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【UKP OFFICIAL LIVE REPORT】UKFC on the Road 2015 DAY-2@新木場STUDIO COAST オフィシャルライブレポート

UK.PROJECTのレーベル部門とプロダクション部門のオールスターが一同に会する真夏の恒例イベント「UKFC on the Road 2015」。今年も8月18日、19日の2日間、東京・新木場STUDIO COASTにて盛大に開催された。
 2011年からスタートしたUKFCも5年目を迎えた今年、2015年。「交流と発展」をテーマとし、
リリース歴や所属に拘らず、「尊敬する先輩」と「気鋭の超新星」を広く外から招き、今までのUKFCにはなかった多彩なラインナップで世間を驚かせた。
 ジャンルも所属も、何物にもとらわれず、同じステージで「家族」になってしまうアットホームさ。しかし慣れ合うのではなく「仲間」としてぶつかり合い、高め合う緊張感。それらが絶妙なバランスで共存することこそ、UKFC最大の魅力。今年もきっと、皆様の素晴らしい夏の思い出になったのではないだろうか。
 今回は、そんな熱狂の2日間の全ライブアクトを、オフィシャルライブレポートとしてお届けする。
※ページのラストにはプレゼント企画も用意されているので、どうぞ最後までお見逃しなく!※応募期間は終了致しました。

 

 

[8/19:FRONTIER STAGE テキスト:布施雄一郎/ 撮影:Yuki Kawamoto/FUTURE STAGE :テキスト:兵庫慎司 / 撮影:AZUSA TAKADA]

【FRONTIER STAGE】
ポリキュウソ

downyORANGE-RANGE

BIGMAMAthe-telephones
【FUTURE STAGE】
武藤ウエノヘルシンキ

odolpolly

spicysolウソツキ

 

《武藤昭平 with ウエノコウジ》

武藤ウエノ

イベント全体の前説を務めたUKプロジェクト遠藤社長に「ピカピカの新人です」と紹介されてステージに現れたふたり。「我々も50が見えて来てるんですけど」(ウエノ)「そう、50を前にしてFUTURE STAGEを背負っていこうと」「ベテランは押しちゃいけません。いつもは3時間ぐらいやってるんですけど、今日は25分で終われるというところを見せます」(ウエノ)と、“ビートニク・ピエロ”でスタート。武藤昭平の記名性の塊みたいなしゃがれ声、まるでパーカッションのようなアコギ、そしてウエノコウジの「弾く」ってより「かき鳴らす」アコースティック・ベース、三者が一体になった瞬間、みんな一気に惹き込まれる。間奏で武藤昭平、アコギをパーカッションとして使用、ウエノのソロを盛りたてる。2曲目は、「我々、ドラムがいませんから、みなさんドラムになってくださいよ」と、ハンドクラップをドラム代わりにほぼアカペラ状態で“ブエナ・ビスタ”を歌いだす。サビ、ギターを弾く手を止めた武藤のヴォーカルが響く。渋い。たまりません。

ウエノコウジの「俺、1993年に始めてレコード出してくれたのがUKプロジェクトなんですよ(THE MICHELLE GUN ELEPHANTの初CD『MAXIUM! MAXIUM!! MAXIUM!!!』。アベフトシ加入前の作品)」という話や、UKP藤井会長に、明け方下北の路上でからまれた話などを経て、今年4月に3枚目のレコード『ストレンジャーズ』をUKプロジェクトからリリースしたこと、その中の曲をこれからやることを告げて、“ワルチング・マチルダ”へ。3拍子のリズムにのって「♪ラーララーラララー」とシンガロングが広がる。

「さあみなさん、どう考えてもあと2曲できません。ベテランが押しちゃいけません」とウエノ、残り2曲のうち1曲をカットすることを宣言。そして、「飲み屋さんでしかやらないんじゃなかったのか?」と自分にツッコミを入れつつ10/9代官山ユニットワンマンの告知をはさみ、“レッツ・ブーズ・イット”へ。間奏でウエノ、「武藤さんもうすぐ映画なんでしょ?」(ウエノ)「今週クランクイン」(武藤)「役者でもある武藤昭平の小芝居が入ります、みなさん笑わずに聴いてください」(ウエノ)と、武藤のセリフが始まる。「笑わずに」って前置、必要? ってくらい悠々とかっこいいセリフを重ねた武藤、「まだ飲むの? まだまだいくぜー!」と歌に戻る。サビのふたりの“レッツ・ブーズ・イット”の掛け合いでハンドクラップがいっそう大きくなり、終了した。

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【SET LIST】
1.ビートニク・ピエロ
2.ブエナ・ビスタ
3.ワルチング・マチルダ
4.レッツ・ブーズ・イット

 

《POLYSICS》
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2日目の「FRONTIER STAGE」でスタート・ダッシュを切るのは、UK.プロジェクト(以下UKP)の強烈な個性を代表するバンドのひとつ、POLYSICSだ。フロアがブルーの照明に染まると、1曲目「Introduction!」の電子音が場内にこだまし、ビートが激しくなるに従いストロボの強烈に点滅、そしてオレンジ色のライトに照らされた瞬間、同じオレンジ色のツナギをまとったハヤシが飛び出してきた。
「TOISU! こんにちは、POLYSICSです! いくぜ、UKFC! こいこいこいこい!!!」と、はなっから最高潮のテンションでハヤシが観客を煽ると、ライブ大定番曲「シーラカンス イズ アンドロイド」で、いきなり会場の空気をUKP色に変える。この曲の冒頭で歌われる《胸にシンボルP/発見したのはDAI ENDO》とは、UKP社長、遠藤氏のこと。この歌に秘められたリスペクトが伝わってくる。フミはセンターのお立ち台に上がり、グルーヴをぐいぐいと引っ張ると、「Shout Aloud!」では、ヤノのタイトでラウドなドラムの連打に突き動かされるかのように、続々とダイブが発生し始める。

ハヤシの“HEN愛”から生まれた「Dr Pepper!!!!!」、そして「Let’s ダバダバ」で会場全体がひとつになると、最初のMCだ。ここでハヤシは、7/28にスペシャアプリで生配信された「UKFC on the Road 2015 決起集会!」で、今回の大トリを決めるツイスターゲームで優勝するも、その栄誉をthe telephonesに譲ったことを自ら語り、「メッチャいい話になってんじゃねぇの? 社長も喜んでんじゃねぇの? オレの好感度も、アガってんじゃねぇの!!!」と、観客を笑わせる。そして、「とんでもないテンションでやってるけど、この後も、とんでもないライブが観れんじゃねぇの!? よろしく!!!」と叫ぶと、“ゴモラ”の鳴き声が響き渡り、“HEN 愛 LET’S GO! 2 ~ウルトラ怪獣総進撃~”から「怪獣殿下 ~古代怪獣ゴモラ登場~」が披露された。

もう、やりたい放題に突き進むハヤシは、ショルダー・タイプに改造したシンセを担ぎ、「MEGA OVER DRIVE」でクレイジーなソロを演奏すると、「How are you?」ではフロアにダイブ! そして、一瞬の静寂の後、会場に響き渡ったのは、1999年にUKP/DECKRECレーベルからリリースした2ndアルバム『A・D・S・R・M!』収録の初期代表曲「Hot Stuff」のイントロ。POLYSICSを代表する、そのエレクトリックなサウンドに、改めて「ああ、今日はUKPのお祭りなんだ」と実感させられた瞬間だった。そして「Buggie Technica」で、フィナーレを迎え、貫録のステージを見せつけてくれた。
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【SET LIST】
1.Introduction!
2.シーラカンス イズ アンドロイド
3.Shout Aloud!
4.Dr Pepper!!!!!
5.Let’s ダバダバ
6.怪獣殿下 ~古代怪獣ゴモラ登場~
7.MEGA OVER DRIVE
‪8.How ‬ are you?
9.Hot Stuff
10.Buggie Technica

 

《Helsinki Lambda Club》

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昨年のUKプロジェクト主催オーディションで最優秀アーティストに選ばれて『UKFC on the Road 2014』に出演、12月にシングル、年が明けて3月にファーストミニアルバム『olutta』をリリースした西千葉出身の4人組、Helsinki Lambda Club。Bombay Bicycle Clubの“Shuffle”をSEに登場(という時点でもう趣味嗜好がうかがえますね)、1曲目“All My Loving”で勢いをつけて“ユアンと踊れ”へなだれこむ、という『olutta』と同じ始まり方。

なんかやさぐれてる、でもかわいいとこもある橋本薫(Vo&Gt)のまくし立てるようなヴォーカル、とにかく魅力的。「モテる感じ」と「持ってる感じ」の両方がある。曲間を空けずにドラムのイントロから始まった“Lost in the Supermarket”では、中盤からハンドクラップが起きる。そういえばこのバンド、さっきからお客さんをあおったりとか一切しないのに、勝手にハンドクラップが起き、勝手にワーキャー歓声が飛ぶ状態。

橋本薫、「すごい、けっこう仕上がってますね、お客さん。このままキュウソにつなげられたらいいと思います。次の曲のステップ、教えてあげて」と稲葉航大(Ba&Cho)に振り、彼がとても真似できない大ぶりのアクションを数パターン披露した上で、橋本がリード・ギターを弾き、佐久間公平(Gt&Cho)はシェイカーを振りながら“メサイアのビーチ”へ。間奏で佐久間、床に座り込んでエフェクターを手で操作、ノイズを響かせる。

続いては超どまんなか・超王道・超ギター・バンドなイントロから“しゃれこうべ しゃれこうべ”へ。橋本薫のやさぐれっぷりが切実さとメロウネスを帯びていく。メロディがぐっさりと残る、とてもいい曲だ。「2015年日本都市部型アノラック」とか、よくわからない形容をしたくなる。今ここに立っていることの喜びと感謝の念を伝えるMCに続く最後の曲は、“シンセミア”。「ああ一目見せてよ 君のシンセミア 盛り上がる以外の方法を 臆病な僕のわがままを」というサビが、CDよりもいっそう生々しく響いた。

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【SET LIST】
1.All my loving
2.ユアンと踊れ
3.Lost in the supermarket
4.メサイアのビーチ
5.しゃれこうべ しゃれこうべ
6.シンセミア

 

《キュウソネコカミ》
キュウソ

「交流と発展」をテーマに掲げた今年のUKFCは、UKP以外のバンドも大注目。いわゆる“交流戦”とも言うべきステージの2日目トップ・バッターは、昨年のメジャー・デビュー以来、人気急上昇中のキュウソネコカミだ。

まだステージに幕が降ろされた状態の「FRONTIER STAGE」で、本番前のサウンド・チェック中であるにも関わらず、ヤマサキセイヤはマイクを通して「ヤバいな、幕が開いて(観客が)全然おらんやったらどうしよう」と不安を口にしながら、“リハーサル”として「良いDJ」をハーフ・サイズで演奏。その最中に幕が上がり、既に超大盛り上がりの観客を目の当たりにすると、「よかったぁ。Twitterの前評判が、“何でお前らやねん!”みたいな反応が多くて、怖かったわぁ」と、ふと本音を漏らすと、その安堵感は、次第にエネルギーへと昇華していく。

結局、そのまま“本番”へとフェードインし、「ウィーワーインディーズバンド!!」でライブがスタート。すると曲の冒頭でヤマサキは、「オレら呼ばれたのは何でかって言ったら、BIGMAMAの金井王子に呼ばれたんですよ……金井王子に呼ばれて、断るわけないやろうがぁ!」と絶叫し、この曲で、UKPへの果たし状を叩きつけると、「MEGA SHAKE IT!」「ファントムヴァイブレーション」を立て続けに演奏し、フロアのテンションをMAXへと持ち上げていく。

続く「Scary song」では、途中で舞台袖に消えたヤマサキが、真っ赤なスパンコールのジャケットに着替えて登場し、演歌調の「伝統芸能」を歌い切ると、「キュウソのこと知ってる人でも、訳わからんわ(ヨコタシンノスケ)」、「わざわざ、今日やらんでもいいセットリスト(ヤマサキ)」と、笑いを誘う。これもまた、観客を楽しませるための、キュウソの“全力”なのだ。

そしてMCで、遊びにいった《SUMMER SONIC 2015》のthe telephonesの楽屋で、遠藤社長と初めて会った際のエピソードを披露。遠藤氏の娘さんがキュウソ・ファンで、「the telephonesが頑張って稼いだ金が社長さんに渡って、それが娘さんにいってキュウソのグッズを買って、オレらに(金が)渡ってくる! こんなつながりがあったとは。素晴らしいUKFC!」と、アイロニーとユーモアたっぷりのトークをぶちまける。もちろん、これもまた愛情表現の裏返しなのだ。

彼らのライブで名物のクラウドウォークを行った「DQNなりたい、40代で死にたい」を終えると、「最近のライブで、一番、足元が安定していた。そうやって、物理的にもアーティストを支えていって、ハッピーでポンコツな日々を過ごしましょう」と、キュウソは強烈な印象と大きな爪痕を残した。

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【SET LIST】
1.ウィーワーインディーズバンド!
2.MEGA SHAKE IT!
3.ファントムヴァイブレーション
4.Scary Song
5.伝統芸能
6.DQNなりたい、40代で死にたい
7.ハッピーポンコツ
8.ビビった

 

《odol》

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福岡の中学で同級生だったミゾベリョウ(Vo&g)と森山公稀(Piano)を中心に東京で結成、UKプロジェクトにデモを送ったのがきっかけで、今年5月20日に、バンド名を冠したファースト・アルバムを、UKプロジェクトからリリースしたばかりのodol。まだ平均年齢21歳という若さ。

まず、アルバムの頭3曲“あの頃”“飾りすぎていた”“ふたり”をそのまま立て続けに披露。後半は“欲しい”“17”“生活”をプレイした。という6つの曲名を見ただけで、何かもう、伝わってくるものがないだろうか。曲の輪郭を形作る森山公稀の鍵盤、それをゆがませたり引き裂いたりしていくような井上拓哉のノイジーなギター、その音にがしっと足をつけた上でどこまでも高く響いていく、独白のようであり、報告のようでもあり、手紙のようでもあり、散文詩のようでもある──つまり「ロック・バンドの歌詞ってだいたいこんな定形」みたいなセオリーにハナから従う気ゼロの、自由なミゾベリョウの歌。いずれもが、鳴り始めたと同時にその場の空気を一変させてしまうような、それまでいたのとは違う場所に一瞬にして連れて行ってしまうような、磁力なようなものに満ちている。踊れない。一緒に歌うこともできない。ただ、今ステージの上で起きていることをじっと観て、鳴っている音と声にひたすら耳を傾けるのみ。そして、その場を離れられなくなる。そんなライヴ。

「ありがとうございます。改めまして、odolというバンドです、よろしくお願いします。今日はこんなでかくて楽しいステージに立ててめっちゃ幸せです。あと2曲、心をこめて演奏して帰りたいと思います」というミゾベのちゃんとしたあいさつに、出している音とのギャップを感じたりもしたが、曲が始まるとまた一気にどこかに連れて行かれてしまう。その最後の2曲、“17”“生活”が、特に圧巻。日常的な、誰にでもわかる言葉で綴られているのに、すべての言葉が並んでメロディと演奏にのった途端にまったく違うものに化けていくような、とても不思議な体験だった。

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【SET LIST】
1.あの頃
2.飾りすぎていた
3.ふたり
4.欲しい
5.17
6.生活

 

《downy》

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この日のオープニングで挨拶を行った遠藤社長は、UKP所属外のバンドを選ぶ際、「素敵なバンドはいっぱいいるけど、誰がいいかと思って、まずBIGMAMAの金井に電話したら“キュウソがいい”、そして、the telephonesの石毛にも聞いたら“downyがいい”と。随分とディープにきたなぁと思ったけど、みなさん、ぜひdownyを観てください。初めての人は、ビックリすると思うから」と語ったように、ある意味で、今年の目玉キュレーションと呼ぶに相応しいバンドが、三番手として「FRONTIER STAGE」に登場したdownyだろう。
照明を使わずに、バンド自体を含めたステージ全体を巨大なスクリーンに見立て、鳥の群れが飛び立つモノクロ映像が映し出される中、「葵」の演奏が始まる。変則的なビートと歪んだギターにリバービーなボーカルが重なり、そのサウンドからは、激しくも静かな感情が溢れ出す。すると即座に、観客もその世界観に反応していく。
その後、ドラムとベース、キーボードがそれぞれに奏でるミニマルで硬質なフレーズが複雑に絡み合う「春と修羅」や、ミディアム・テンポに激しく歪んだギターが切り込んでくる「左の種」、映像による視覚的な刺激と、静と動がレイヤーを組んで押し寄せてくるサウンドが印象的だった「㬢ヲ見ヨ!」などを次々と披露。観客を煽ることもなく、むしろ自身の内面へと入り込むようにバンド・アンサンブルに没頭する4人だが、しかし、そのエネルギーは確実に外面へも強く放射されており、明らかに他のバンドとは次元の異なる熱量が、聴き手の五感に押し寄せてくる。轟音が轟いているにも関わらず感じてしまう静寂さ。このなんとも不思議な感覚こそが彼らの魅力であり、どこかサイケデリックで、エキセントリックさまでをも持ち合わせながら、とてもアーティスティックな絵画的なサウンドだ。

 

「お呼びいただき、ありがとうございました。では。」と、このステージ唯一のMCを挟んで、最後に演奏されたのは「猿の手柄」。メンバーの表情が分からないほど暗いステージから、叫びにも似たギターの強烈なフィードバック・サウンドでライブを締め括ると、大きな歓声と拍手が会場を覆い尽くした。冒頭で遠藤社長が、「UKFCは、知らないバンドに出会うチャンスでもある」と語った通り、downyの音楽は、まさに多くの観客にとって、そういった存在と成りえたはず。そして、その期待に十二分に応えてくれた圧巻のパフォーマンスだった。

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【SET LIST】
1.葵
2.春と修羅
3.時雨前
4.黒
5.左の種
6.㬢ヲ見ヨ!
7.弌
8.猿の手柄

 

《polly》

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今年6月3日、DAIZAWA RECORDSから初音源である6曲入りミニアルバム『青、時々、goodbye』をリリースした宇都宮出身の越雲龍馬(Vo&g)、飯村悠介(g)、刀川翼(b)、高岩栄紀(ds)の4人、polly。ステージに現れた越雲龍馬、しばし音を確かめるようにひとりでイントロを奏でてから、1曲目の“ナイトダイビング”を歌い始める。「曖昧にすごしていたい」「永遠に沈んでいたい」「感情を殺していたい」と変わっていくサビが耳にこびりついて離れなくなった、と思ったら、メドレー気味に“アンハッピーエンド”に突入。「アンハッピーエンドで終わるから」「アンハッピーエンド向かうのさ」「アンハッピーエンドで終わるなら」「アンハッピーエンドで終えるから」とかわいい声でくり返し歌う越雲龍馬。続いては、とりわけ美しいメロディを聴かせる “アマツブニアカ”。線は細いが、それぞれが何をやっているかがはっきりと聴き取れるバンド・サウンド、この曲の中盤で突然、土砂崩れを起こしたがごとく大爆発する。続いてリズムが速く激しく一変して“雨の魔法が解けるまで”。ラストは、ファルセットから始まる“知らない”。「誰か助けて ボクはこの場所で待ってる あしたの生き方を ボクは知らない」という歌詞が、ゆっくりと、ていねいに歌われ、ライヴは終わった。なお、越雲龍馬、“知らない”を歌う前に、PAに指示を出したあと、「ありがとう、pollyでした」と言った。何かMCらしきことを口にしたのは、ほぼそれくらいだった。

というステージからもよくわかるように、シンプルかつ繊細なギター・サウンドと、美しく耳にスッと寄り添ってくるメロディにのせて、それはもう、とても、もう大変に非生産的なことばかりを歌うバンドである。何も生み出さない。どこへも行き着かない。何かになろうともしていない。誰にもなんにも期待しない。なるべく無感情に、無表情に、すべてを受け流そうとする。ということを歌にしつつ、それでも、そんな中でも、どうしようもなく感情がわいてしまった、心が動いてしまった一瞬も、同時に切り取っていく──そんな5曲が、聴き手にぐっさりと残った。蒼い。でも、リアルだ。あと、メロディーメーカーとしての才能、相当なもんだと思う。

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【SET LIST】
1.ナイトダイビング
2.アンハッピーエンド
3.アマツブニアカ
4.雨の魔法が解けるまで
5.知らない

 

《ORANGE RANGE》

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UKPの主要バンドとほぼ同世代というORANGE RANGEが、いよいよ「FRONTIER STAGE」に初登場だ。 NAOTO、YOH、サポート・ドラマーが各自のポジションに着くと、次いでステージに姿を表したのは、RYO、HIROKI、YAMATOの3人。そして、NAOTOのギター・サウンドが頂点に達した瞬間、YAMATOが歌う「JIN JIN」で、パーティーが始まった。the telephonesの“唇サングラス”をかけたHIROKIは、ステージをところ狭しと動き周り、センターにどっしりと構えたRYOが、観客のテンションをヒートアップさせていく。UKFCが、一瞬にしてORANGE RANGEワールドへと早変わりしたかのようだった。

スペインのような暑い夏をイメージさせる「お願い! セニョリータ」が終わると、RYOの「見た感じ、みなさんパーティー好きが集まってますなぁ。ORANGE RANGEは、パーティー、祭り、負けないくらい大好きだけど、オレ達より、もっと盛り上がれるヤツ、どれだけいらっしゃいます? 今日は熱く盛り上がっていこうぜ!」というMCを合図に、「イケナイ太陽」のギター・リフが切り込んでき、ただでさえ暑い真夏の一日が、さらにヒートアップしていった。

するとHIROKIが、ここからはクールダウンだと言わんばかりに、「次の曲、花びらのように……」と語り、“あの”名曲を期待するフロアからは、大歓声が沸き起こる。が、HIROKIは続けて、「……散り行く中で……SUSHIに出逢えたキセキ…………SUSHI食べたい!」と絶叫。歓声と笑い声が入り乱れる中、NAOTOが叩くエレクトロニック・パーカッションのビートに乗って、「SUSHI食べたい feat.ソイソース」へと突入だ。YOHのベース・サウンドが、どんどんと重心が低くなっていくのと反比例するかのように、会場のテンションはどんどんアッパーになっていき、“フェス感”は加速度的に増長されていった。

こんな個性的なフェスを作り上げるUKPに対して、「“仲間”っていうイメージを強く持っていて。熱い人間が集まっているじゃないですか。パーティー野郎というか、みんなで一緒に楽しんでいこうというバンドがたくさんいる。だから、今日のORANGE RANGEのパフォーマンスをみなさんに見てもらって、来年はそのままUKPの一員として、また参加したいと思っています(笑)。」と観客を沸かせると、ここから先は、危険な無礼講タイムゾーンに突入。「Insane」「チェスト」といった“テッパン曲”が続き、ラストの「キリキリマイ」では、NAOTOとYOHを含めたメンバー全員がステージフロントに並ぶと、観客を大いに躍らせ、バンドの実力を余すところなく見せつけてくれた。

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【SET LIST】
1.JIN JIN
2.お願い! セニョリータ
3.イケナイ太陽
4.SUSHI食べたい feat.ソイソース
5.Insane
6.チェスト
7.キリキリマイ

 

《SPiCYSOL》

SPiCYSOL

サウンドチェックでステージに出てきて、セッティングが整ったと思ったら、「ORANGE RANGEすごかったね。ちょっと休憩しましょう」というKENNY(Vo&G)の言葉と共に、音出しを始めたSPiCYSOL。ダビーなバック・ビートを背にしっとりと歌い、続いてアッパーなファンキー・チューンがはじけるように始まり……と、サウンドチェックの段階で彼らのことを知らないオーディエンスにも「お、次のバンド、なんかすげえよさそう」という空気が広がる。音楽性としては、『UKFC』的には異端であるにもかかわらず、踊る奴はいるわ、演奏が止まると拍手が起こるわで、早くもホームなムードに。

「もうこのままいっちゃいましょう。日本を代表する夏バンドの次は、UKプロジェクトを代表する夏バンドです!」という宣言でスタート。1曲目は5月20日にRX-RECORDSからリリースしたデビューミニアルバム『To the C』のオープニングチューン、“AWAKE”。ワンコーラス目のサビからフロアの腕が挙がる挙がる挙がる。やはり、サウンドチェックのわずかな時間で相当お客さんをつかんだ模様。続いて四つ打ちの“Around The World”がスタートすると同時に、でっかいハンドクラップがフロアを包む。どキャッチーなサビにみんなさらにつかまれ、曲がエンディングを迎えると歓声と拍手が沸き起こる。

間髪入れずダブ・パターンの鍵盤(裏に入るやつね)が始まり、それに合わせて「みんなの声を聴かせてくれ」と「♪イェーイ」のコール&レスポンスを続けたあと、アッパーでちょっとせつないスカ・チューン“PABUK”へ。キーボードから離れ、ステージ前方で吹きまくるPETEのトランペットがどんどんフロアの温度を上げ、タオル高速回転状態に。次も一瞬も空けず“S.K.A”へ。休ませない、温度を下げない、試合巧者なステージング。タオル大回転に「♪オーオー」とシンガロングも加わる。

「楽しい初出場でした、サンキュー。最後の曲です、聴いてください」と始まったラストは『To the C』のラスト曲、“Hello Swallow”。後半、「一緒に歌ってくれ」というKENNYの呼びかけで、オーディエンスの声とPETEのトランペットがユニゾンで響く光景は、とても感動的だった。

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【SET LIST】
1.AWAKE
2.Around The World
3.PABUK
4.S.K.A
5.Hello Swallow

 

《BIGMAMA》

BIGMAMAアップ

「UKFC on the Road 2015」も、いよいよ終盤戦。満を持して登場するのは、2011年の第1回から皆勤を続けるBIGMAMAだ。真っ赤な照明の中、アコースティック・ギターの調べに重なり、ベートーヴェン「交響曲第九番」の“歓喜の歌”が荘厳に響くと、客席からは、自然発生的に手拍子が巻き起こる。それは、BIGMAMAの音楽を今や遅しと待ち望む心の声だ。

「まだまだいけるよね? もっといけるよね!」。金井政人の問いかけに、観客は大歓声でレスポンスすると、ドラムのリアド偉武は、まるでティンパニを叩くかのように、立ったままマレットでフロアタムを連打し、安井英人のベースが、しっかりとバンドのボトムを支える。そのアンサンブルの中を東出真緒のヴァイオリンが優雅に舞い、柿沼広也のギターがサウンドに彩りを加えていく。そこにアコースティック・ギターをかき鳴らす金井の歌が加わると、すぐさま会場全体が「No.9」の大合唱となった。

続けざまに、クラシック曲をモチーフにしたヴァイオリン・リフから、「荒狂曲“シンセカイ”」、そして「Swan Song」へと曲が続くと、フロアにはいくつものサークルが生まれ、ダイブの大渋滞注意報が発令される。待ちに待ったというファンのエネルギーが、大爆発を起こしている。それはステージ上も同じで、金井自身、「自分が今、ちょっと楽しすぎて、どうにかなってしまう」と興奮気味に語った。しかし、そんな楽しさの一方で、BIGMAMAにとって、今日、この日は、とても大切な一日でもあるのだ。

「どんなに楽しもうと思っても、心の中で忘れられないことがあります。すげぇ、寂しいことがあります。次にこのステージに立つバンドのことです。ずっと一緒に、隣のスタジオで闘ってきたアイツらのことです。次の曲、今日だけはthe telephonesのために歌おうと思います。みなさん、力を貸してください。タオルを挙げてください。僕らは、この景色を作って、いや、今日よりもっといい景色を作って、彼らの帰りをいつまでも待っていたいと思います」(金井)。

思いの丈がこもった金井のアコースティック・ギターと、柿沼がE-BOWが生み出すギターのまろやかで艶やかなロングトーン、そして観客が“彼ら”のためにタオルを高々と掲げたその光景が、「until the blouse is buttoned up」をいつも以上にドラマチックな音楽として、僕らに届けてくれた。その響きは、間違いなく、UKPファミリーの愛情と絆の証であり、「UKFC on the Road 2015」の、そして5回に渡るUKFCの、ひとつの大きなクライマックスであった。

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【SET LIST】
1.No.9
2.荒狂曲”シンセカイ”
3.Swan Song
4.神様も言う通りに
5.秘密
6.until the blouse is buttoned up
7.Mutopia

 

《ウソツキ》

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『FUTURE STAGE』2日間のトリは、去年に続き『UKFC』2度目の登場になるウソツキ。去年6月に出たミニアルバムが『金星人に恋をした。』、今年1月のミニアルバムが『新木場発、銀河鉄道は行く。』、そして10月7日にリリースを控えている初めてのフルアルバムが『スーパーリアリズム』──最後のはいいけど前のふたつに関してはいったいどういう感覚なんだと言いたくなるが、いざ聴いてしまうと、そのメロディの素敵さや、コーラスの美しさや、ギター・サウンドとのハマりのよさに、抗えなくなってしまう。

竹田昌和(Vo&g)、「僕とあなたの歌です」と、“ピースする”でスタート。ゆったりとしたシャッフルのリズムにのって、ひとことずつ、メロディのひとつずつを確かめるように歌っていく。歌詞に合わせ、歌の終わりでピースサインを掲げると、それに追随してフロアからもピースサインが挙がる。

「けっして嘘はつかないバンド、ウソツキです。今日は銀河鉄道に乗ってやって来ました。『UKFC』、まだまだ楽しみましょう」と“時空間旅行代理時計”へ。林山拓斗(Ds)と藤井浩太(b)が作る軽快な四つ打ちのビートといい、繊細で美しい吉田健二(g)のギターといい、それぞれ魅力にあふれているんだけど、やはりそれ以上に竹田昌和の輪郭がクリアなメロディに耳を奪われる。

『スーパーリアリズム』が出ることと、そのリリースツアーの東京公演を渋谷クラブクアトロで行うことを告げると「初めてダンス・ナンバーを作りました」と、『スーパーリアリズム』収録の “旗揚げ運動”を披露。タイトルどおり、「右手を上げて やっぱり右手は下げて」みたいな歌詞の、「どういうつもりなんだきみは」と問い質したくなる曲なんだけど、サビの高揚感、ハンパない。間髪入れず“春風と風鈴”へ。ループみたいなギターフレーズと歌メロが、時に近づいたり時に離れたりするさまが、とても耳に残る。

僕と一緒に夢を作ろう──という言葉のあとに始まった最後の曲は、昨年『UKFC』参加が決まった時に、そのステージで歌うために書いた“新木場発、銀河鉄道”。「また今日もお別れだね 銀河鉄道に乗って帰る さようならまた 逢いましょう 気をつけてどうか気をつけて」というサビに聴き入る人、一緒に歌う人、腕を挙げる人、ステージを見つめ続ける人──みんなさまざまに、ウソツキの歌を味わっていた。

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【SET LIST】
1.ピースする
2.時空間旅行代理時計
3.旗揚げ運動
4.春風と風鈴
5.新木場発、銀河鉄道

 

《the telephones》

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初日を含め、数々の素晴らしいアクトや、特別なパフォーマンスが繰り広げられたUKFCだが、この2日間のあらゆる出来事は、すべてが彼らのステージにつながっていたと言っても、決して過言ではないだろう。そして彼ら自身は、そのすべてをしっかりと受け止めていたに違いない。こうして、予定時刻を少し過ぎた21時11分、the telephonesの活動休止前のUKFCラスト・ライブが始まった。

ステージ後方中央に置かれたミラーボールが輝き、お馴染みのオープニング曲「happiness,happiness,happiness」が流れる中、カラーのウィッグを被った4人が登場。右手で作ったVサインを高々と挙げ、「特別な夜ですよ! 踊る準備はできていますか? Are You DISCO!!!」という石毛のシャウトが、「I Hate DISCOOOOOOO!!!」へのゴーサインだ。突き刺すようなギターリフに観客の手拍子が巻き起こると、エンディングで石毛は《I am DISCO!!!》を《I am UK.PROJECT!!》と叫んだ。それをきっかけに、彼らがUKP/DAIZAWA RECORDSからリリースした「RIOT!!!」「electric girl」(いずれもミニ・アルバム『Love&DISCO E.P.』収録)という、UKFCならではの、懐かしい楽曲たちが披露された。

そこからは、今年、FUJI ROCK FESTIVAL ’15、ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015、RISING SUN ROCK FESTIVAL 2015、SUMMER SONIC 2015という、名だたるフェスを制覇したthe telephonesらしく、盛上り必至の「Keep Your DISCO!!!」「Monkey Discooooooo」を連発。そして「Urban Disco」では、この大トリの座を譲ってくれたPOLYSICSハヤシをゲストに招いてのスペシャルなセッションが実現。石毛のギターを手にしたハヤシがイントロを弾くと、観客からは悲鳴に近い歓声が湧き上がり、石毛はその歓声の海に飛び込んだ。そして、the telephonesのことを書いた曲だと言う最新曲「Something Good」で本編が終了。

アンコールに応えて登場した石毛は、「若い頃は、レーベルとか事務所とかの人間が大嫌いで。だけどUKPに入って、いい人がいっぱいいるんだなと分かって、本当に感謝してます。みんなも行き詰まることがあると思うけど、きっと分かってくれる人がいると思うので、音楽を愛して、死ぬまで音楽を聴いて、いい人生を送ってください」とメッセージを送った。その一方で、ふと、「今日、初めて(活動休止の)実感が湧いてきた」と漏らした石毛。ただ彼らは、それをエネルギーに変換し、来る11月3日開催の「the telephones presents “Last Party ~We are DISCO!!!~”」へ向けて、この日、最高のスタートを切ったはずだ。

そして、その想いはラストの「Love&DISCO」にすべてが凝縮されていた。この時、フロアに巨大な風船が送り出されたのだが、それを運ぶのはスタッフではなく、この日の出演者たち。彼らの想いも、この曲に凝縮されていたのだ。ステージにいる4人はもちろん、みんなが笑顔で踊り、“愛”と“DISCO!!!”を叫んで、2日間に渡るスペシャルな宴が幕を閉じた。

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【SET LIST】
1.I Hate DISCOOOOOOO!!!
2.RIOT!!!
3.electric girl
4.Keep Your DISCO!!!
5.Monkey Discooooooo
7.Something Good
‪http://En1.Love ‬&DISCO

 

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※応募期間は終了致しました。たくさんのご応募ありがとうございました。

 

※ご提供いただきました個人情報は厳重に管理し、賞品の抽選、発送および当選者への連絡に使用します。また、提供者の同意なしに業務委託先以外の第三者に開示・提供することはございません(法令等により開示を求められた場合を除く)。

 

 

▶︎【UKP OFFICIAL LIVE REPORT】UKFC on the Road 2015 DAY-1@新木場STUDIO COAST  PHOTO GALLERY

▶︎【UKP OFFICIAL LIVE REPORT】UKFC on the Road 2015 DAY-2@新木場STUDIO COAST  PHOTO GALLERY

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