょう。あれ全部で何枚あるんでしたっけ。
あれね、20枚ぐらいある(笑)。
―:それはソロ・アルバムとしてはカウントしないってこと?
そういうことになる…よね。カウントしてもいいんだけど、そうすると…。
―:20何枚目のソロ・アルバムってことになって…。
(笑)そうそうそうそう。なんかJandekみたいな感じになっちゃうからさ。だからその…公式、というんですか。
―:じゃあ正式に全国流通するソロ・アルバムとしてこれが4枚目のアルバムということで。
そうです。
―:ここにきて、なぜ出そうと思ったんですか。
なんかね…須藤君(俊明。b)と小淵沢のスタジオで何回かuminecosoundsとかでレコーディングしたんだけど、そのスタジオがすごい良くて。オレと須藤君の2人のコンビネーションも楽しい感じで。で、”遊びでなんか録りませんか”って話になって。それで、どうせだったらソロで出しちゃおうか、みたいな。そういう軽い感じで。
―:その話をしたのはいつごろなんですか。
たぶん一昨年とか、そんなもんじゃないかな。
―:あ、そんな前なんだ。
うん。そんで去年の3月ぐらいに、やりたい曲もだいたい決まってきたので、じゃあやりましょうと。それまではいろいろネットでやりとりしてさ。曲の断片を須藤君に送りつけたりして。メンバーも2人で決めて。だから須藤君なくしては作り得なかったアルバムだね。
―:須藤さんとやることで具体的にはどういう手応えがあったんですか。
どうだろう…一番最初はdipのトリビュート(『dip tribute 9Faces』)で自分のセルフカヴァーやった時が、2人でやる楽しさを知ったきっかけだと思うけど。曲が須藤君のアイディアでどんどん深まっていく感じがすごく楽しくてね。
―:そういう経験はそれまでなかったわけですか。
あんまなかったなあ…うん。プロデュース、というよりは作曲にまで食い込んでくる感じ。だから共作だよね。オレがuminecosoundsで4小節だけの断片を持っていったことがあったんだけど、それが須藤君の発想で1曲にまとまっていったり。そういうのを経験して、すごく楽しいなと思ってさ。
―:なるほど。曲の元になるようなものを須藤さんとやりとりしながら形にしていった。
うん、だいたい基本はオレと須藤君と本庄(克己。ds)なんだけど、須藤君と達久君(山本。ds)の2人でベースとドラムだけを録ったテイクがあってがあって、キーがメジャーかマイナーかも聞かされないまま、それに合わせてオレが聴いたイメージだけでギターをダビングしながら曲を作っていく、みたいな、そういうスタイルでもやったね。あと英子さん(石橋。p)はオレと須藤君でレコーディングしてたらジム・オルークと達久君と一緒に遊びに来たの。せっかくだからなんか弾いて、ってお願いした。
―:仕上がったものを聴くといろんなタイプの曲が入っているけど、そのどれもがヤマジ君らしい個性がありますね。
そう思います。
―:これは出てくるままに曲を作っていった感じで、特にテーマとかコンセプトを決めて作ったわけではない。
ないですね。うん。
―:dipとの区別はどうつけてるんですか。
どうだろう…2曲目(「amplhicar」)なんかはdipでボツになった曲なんですよね。
―:ロックンロールですね。dip、というかバンドに合いそうだけど。
たぶん(dipの)3人でやってみて、オレがあまりピンとこなくて、そのままやらなくなったんだと思う。でもメンバーが代わって、こっちのソロで軽い感じでやったほうが合ってたなあって。
―:最近のdipは、長尺のサイケデリックでミニマルな、ギターがドローン的に鳴っているような曲が多いですよね。そういうのじゃない曲、特に歌ものがここに集まってきたという印象もあります。
それもあるかもね。
―:12曲目「hypnopedia」はインストですが、ちょっと毛色が変わってて、長尺のサイケデリック曲。テープ逆回転ノイズとか入ってる。
あれね。あれは自分の中ではグレン・ブランカをやってるつもりなんだけど。
―:なるほど。ああいう実験的な曲ってdipでもしばらくやってなかったですよね。
そうだね。そうそう。須藤君との会話でそういうのが蘇ってきた感じもあるかな。
―:長年dipをやってきて、dipはこうじゃなきゃ、みたいな決めごとができてきたというのはあるんですか。
いや、ないんだけど…たぶんね、ここに入ってる曲の断片も、dipのアルバムを作る時のミーティングで聴かせたと思うんだよな。そこからこぼれた曲というか。
―:なぜこぼれたんですか。
もっとバンドにあうような曲が別にあったってことだと思う。
―:じゃあ今作はバンド向けじゃない、基本はひとりでやるような歌もの、弾き語りに向いた曲が多いということですか。
いや、そこが微妙なところで、今作の曲をライヴでやるなら、バンド・サウンドでやりたいんだよね。最初の断片は弾き語りだけど。
―:つまりそういう微妙な境界線上にあるような曲が多くて、それは須藤さんとの共同作業によって生まれた、ということなんでしょうか。
うんうんうんうん。そういうこと。
―:じゃあ今度のアルバムでヤマジカズヒデのどういう部分が引き出されたと思いますか。
なんだろうな…叙情的な部分ですかね
―:ヤマジ君のルーツのひとつとしてフォークがありますよね。それは初期のソロ作にも出てましたが、今作もやはり叙情的な歌ものという形で現れてますね。
そうだね。終わってみたらかなり歌ってるよね。最初はここまで歌う気はなかったんだけど。
―:常日頃、歌うの好きじゃないって言ってるもんね。
うん。
―:歌いたくなる時の気分ってどういうものなんですか。
カラオケとか?(笑)。
―:他人の曲なら歌えると。
他人の曲は楽しいよねえ。
―:今回も1曲カヴァーをやってますね。リー・ヘイゼルウッドとナンシー・シナトラのの「some velvet morning」。60年代のサイケ・ポップの名曲を、石橋英子さんも参加してノイジーに仕上げてます。
そうなんですよ。昔から好きで、ソロのライヴでもやってたんだけど、ちょっといい感じでできたから録りたいと思って。
―:昔からカヴァーはたくさんやってますよね。取り上げる基準はなにかあるんですか。
好きだっていうのは当然だけど、そのなかで自分に合ってるんじゃないか、この曲をオレがやったらいいかも、とか。この曲をこんな感じでやったらかっこいいなと思いついた曲とか。あるいは、こういう感じのサウンドをやりたいと思って合ってる曲を探してみたりとか。そういうのもありますね。
―:CANIS LUPASの「天使」も、自分がやった方がいいと思ったんですよね(『Sunday Paffce』収録)
そうそう。そんなこと言いましたね(笑)。今聴くと原曲もいいけどね(笑)。
―:他人の曲を歌うのと、自分の曲を歌うのはまた気分が違うわけですね。
自分に合ってる音域とかも、未だにわかってないかもしれない。
―:でも今回は「歌いたい」という思いが強くなったということですか。
ていうか、今回はたまたま”歌を入れた方がいい”と思った曲が多かったってことだよね。
―:そこらへんはdipのメンバーとやるのとは違う化学反応があったってことですね。
あるある。須藤君とはすごくある。プロデューサー的というか、全体を見て意見するから。ナカニシとナガタっちはもっと自分のフレーズを作って曲の中に没入していく感じだけど、須藤君はもっと全体を見てプロデューサー的に意見してくれる。オレの良さをより引き出してくれる。こういうフレーズ弾いてくださいとか、結構無理難題を言われたりもしたんだけど、それがけっこう楽しかったりして。
―:ああ、そういうふうに須藤さんの提案やアドバイスで歌ものも増えていったと。
そうかもしれない。
―:自分の気づかなかった自分のいいところを須藤さんが見い出してくれたという。
それはあるかも。”これすごくヤマジさんぽいギターが録れましたねえ”とか言ってくれたことが何回かあったなあ…。”hypnopedia”とかそうだね。オレにはそういうプロデューサー的な資質は薄いからね。
―:全体を客観的に見てバランスをとったりするのは好きじゃない。
自分で仕切るのはあまりしたくない。今作は須藤君がやりましょうって言い出したから、じゃあ須藤君に乗っかろう、みたいな気分でやってたからね。
―:自分のソロ・アルバムなのに。
(笑)あははは! だからすごく楽しくできたよね。
―:dipを離れた自分の個人的な歌をうたいたいとか、そういう動機みたいなのはあまりなかったんですか。
なかったねえ。須藤君と遊びたかったという(笑)。
―:楽曲のできるきっかけはギターのフレーズだったり…。
そうそう。
―:「こういうことが歌いたい」みたいな、そういうものはないわけですか。
ないんだよなあ…うん。
―:でもそれがどこかの段階で歌がついて、歌詞ができるわけですよね。それはどういうきっかけなんですか。
うーん…どうかな。今まで書きためた歌詞から選んで、はめていったみたいな感じですかね。半分以上そうかな。新しく書いたのもいくつかあるけど。
―:ノートに書きためてあるんでしたっけ。
うん。最近はiPadの中に入ってるんだけど。
―:歌詞は響きとか語感とか…
そうですね。もちろん意味のある歌詞もあるけど、基本的には感じたことや思いついたことを書き留めていったもので、”これを歌いたい”"聴いてほしい”という感じで書いた歌詞はないですね。
―:楽曲全体の雰囲気やイメージやフィーリングの中のパーツとして歌詞がある。
そうかもしれない。言葉や歌いたいことが先にあるんじゃなくて、楽曲にあってる言葉を選んでいくという作業ですね。
―:歌詞も含めて、今回のような叙情的な部分は最近のdipにはあまりなかったですよね。ソロ初期の儚げでゆらゆらと漂っているような、そんな雰囲気もあるし。
そうそう。1曲目(「over sleeper」)はかなり初期の雰囲気が出てるんじゃないかと思うけど。
―:ギターのアルペジオによるインスト曲。すごく静かで美しい曲です。ソロ初期、それも1枚目の雰囲気に近い。初期の雰囲気、というのは意識したんですか。
「いや、意識しないでできた曲なんだけど、これが一番かってのソロっぽい感じかなと。これはNHKのTVのドキュメンタリーを見ていて思いついたんですよ」
―:どんなドキュメンタリー?
「二・二六事件(笑)。後ろで流れてた、ローズ・ピアノみたいな音がいい感じのコード進行で。それを意識して作った曲なの。二・二六事件は関係ない(笑)。NHKの番組の音楽ってけっこういろんなミュージシャンがやってて面白いよね。その番組の音楽は誰がやってるのかわからないけど」
(注:この番組はNHK特集『二・二六事件 消された真実 陸軍軍法会議秘録』(1988年制作)と思われる。音楽家クレジットはなく、「(音響)効果:斎藤実」とある)
―:曲ができる場合、自分の中からふと出てくるというよりは、そうして何かにインスパイアされて出てくることが多い?
あ、それがほとんどかも。電車のなかで曲を聴いてて、駅に着くとホームで発車の音が鳴るでしょう。それが曲に絶妙に合ってたりして、こういう感じでキーボードが入る曲がいいなあ、とか思ったりして。そういう感じ。
―:いろんなところから着想を得て、それを自己流に展開する。
発想のヒントはあちこちに転がっているってことだね。iPadでシャッフルで音楽を聴いていて、この曲の次にこれが来るんだって新鮮な驚きがあって。そのイメージでアルバムの曲順を考えたりね。
―:そういう意味ではごく日常的なところから出てきている音楽ということですね。
そうなんですよ。けっこう生活に密着しているんですよ。
―:dipとの大きな違いはそこですね。
そうかも。その影響が直で出る感じかな。
―:そういう意味では、これを作っている1年間は、ヤマジ君にとってわりと平穏な時期だったんじゃないか、という気がします。それが音に表れてる。
けっこう忙しかったけどね。今思うと充実してたのかもしれない。
―:ここ2、3年で、すごく開かれてきてるでしょう。セッションとかに呼ばれる機会がすごく増えて。それは自分にどういう影響を及ぼしてますか。
音楽的に言えば…たとえばこないだやったtwin tailで、勝井さん(祐二)のループの使い方に触発されたり。自分の演奏をループして、そこにさらに自分の旋律を乗せていく楽しさとかね。そういうのがdipに生かされたりとか、それはある。そういう風に広がっていったきっかけは池畑さん(潤二)かな。あの人がいろんなバンドに誘ってくれたから。
―:いろんなバンドとセッションでやることで、逆にdipとしてフォーカスが定まってきた。今回のソロではそこともまた少し違うヤマジ君が表現されている気がします。
そうかもしれない。やっと自分自身が確立されてきたんですかね。だから…迷いとかなくなってきたんじゃないかな。
―:ヒリヒリした痛みに満ちた「遅い痛み」が代表的だけど、最近にあまり出てこないヤマジ君の一面が素直に出ていて、きっとみんなに愛されると思いますよ。
良いってこと?
―:もちろん。
良かった!(笑)。
―:今後ソロはバンドと並行してやっていくんですか。
どうだろう…オレの中では一段落ついてしまったんだけど。フフフ(笑)。
―:吐き出して、気が済んじゃったと。
うん。
―:あなたにとってソロはそういう位置づけということですね。溜まっていたものを吐き出せば気が済んで、また溜まるまで時間がかかるという。つまりソロに関しては作ることがルーティン化しないほうがいいってことですかね。
うん、そうだと思う。ライヴをやって楽しければ気分が変わって続けるかもしれないけどね。
―:つまりお客さん次第ってことですね。
そうそう。もっとオレを褒めろ!っていう(笑)。
[取材・文:小野島大]
・OTOTOYにてヤマジカズヒデソロアルバム「over sleeper」より
「small stone」先行配信 http://ototoy.jp/
3/18リリース
ヤマジカズヒデ / over sleeper
- 01. over sleeper
- 02. amphicar
- 03. know you want
- 04. small stone
- 05. 屋根裏の地下室
- 06. some velvet morning
- 07. pray for the sun
- 08. night rider
- 09. 宙を撃て
- 10. 遅い痛み
- 11. からみあうワイヤー
- 12. hypnopedia
- 13. intro
商品詳細は http://ukproject.com/item/7270/
【ゲストミュージシャンプロフィール】
須藤俊明 Bass,electric piano,piano
Produced,Recorded & Mixed
海外で高く評価される日本のバンドMELT-BANANAの初代ドラマーとして活動を始めた須藤俊明は97年に脱退後、ベーシストとしてGOMES
THE HITMANでメジャー・デビュー。それ以後もドラム音響ユニットTHERMO、アメリカのキュニフォームからもリリースされたレコメン系ジャズ・ロック・バンドMACHINE
AND THE SYNERGETIC
NUTS、ザ・グルーヴァーズ~ラウドマシーンの西村茂樹によるパンク・バンドLOUDS、80年代日本のハードコアシーンの重要バンド奇形児などいくつかのアンダーグラウンドシーンのバンドのドラマーとして活動しつつも、ベーシストとして、HARCO、長澤知之などのサポートとしてポップスの世界でも活動。近年では、ジム・オルークをはじめ、石橋英子(もう死んだ人たち)、前野健太(ソープランダーズ)、EP-4などのベーシストとして知られ、その他にもuminecosoundsや柴田聡子(MusicHelps)等のベーシストとしても活動している。また、レコーディング・エンジニアとしてもQuinka,with
a YawnやRoth Bart
Baronなどの作品に携わり、ギタリストの松江潤(SPOOZYS)やナスカ・カー、最近ではヤマジカズヒデ(dip)のソロ・アルバムにもエンジニア、プレイヤーとして全面参加している。
※over sleeperと同時期に須藤俊明ソロが発売される様です
mobile suite – sudoh toshiaki (Nasca Car Recordings NCR-002)
初音階段や非常階段の準メンバーであり、日本最古のインディーズレーベル、アルケミーレコードで制作・流通を担当している中屋浩市が設立した、自身が率いる「ナスカ・カー」の最新作「最新録音盤」をリリースしたナスカ・カー・レコーディングスからの第二弾としてリリースされる。
—
—
本庄克巳 Drums
85年「スラッヂ」に参加。同時期ヤマジカズヒデと出会いdipの前身バンドDip The Flag結成に伴い参加。
7inchシングル「スラッヂ/生」録音。88年脱退。
90年代、レゲェや黒人音楽に傾倒。
スカパラ初代ボーカリスト故クリーン・ヘッド・ギムラ、杉村ルイ等らなどのブルー・マウンテンズのセッションに没頭。その後、ゴスペル・クワイヤーの音楽隊、アンビエント、エレクトロニカ系アーティストとの活動など指向錯誤しつつも徐々に散発的となり音楽活動を断念。
07年暮れ、スラッヂ再結成ライブの為ヤマジと20年ぶりの再会と共に音楽活動を再開。以後、ヤマジソロ、静香再結成ライブ、レコーディングに関わる等、サポート、セッション活動などを展開。
—
—
山本達久 Drums,piano
1982年10月25日生。drums,per,electronics,cho担当。
2007年まで地元山口県防府市bar印度洋を拠点に、様々な音楽活動と並行して様々なイベントのオーガナイズをするなど精力的に活動し、基本となる音楽観、人生観などの礎を築く。
現在では、ソロや数々の即興演奏を軸に、Jim O’rourke、石橋英子、須藤俊明、との様々な活動、カフカ鼾、前野健太とソープランダーズ、坂田明とさかたかたつさ、NATSUMEN、石原洋withFRIENDS、teneleven、オハナミ、真夜中ミュージックなどのBAND活動、青葉市子、UA、カヒミ・カリィ、長谷川健一、phew、七尾旅人、木村カエラ、柴田聡子、Go
Fish、ヤマジカズヒデ、湯川潮音、など歌手の録音、ライブ、演劇の生伴奏としてSWANNY、マームとジプシーなど、主に都内を中心に活動。
2011年、ロンドンのバービカンセンターにソロパフォーマンスとして招聘されるなど、海外公演、録音物も多数。
—
—
石橋英子 piano
茂原市出身の音楽家。いくつかのバンドで活動後、映画音楽の制作をきっかけとして数年前よりソロとしての作品を作り始める。その後、6枚のソロアルバムをリリース。各アルバムが音楽雑誌の年間ベストに選ばれるなど高い評価を受ける。ピアノをメインとしながらドラム、フルート、ヴィブラフォン等も演奏するマルチ・プレイヤー。シンガー・ソングライターであり、セッション・プレイヤー、プロデューサーと、石橋英子の肩書きでジャンルやフィールドを越え、漂いながら活動中。最近では七尾旅人、前野健太、OGRE
YOU ASSHOLEなどの作品やライブに参加。またソロライブと共に、バンド「石橋英子withもう死んだ人たち(ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、波多野敦子)」としても活発にライブを行う。4th Al「imitation of life」、そして2014年リリースの最新作「car and
freezer」は米・名門インディレーベル「Drag City」から全世界リリースされている。
http://www.eikoishibashi.net/
—
—
over sleeperについて
須藤くんの「山に篭ってレコーディングして遊びませんか?」
と云うメールから今回のアルバム制作は始まった。
ここ何年かで作っていた曲の断片やCDR作品に入れた曲からいくつか選んで、
ヤマソロライブでいつも一緒にやってる本庄と、山本達久くんを誘って4人でスタジオに入った。
4人で思いつくままに案を出し合って録っていたら偶然そこにジムオルークと石橋英子さんが遊びに来て、
せっかくだからということでセッションに参加して貰ったり、
その場でトーキングモジュレーターを自作したりと
いつもと違うやり方のレコーディングはホントに楽しかった。
さすがにジムに入ってとは云えなかったけど…。
他には須藤くんと達久くんが2人で、
オレをイメージしてドラムとベースだけが入ったトラックを録って後から
それを聴いて何も説明されずに直感でギターをダビングするとか。
須藤くんはオレのセンスを更に深めてくれるようなアイデアを次々と出してくれて
時々無理難題を云いだしたりしたがそれも2人で笑いながら苦労して音にした。
英子さん、達久くんはオレと須藤くんが5分ほど曲の概要を説明するだけで素晴らしいプレイをしてくれた。
もうこれ、ヤマジカズヒデともう死んだ人たちじゃん!*って思った。
本庄もdip the flagの時以来やってなかったけどヤマソロライブを何度も一緒にやってきたから話は早かった。
over sleeperと云うタイトルは、友人がやってる秘密結社「日本オーバースリーパー協会」から頂いている。(秘密結社と云っても某SNSにコミュがあるだけなのだが。)
over sleeper…なんてオレにピッタリの言葉だろう、
オレの日々を表してるじゃないかと思って曲名だけではなくアルバムタイトルにした。
タイトル決めてからは眠れるアルバムにしようと方向性も定まった。
ヤマジカズヒデ
※「石橋英子 with もう死んだ人たち」というグループ名にちなんでおります