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【UKP OFFICIAL LIVEREPORT:LOST IN TIME】2016.06.05(Sun) 下北沢CLUB Que2DAYS その奇跡とその偶然・足跡は続く2016 二日目「迷路の中で折れなかったもの」
一日目に続き満員の下北沢CLUB Queの場内に、この日はSEも無く登場したメンバー。ステージ中央で握手を交わし、緊張感漂う中海北が「旅の途中」の一節を歌い上げると、そこから繋がるように一曲目「羽化」の演奏が始まった。始まりはピアノのコードと歌だけというシンプルな構成に、ギターとドラムが順番に加わり、ゆっくりと丁寧に、しかしその中に脈々と流れる熱も逃さないようにアンサンブルが構築されていく。少しずつギアをアップしていくかのように始まったのは「はじまり」。歌が描くメロディとギターフレーズが絡み合い、楽曲が持つ景色を表現していく。急激にペースチェンジをするのでなく、緩やかなカーヴを描くような柔軟な演奏が印象的だった。
三井(Gt.Cho)が刻むギターサウンドの中、海北(Vo.Ba)から「今日は3rdアルバム「時計」。そして4thアルバム「さぁ、旅を始めよう」、いわばLOST IN TIMEの活動において一番激動の時代に作られたアルバム二枚を一気にみなさんと振り返りたいと思います。色んな思い出が皆さんにもあると思います。ぜひこの素敵な時間をその思い出と共に作っていきましょう。最後までよろしくお願いします。」と当日のライブにかける思いを語り、流れ続けていたギターサウンドがそのまま「最後の一球」のイントロへと姿を変えた。海北のヴォーカルのボルテージが次第に高まっていく中、それを支えるようにコーラスが加わり、情感溢れるハーモニーを作り上げていた。曲が終わり、緊張感をまとった会場にハーモニクスが鳴り響き、その直後一転して早急なギターカッティングと共に大岡(Dr.Cho)がビートメイキングした「柊」に続いて「車輪の下」「秘密」「蛍」へと続いていく。ここで一日目に比べ、ヒリヒリとした空気感が流れていることに気づいた。MCの内容にあったように「激動の時代」に生まれた楽曲にはその時代にしか宿らないものがあり、例え尖ったものでも楽曲を構成する上で欠かせない一つの核になっていると感じさせるには十分だった。キャリアの中でも「時計」と「さぁ、旅を始めよう」はそういった時代をくぐり抜けてきた作品であり、時間が経ってもその空気感は薄まることなく、作品のカラーとして残り続けていくことを証明しているかのようだった。
「三枚目の「時計」は2005年かな、次の「さぁ、旅を始めよう」は2007年だったような記憶があります。ちょっとあやふやだけど。資料とか調べればわかるんだろうけど、それくらい当時色んな感情が揺れに揺れていて、その一つ一つが今の自分を間違いなく作っていて、当時を知ってくれている方もいるでしょう、知らない方ももちろんいるでしょう。皆さんにとって、一曲一曲色んな思い出があるでしょう。ない人もいるかもしれないけど、なかったら今日作って帰ってください。一つ一つの曲に愛を込めて。」と様々な感情を振り返ながら、「サンカク」へと繋げた。
一日目に引き続き、三井が口火を切るMCも健在だった。作品それぞれにパッケージされているその時の空気感、バンドの足跡への愛と、自身が参加していない作品へギターで参加できることの喜びを語っていた。
そして続けざまに「この時代までのLOST IN TIMEは「変化」の季節で、ここからようやく「成長」のLOST IN TIMEがスタートしたのかなあ」と海北。「一番しんどかった時に一番最初に作った歌が支えてくれていた。26か27のしんどかった時期に高校生の頃に作ってこの歌の言葉とメロディが自分を本当に奮い立たせてくれました。旅立ち前夜。」とタイトルを告げた直後に三井のギターバッキングはじまり演奏がスタートした。その後も「26」「然様ならば」「さぁ旅を始めよう」「告白」と続いていく。「26」のイントロではダンサブルなビート感と重厚なグルーヴを共存させ、サビでは観客と共にシャウトの合唱が巻き起こった。内面の心情にフォーカスされた曲が続くパートにもかかわらずどんどん会場との一体感が強まっていくのを感じさせた。
そして大岡がヴォーカルを務める「鼓動」もここで披露され、力強さにみなぎった声が会場に響き渡らせていた。海北が「生まれ変わった曲を。」と告げ披露されたのは「残像」。大胆にリアレンジされ、また新たなサウンドを手に入れて新しい世界観を生み出していた。「証し」では三重に重なったコーラスが美しいメロディを描いており、海北の歌声はその勢いを衰えさせることなく歌えることの喜びを存分に発揮していた。歌への愛情が彼をここまで成長させた要素の一つだということは間違いないと感じさせる堂々とした表現となっていた。「とっても楽しい時間をどうもありがとう」と観客に伝え、最後の曲に選ばれたのが「冬空と君の手」。自ら「激動の時代」と語った時期に生まれた作品のライブを締めくくるのは、激動さの中から生まれた穏やかなメロディだった。次第に熱を帯びていき「僕のこれからを見ててくれないか」という一節は、まっすぐに前を見つめ、これから踏み出す一歩への決意表明のように聞こえた。
アンコールでは過去のバンドグッズをまとった観客に嬉しいと感謝の意を伝える一幕もあり和む場内。観客一人一人に、大切な仲間に贈る歌として披露されたのは最新曲「ライラック」。続いて「366」「希望」と未来への希望を歌った楽曲が披露された。最後のダブルアンコールで演奏されたのは「30」。キャリアの中で「30」という曲の存在はバンドにとって大きなターニングポイントなっているのだと思う。バンドのあり方、立ち方の方向性を改めて音楽に変換し、彼らの中に吹く風がフレッシュなものに変化させた道標のような曲。これからも愛され続ける名曲をもって二日間合計42曲を見事に完走し、この日を締めくくった。
過去を振り返るライブという表現もされていたが、今のロストには過去の言葉を臆することなく今の言葉として変換できる強さを持っている。来年デビュー15周年という節目を迎える彼らのこれまでの足取りは確実にバンドの力となって、これからも一歩ずつ時を刻み、辿り着きたい場所、見たい景色へと導いてくれるだろう。
(text.濱田和人 / photo.高田真希子)
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LOST IN TIME 下北沢CLUB Que2DAYS
その奇跡とその偶然・足跡は続く2016
二日目「迷路の中で折れなかったもの」セットリスト
01.旅の途中
02.羽化
03.はじまり
04.最後の一球
05.柊
06.車輪の下
07.秘密
08.蛍
09.サンカク
10.旅立ち前夜
11.26
12.然様ならば
13.さぁ旅を始めよう
14.告白
15.鼓動
16.残像
17.証し
18.冬空と君の手
en1.ライラック
en2.366
en3.希望
Wen.30
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LOST IN TIME
その奇跡とその偶然・足跡は続く2016
▼6月11日(土)大阪 福島2nd LINE
[1st「冬空と君の手」3rd「時計」より選曲ライブ!]
open17:30/start18:00
チケット:¥3,500(税込,整理番号付,1d別)/当日¥4,000(税込,1d別)
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:294-006)
ローソンチケット0570-084-005(Lコード:55731)
イープラス http://www.eplus.jp/
湯仲間直売所 http://www.shimizuonsen.com/ouken/
問)清水音泉 06-6357-3666(平日12:00-17:00)
▼6月12日(日)名古屋 HUCKFINN
[2nd「きのうのこと」4th「さぁ、旅を始めよう」より選曲ライブ!]
open17:30/start18:00
チケット:¥3,500(税込,整理番号付,1d別)/当日¥4,000(税込,1d別)
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:290-629)
ローソンチケット0570-084-004(Lコード:41590)
イープラス http://www.eplus.jp/
問)JAILHOUSE 052-936-6041 www.jailhouse.jp
▼6月18日(土)熊谷HEAVEN’S ROCK KUMAGAYA VJ-1
[過去9作品の中から1st~4thアルバムより選曲ライブ!]
open17:30/start18:00
チケット:¥3,500(税込,整理番号付,1d別)/当日¥4,000(税込,1d別)
ローソンチケット(Lコード:71066)
イープラス http://www.eplus.jp/
店頭
問)HEAVEN’S ROCK KUMAGAYA VJ-1 048-524-4100
LOST IN TIME
その奇跡とその偶然・足跡は続く2016
下北沢CLUB QUE 2DAYS
10月1日(土)三日目「再起動」
[5th「明日が聞こえる」6th「ロストアンドファウンド」より選曲ライブ]
10月2日(日)四日目「これまで、これから」
[7th「( )トラストオーバーサーティ」8th「LIFE IS WONDER」9th「DOORS」より選曲ライブ]
(両日)OPEN17:30/START18:00
チケット
1日券 3,800円/当日 4,300円(税込,整理番号付1D別)
2日通し券7,000円(税込,整理番号付,1D別)
(一般発売 6/25~)
CLUB Que店頭・ローソンチケット・チケットぴあ・イープラス
問)CLUB Que 03-3412-9979
▶︎LOST IN TIMEオフィシャルサイトwww.lostintime.me/