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【UKP OFFICIAL INTERVIEW】BIGMAMA 金井政人「ワンダーラスト」リリースインタビュー前編
BIGMAMAが12/17に東海地区限定シングル「ワンダーラスト」をリリースする。
今回、東海地区限定リリースというこれまでになかった形態でのリリースとなった今作。前編となる今回のインタビューでは「ワンダーラスト」制作にまつわるエピソードを中心に、金井政人(Vo.Gt)がどういった想いを最新作に込めたか、そして自身の現在の制作のモードも含め、余すことなく語ってもらった。[取材・文:濱田和人(UKP)]
―:12/17に東海地区限定として「ワンダーラスト」というシングルがリリースされますが、まず楽曲制作の開始となったきっかけってどういったものだったんでしょうか?
金井:音楽的な話をすれば2年前だし、CDの制作的な話をしたらここ1、2ヶ月くらいの話だし…。別々に説明すると、楽曲のアイディア自体は5枚目のアルバム「君想う、故に我在り」くらいの頃から、自分達がアーティストとしてどういう認識で音楽を捉えていくか、ライブを捉えていくかっていう時に、じゃあこれから僕らは5人で鳴らせる、手で触れる楽器以外の音を鳴らしてはいけないのか、いやそんなことないよね。みたいな。今は色んな技術があるので、じゃあギタリスト、ヴォーカリスト、バイオリニスト、ベーシスト、ドラマー、それぞれの楽器を追及していきつつ、それとは別に曲ごとに臨機応変にその曲のためにもうちょっとフラットに音楽をやろうって考えがその頃からあって、割と5人以外の音も曲が良かったら入れようみたいな考えに変わってきていて。元々BIGMAMAってビートの速い曲で生まれ育ってきたところもあるんですけど、なんかこう…、刀を作るじゃないですけど、熱して叩き直して熱して叩き直してどんどん研ぎ澄ましたものにしていこうって思ったけど、ちょっと考え方を変えないと、大分切れが良くなりすぎていて扱いづらいというか。それはそれでいい刀だなあって思うんですけど。
―:なるほど。
金井:じゃあ今度は諸刃にしたり逆刃にしてみようかっていう。今回リアドがまず僕の意見を汲んでくれたんですね。ビートの速い曲って今までたくさん作ってきたけど、それをもっと打ち込みで無機質にやる。「ドラムを生音で叩かなきゃいけないのか否か?」って考えた時に、無機質なものがいい意味で新しいものを作れるんじゃないか。そのデジタルなものにバイオリンをプラスして違和感を生んだり、その中で現代的なアプローチ、華やかなものを生み出しているんじゃないかっていう話をしたのを覚えてます。
―:「君想う、故に我在り」のサウンドが、バンドサウンドとしてとても重厚なものだったと思うんです。ところが「ワンダーラスト」では先程のお話にもあったように無機質な打ち込みに寄った音が楽曲全体の雰囲気を作り出していて、風通しのいい軽やかなものになっていると感じたんですね。そのサウンドの変化がバンドとしてのチャレンジの部分も担っているのかなと思ったんですが。
金井:そうですね、実態として世に出ている自分たちがやっていることと、自分の考えてるものって実は常に時差があるんです。「君想う、故に我在り」が出て、実際にライブする。でもそれを発案してる時って実行の一年前だったりするんですよね。その2年前くらいに考えていた事が今くらいに形になるんで。自分の中ではそれはそれで順当というか。やっぱり考えて実現するまでに瞬発的に出来ることもあるけど、バンドをやってる以上、自分たちのストーリーというか流れみたいなものもあるし。常にアイディアというか作戦? どうやったら自分達が喜びながら、楽しみながら音楽をやれて、それに何人巻き込めるんだろうみたいなことって、僕の中に常にいくつか作戦がストックしてあるし、ストックしてないと不安になるような性格なので、そういう準備はしてるんですよ。かと言って今回のように打ち込みがフィーチャーされるのもそれはそれで危ないとも思ったりもするし。単純に新しい音楽を作る、自分達にとってだけじゃなく、リスナーにとっても、日本のミュージックシーンの中で新しいってだけじゃなくて、今までの時代のどこを切り取っても、その中でも新しい唯一無二であるっていうことを目指すべきだなと思っていて、そこに今の自分の表現欲求もあって、今回の曲はちゃんとそういう曲を作れたなって思いますね。今までメロディック上がりというか、ビートの速い曲で育ってきたような人間が、バイオリンを弾けるメンバーを最大限生かそうと思ったら、色んなものが見えてきて、広い楽曲が作れるようになってきて。でもそこで今現代的に音楽に対するアプローチがある中で5人だけじゃなくて、PCと一緒になってやる、そこでビートの速い部分とバイオリンがいるっていうことと、それ以外のプラスアルファの要素で曲を仕上げるっていうことは、自分たちの中でも聴いたことのない音楽が結果として完成したので、作ってる間、僕以外のメンバーは不安だったと思うんですけど「この人何言ってるんだろう」って思われながらも…。でもそれがうまくスリーセブン揃って当たる気がしたし、聴いたことのない曲が出来上がるような気がしてたし。っていう風に僕は思ってて。実際この曲が出来上がった時にもみんないい意味でビックリしてたんですよね。BIGMAMAってこういう曲出来るんだなあって。それはまた一つ自分たちの壁を壊してくれたんだなあって。
―:完成させることでビジョンを共有できたんですね。
金井:そうですね。完成するまではみんなひとつひとつ丁寧にパーツを作っていって、最後にそのパーツを組み合わせるまで、もしかしたら僕以外の全ての人間が完成形を共有出来てなかったかもしれないです。
―:「ワンダーラスト」はZIP-FM開局21周年コラボソングという側面もあるのですが、コラボのテーマとサウンドが描き出したい表現と合致する部分ってあったんでしょうか?
金井:また違う他の楽曲だったり、候補になる曲っていうのがそれなりに他にもいくつかあって。
―:そうだったんですね。
金井:作っていく上で、まず僕が今番組を持たせてもらってるラジオっていうものにどういう曲が向いているのか? どうやって自分がラジオと関わっていく上でテーマにフィットする曲をプレゼントしようかって思ったら、「単純に尺が長過ぎない事」、「曲としてのダイナミクス」、起承転結が3分台くらいで「どこを切り取ってもいい曲」っていう要素が浮かんできて、そういった曲がどんどんふるいにかけられていったんですけど、その中でアニバーサリー、おめでたいもの、明るいものがいいってことで最終的に「ワンダーラスト」が残りました。そこにどういう歌詞を自分でアプローチしていくか、毎年10月がZIP-FMがアニバーサリーとして大切にしている月みたいなんですけど、今年21周年ってことで「21」って数字に自分なりにどういった意味を持たせようかなって思った時に、また「25」があって「30」、「35」、「40」、「50」ってこれから続いていくアニバーサリーをまた祝いたいし、もっともっと関わっていきたいし、みたいに次に続いていくって事をイメージ出来たらいいなって思って、「ワンダーラスト」に「旅が終わらない様子」「放浪癖」みたいな言葉が自分の中で湧いて。実は洋服をデザインしていた時にデザイナーさんとやりとりしてた時に出てきた言葉なんですよね。それをアイディアとして自分の中にストックしてたものがここでパッとハマって。後は音に任せて歌詞を書いていきました。
―:「ワンダーラスト」ってタイトルを分解したら、ワンダーの部分に金井さんもおっしゃってくれた「放浪」とか「気まま」っていう意味もありますし、「ラスト」っていう部分に「欲望」って意味合いもありますけど、なにか隠されたテーマみたいなものもあるのかなと深読みしてしまったりもしたんですが。
金井:「ワンダーラスト」って言葉を自分の中で気に入って、出し所をずっと狙ってたんですけど。単純にこの曲単体で言葉だけで表現するよりかは、実はこの先の色んなものに繋がっていたり、この先のBIGMAMAに繋がってくる、次なるBIGMAMAへの入り口の曲でもあるんです。「ワンダーラスト」って曲は「挑戦」であり「入口」であり、自分の中でドキドキするものを作ることを狙ってやった最初の曲かなっていう風に思うんですね。BIGMAMAってバンドはもっともっと長くて、楽しくて、良い旅を続けられるんじゃないかっていう気持ちの芽生えがあったので、だから余計に歌詞に自分がどんどんシンクロしていく、この言葉を選んで、こういうサウンドにして、こういうタイトルをつけてっていう理由として単純にZIP-FMのアニバーサリーの意味以上に、自分たちにとってもこの曲ってまた終わらない旅を続けられるための鍵というか。大胆な布石というか。そういうものになったんじゃないか、またそうなって欲しいなって願望もありタイトルつけるんですけど、この曲が出来たことでまた旅を続けるんだ、続くんだっていうことを自分の中で意識してこのタイトルをつけて、それがZIP-FMの21周年の感覚とシンクロしたんですよね。それがピタッとハマりました。
―:ZIP-FMへの愛着も伝わってくるお話ですが、そもそもの出会いってどういうものだったんですか?
金井:最初はアーティストが曲を出してプロモーションしに行く場所というか、特に僕らのようなインディーズレーベルのバンドはラジオってとても大切じゃないですか。その中でも名古屋のZIP-FMは一番最初にBIGMAMAの事を見つけてくれたっていうか。その後もライブ来てくれるようになったり、人間的にすごくシンクロ出来る人に出会えて、僕に一番最初に「パーソナリティをやってみませんか?」ってオファーをくれたのもZIP-FMだったんですよね。それが3年くらい前なのかなあ…。また今年このタイミングでコラボのお誘いをいただいたり、ラジオっていうものの中でも一番最初にBIGMAMAを、金井政人を見つけてくれた場所なんですよね。この音楽がもっとラジオリスナーであったり、名古屋の人、東海地区であったり、色んな所に届く、届いてほしいっていう願いを持って自分たちを誘ってくれた場所なんだと思っています。
―:BIGMAMAにとって、金井さんにとってZIP-FMとの出会いってかなり重要なものだったんですね。
金井:この出会いがなかったら僕は年に何回も名古屋に行くことはなかっただろうし、また名古屋でフェスがあって、トリを務めることもなかったかもしれないし。もしこの出会いがなかったらって考えるとちょっと怖いですね(笑)。
―:今の金井さんとはまた違う金井さんになっているかもしれないですよね。
金井:少なくとも名古屋に対する郷土愛みたいなものが薄くなっていたかもしれない(笑)。
―:(笑)。
金井:出身というわけではないので元々の縁はそれほど深いものではなかったんですけど、おかげで名古屋のライブはどんどん特別になっていくし、毎回、月に一回必ず行く場所ってそうそうないし。街の事もどんどん知っていくし。その流れもあってですけどイベントでは重要な役割を任せてもらえるようになったし。記憶の中でどんどん大きく残るようになってきたというか。僕の中でライブの事ってどれも覚えてるし、忘れることってそうないんですけど、でも覚えてるものを上から順に挙げていったら名古屋のことが出てくるというか。
―:なるほど。
金井:それって突然パッと湧いて出てくるものじゃなくて、色んな流れがあってちゃんと運ばれてきてここにあるっていうか。名古屋って僕らがUKに所属してない頃からライブをしにギリギリ行ける場所だったんですよね。ライブして帰って学校行くみたいな。だからすごく昔からのコアなファンの方がいてくれてるのも知ってるし。やっぱり熱いファンがいてくれるとライブも良くなるんですよ。それを観ていいなって思ってくれた人がいて、そこを見つけてもらったのかもしれないから。それはやっぱり学生時代だしお金とかスケジュールとかしんどいなあって思いながらも、名古屋からライブ誘われてた時に行けていたことが、今ここに繋がってるんだと思う。
―:名古屋で過ごした時間の量だけ思いの深さも増してるんですね。
金井:そうですね。単純に量だけじゃなくてちゃんと質も伴ってるんだと思います。夜中の1時間を僕にラジオを任せてくれている訳だし。そこでリスナーと電波を通じてコミュニケ―ションしてるってことが自分にとって緊張感もあるし、自分の全く知らない人と会話をする瞬間って、血が自分の中だけで巡るんじゃなくて、相手と二人の中の空気感とか血液とかなにかが循環してる感じがして、自分の中では異物感もあるし、でもそれを取り込んでる感覚もあるし、逆に自分が何かを送り出している感覚もあるし。自分の中で何か新しいものを得られるんじゃないかっていう期待と単純に緊張と不安とみたいに、何かが変わるかもしれない、何かを得られるかもしれないっていう感覚があって。それを人前にさらけ出しているのがラジオの1時間。声だけかもしれないけど。でもそれって自分の中ですごく緊張感のあることだし、期待してることだし、不安もあるし、そういう経験ってなかなか得られないと思うので。生放送を月に1回とか2回の時もあるし。それをやる経験をもらっているっていうのはすごく人間としてありがたいし、成長する機会をもらってると思うし。本当に喋るのだけはなんでもっとうまくならないんだろうって思いながらやってるんですけど…(笑)。でも瞬発的に人と会話して何か悩みであったり頑張ろうって思うことに対して、自分が何を思えるんだろう、何を与えてあげられるんだろう、少なくともBIGMAMA好きで、音楽が好きで、バンドが好きで、歌詞が好きで、理由はわからないけど、僕に期待をして連絡してきてくれているわけだから、それに対して自分が一番いい形でどんな言葉を返してあげられるんだろうって事を、訓練じゃなくて毎回本番なんですけど。その感覚をライブ以外でも感じられる貴重な時間をもらってるなあっていう風にいつも思いますね。眠気と戦いながら(笑)。大体目は覚めてますけどね。どんなに疲れてても。
―:ライブとはまた別のコミュニケーションの場でもあるし、ご自身も演奏するっていうこと以外のライブ感を味わってると。
金井:バンドのライブ以外で僕が約束されているライブの場ってそこかもしれないです。
―:金井さんって学生の時とかってラジオっていうものにどう接してたんですか? 聴いたりしてました?
金井:親が運転している車の中で流れてたりとか、あとテスト勉強の時に。僕無音が結構苦手なんですよ。ラジオを聴こうって思って聴いてるっていうよりはただ流していたって感じですかね。
―:シーンとさせないための手段だったんですね。
金井:はい。これまでBGMとして僕の中に存在してたラジオってものに、ちゃんとメディアとして向き合ったのはそれこそデビューしてからですね。今だったらよりスマートフォンとかPCとか色んなもの聴けるようになってきてるし、さらにリスナーとの距離がもっと近づいてるって認識があって、アーティスト、音楽、ミュージシャンにとってラジオってすごい大切なものだし近いものなんだなって。
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―:そしてカップリングには「Sweet Dreams(TREASURE05X 2014 live ver)」と「My Greatest Treasure 2014」と、より東海地区限定リリースという意味合いをより深めた選曲になっていますね。BIGMAMAは「TREASURE05X」というイベントに対してどういった思い入れがあるのでしょうか?
金井:まずZIP-FMでアニバーサリーの「ワンダーラスト」がかかって、「すごくいいね」って言ってもらえたんですけど、「すごくいいね」だけじゃなくて、このまま終わらせてもいけないねって話にもなったんです。じゃあZIP-FMの聴視区域、東海地区のタワーレコードさんが協力してくれて「では限定のシングルとして出しましょう」ってなったんですよね。そのアイディアに飛びつきました。カップリングにどういうものを入れる?ってなって。「ワンダーラスト」をシングルで出せるのって嬉しいことだから、なかなか難しくて。どうやって内容を充実させようか、「欲しい」って思ってもらえるものを作ろうかって考えた時に、最初「My Greatest Treasure」という曲があるんですけど、BIGMAMAが初めて夏フェスでヘッドライナーを務めさせてもらったのが「TREASURE05X」だったんですね。クリスマスソングを夏に演奏するみたいなチョイスだったんですけど(笑)。MVもないし、1万人以上いるお客さんの大多数が知らないと思うんです。でもその中で、僕らはイベントと同じ名前のその曲を演奏することを選んだんです。それが未だにやって良かったなって思える、自分達としてもそう思えるし、来てくれた人もそう思ってくれたんじゃないかなって思うし。でもそれが特別な思い出になったんですよね。それを今の自分達のアレンジ技術、レコーディング技術でもう一度リミックスしたかった。そうして聴いてもらったらもっといいなって思ってもらえる自信があったので、最初はまず単純にリミックスしてもらおうって思いました。限定でワンコインで、もうそれで十分だなと思いつつ、そしたら「TREASURE05X」のスタッフの方が協力してくださって「Sweet Dreams」のライブテイクがあるっていう話が浮上してきたんです。元々CDとして出すつもりではなかったんですけど、協力いただくことで出せるようになって。僕らからしたらまた東海地区限定のものとして、より愛情のこもったものになるんじゃないかと思いましたね。元々ライブテイクを出すことに対して、僕もメンバーも「ライブはライブでしょう」って分ける考えのバンドだったんですけど、でも今回に関しては東海地区に焦点を絞ったもので、僕が初めて番組をやるきっかけをもらえて、アニバーサリーの曲を書くチャンスをもらえて、そして曲を 流してもらえて、タワーレコードさんが協力してくださって、愛情と熱意をもって作ったものだから、やるならそこでトコトンやってやるみたいな。
―:結果、東海地区への誠意をとても感じられるアイテムになりましたよね。
金井:結果的にですけど、いざ「ワンコインシングル作ろうぜ」って言って集まって、僕らの周りの人って情熱的な人が多すぎてすごい濃いものになっちゃうんですよね(笑)。僕が最初に思ったもの以上のアイディアがもらえてやれた部分もありますね。
―:(笑)。
金井:やるならやるでいいものを作ろうって意志のもとに集まったんだなあって、出来上がったものを聴いて感じましたね。「これ500円ってまずいっしょ」って思うし(笑)。でもそこは一つ恩を返すつもりというか、そこで返して終わりにするつもりもないんですけど。こういったチャンスをもらったことに対して、全力で応えたいっていうか。東海地区以外の方には申し訳ないと思いながら、東海地区に対する愛情を一つ形にするっていうことはやってみたかったことなので、受け取ってもらえると嬉しいです。
【UKP OFFICIAL INTERVIEW】BIGMAMA 金井政人「ワンダーラスト」リリースインタビュー後編はこちらから
http://ukproject.com/column/2014/12/7078/
【東海地区エリア(愛知県・ 岐阜県・三重県)タワーレコード限定シングル】ワンダーラスト 商品情報→http://ukproject.com/item/6884/
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