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【UKP OFFICIAL INTERVIEW】 『HMV GET BACK SESSION independent』 LOST IN TIME 「きのうのこと」 LIVEが終わって今訊いておきたいこと。
2014年4月11日に下北沢シェルターにて”『HMV GET BACK SESSION independent』 LOST IN TIME 「きのうのこと」 LIVE”と銘打たれたライブが行われた。2004年リリースの「きのうのこと」はLOST IN TIMEの初期キャリアの代表作として、その精神性アプローチの深度の高さから今でも根強いファンが多い一枚。当日のライブはもちろんソールドアウト。足を運んだリスナーにとって特別な一夜となった。今回はライブを終えた直後のメンバーに当日のライブ時の心境、「きのうのこと」という作品に対する思いを改めて訊いた。[取材、文 / 濱田和人(UKP)]
- 「きのうのこと」を再現するライブということでしたが、今回の企画はLOST IN TIMEのライブの中でも過去と現在を繋ぐという意味においてはよりテーマ性が強いものとなったと思います。終了して今の率直な感想を教えて下さい。
海北:ひとまず今後のライブのハードルが上がったなぁってのが率直な感想です。越えなきゃね。今の三人で。ただ、越えられる自信があるから出来たライブでもあったのかなぁ、と思います。
大岡:このライブにかける意気込みがみんな強かったので、色々と作戦を考えたのですが、それがすべてハマって完璧でした。
三井:とても感動しました。
榎本(※1)と一緒に出来たことも勿論だし、何より当時は僕もファンの方と何ら変わらない「いちリスナー」だった訳です。そんな自分がメンバーと一緒に大事なステージに立つことが出来て、本当に光栄に思いました。
※1[榎本聖貴:現huenicaギタリスト。「きのうのこと」期のLOST IN TIMEメンバー]
- 今回、ライブに至った経緯はどのようなものだったのでしょうか?
大岡:HMVさんがオファーしてくれたからです。有難い事です。中々無いコンセプトなのでとても面白いと思いました。
海北:シンプルに思いつきと言いますか。やると決まった辺りで、榎本くん出そうよって言い出したのは、確か三井くんだったかなと。
- ライブに臨むにあたって、何かテーマみたいなものはあったのでしょうか?
三井:テーマは、「来てくれるファンの方を驚かす」ことですかね笑 何よりも曲順が先にわかっているライブなんててそうはないので。
個人的にも「忘れられないライブ」にしたかったです。
大岡:チケットも即完したとあって期待感がヒシヒシと感じられましたので、その期待を完全に越えてやろうと思ってました。
海北:「一枚のアルバムを再現する」と言うテーマがはっきりとあるイベントだったので、こちらとしては、そこからどう今の三人で今の曲たちに繋げるかってところは色々話し合いましたかね。
- ライブ中、榎本さんが登場するという一幕もありました。2014年に「きのうのこと」を再現し、そしてステージ上で当時のメンバーが集うというシチュエーションはメンバーはもちろん、お客さんにとっても様々な思いが去来するものになったかと思います。演奏中の気持ちとはどういったものだったのでしょうか?
大岡:やっぱり榎本くんのギターは神だと思いました。普通ではない。(笑) まぁ終始楽しかったです。
三井:ギターを弾いている時は勿論ですが、やっぱり榎本が入った当時のトライアングルを観た時は本当に感極まりました。ステージ横で泣いちゃいました。
海北:面白かったですよ。感慨深かったけど、それは本番よりも、最初に入ったスタジオリハーサルの時の方が大きかったかな。お客さんがうおお!ってなってて良かったですね。
- ライブ中、個人的に心に残った出来事などありましたか?
海北:榎本くんの相変わらずマイペースで無邪気なギターと、三井くんのこのアルバムに対する想いが伝わる丁寧なギターの対比がとても良かったです。
大岡:初代ギターのタケマサくん(※2)と榎本くんが揃って舞台袖から僕らを観ている光景がドラムを叩きながらも何かグッと来ました。
三井:僕が演奏してる時に横を見たら、榎本とタケマサ君が二人でステージを見てたことですね。
こんなバンドそうはいないだろうな、と思いました。
※2[横内武将:現THE LOCAL ARTギタリスト。「冬空と君の手」期のLOST IN TIMEメンバー]
- 作品をリリースした2004年当時の思いと、またそれを振り返った現在の思いとはどういったものでしょうか?
大岡:すげぇアルバムが出来たと思ってました。ロストインタイム良いなと。バンド最高じゃん、と。振り返って思う事は「その思いは間違いではない」ということ。
海北:いいアルバムだなぁと思いますよ。ただ、今の方がもっとずっといいアルバムが作れてるんだけどなぁ、とも思いますが。当時の思いってのは、正直生きるのに必死だった事しか記憶にないです。
–三井さんは2004年当時LOST IN TIMEについてどのような印象を持たれていましたか?
三井:とても純度の高い良いバンドだな、と思いました。でも絶妙なスリリングさも持ち合わせているのが当時とても印象的でした。
- 単純に年数のみ数えると、リリースから10年が経過しています。今ご自身で「きのうのこと」を聴くことはありますか?
海北:もちろん。研究対象です。当時の自分もライバルの一人と言うか。「ここをもっとこうすれば~」的な悔いが邪魔して聴けなかった時期もありましたが、今は特に思いません。この時はこの時で、やれるだけの事はやりましたからね。
大岡:じっくり聴く事はあまり無いですね。自分のフレーズの確認くらいです。
- もし「きのうのこと」制作当時のご自身にかけられる言葉があるとすれば、それはどんな言葉ですか?
海北:なんだろうなぁ。「死なずにいてくれてありがとう!」かなぁ。苦笑。
大岡:「将来もっとハゲるぞ~。」
- 最後に「きのうのこと」という一作品について今どう思うかをお伺いしたいです。
三井:大好きです。
どんなバンドにも必ずある「当時にしか作れえない物」の中で生まれるケミストリーが全部つまっているなぁと思います。
自分もこれから一緒にメンバーとそんな作品を作り続けられたら幸せです。
大岡:あのとき生きてた3人の男の人生が偶然重なって、その時の精一杯の魂の塊が詰まりまくってる作品って感じです。
海北:あの時代、あの世代特有の閉塞感と言うか、そういった思いをギュッとパッケージ出来ているアルバムなのは間違いなくて。ただ、今同じようなモノを今の僕が作るって事はやっぱり不可能だし、それは当時の自分への冒涜だとも思うので、そんな事はしませんが、あの作品に自分を重ねてくれた人が決して少なくないと言うことに胸を張りつつ、これからの自分がまた、誰かの人生に重なるような歌を紡いで行けたらな、と思ってます。
これからとしては、ひとまず6/1のリキッドルームワンマンに向けて、沢山の人に集まって頂きたいので、皆さん協力よろしくお願いします(切実)!!
2014.06.01(SUN) @恵比寿 LIQUIDROOM
LOST IN TIME 12th anniversary ~Gross 12 × 12~
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