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【UKP OFFICIAL LIVE REPORT】ウソツキ ワンマンライブ「地獄のUSOTSUKANIGHT FEVER」2016.09.10@新代田FEVER

気に入っているバンドの進化の過程を見るのはいいものだ。そのバンドのファンにとって、それは大きな喜びでもある。この日、新代田FEVERに集まった人たちはみな、そのことを実感しながらライブを観ていたんじゃないだろうか(そう、もちろん僕もそのひとりだ)。

ウソツキのライブはどんどんよくなっている。バンドとして逞しくなっている。僕が彼らのライブを観るのは4月に行なった初のホール・ワンマン『劇場版USOTSUKANIGHT』以来5ヶ月振りだったのだが、その時と比べてもライブバンドとして明らかに成長している様が見て取れた。恐らくいくつかの夏フェス出演が大きかったのだろう。そのなかには「ROCK IN JAPAN FES.」のような日本最大級と言われる邦楽フェスもあったわけだが、そうした大舞台でのパフォーマンス経験がハッキリと血肉になり、同時に彼らの自信にもなっている。それがよくわかる今回のライブだった。

 

まず4人の演奏時の表情がいい。「今ここに立って演奏していることが楽しくて嬉しくてしょうがない」という表情なのだ。あるいは「みんなとこうして音楽で繋がっていることが本当に嬉しい」という表情とも言える。笑顔からはその喜びが、真剣な顔からは自信と思いの強さが伝わってきた。もちろんそれは4人それぞれの音の鳴りと、それが合わさったグルーブから、よりダイレクトに伝わってくるもの。フロントマンである竹田昌和はといえば、明らかに前より声が伸びやかになっていた。これもやはり夏フェス経験が大きくものを言っているのだろう。「もっと遠くに届けよう」、あるいは近くの人にも「もっとズバッと届けよう」、そういう思いが強くなったのかもしれない。

 

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「地獄の感情無限ロード」。ライブはこの曲で幕を開けた。それは7月に発表したミニアルバム『一生分のラブレター』に収録された1曲で、表題曲に負けず劣らずインパクトが強く、疾走感も持ち合わせたダンサブルなナンバー。実にライブ映えする曲であるのと同時に、たちまちピークに持っていけるくらいの強度を備えた曲でもあり、この日も開幕早々にして一気に場の温度が上昇した。「飛ばせ 常識の範囲で」と歌われる曲だが、初っ端から「常識の範囲」なんてぶっちぎって飛ばしていこうというような熱量だ。因みにメンバー登場時にたかれたスモークの量もまた常識の範囲外(笑)。ベースの藤井浩太はアンコールで出てきた際に「スモーク、たきすぎちゃって。僕は(前が)見えませんでした」と振り返ったほどだ。

 

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今回のライブのタイトルも、この開幕曲「地獄の感情無限ロード」から付けられた。『地獄のUSOTSUKANIGHT FEVER』。だから竹田は開幕早々、「今日は一緒に地獄へ落ちよう! 」と言い放ったり。「地獄へようこそ」と挨拶したり。無粋を承知で彼らの言う「地獄」の意味を換言するなら、「超絶」とか「最大限に振り切ってるぐらいの」とか、まあそんな感じだろうか。つまり“極限まで振り切った”USOTSUKANIGHT。“感情無限でつっ走る”USOTSUKANIGHT”。それを証明するかのように、ド頭の「地獄の感情無限ロード」から「ミライドライバー」ときて3曲目「ネガチブ」まで、これぞギター・ロックバンドと言うような高いテンションとスピード感で一気に畳みかけた。もう、いきなりマックスといった感じだ。ベースの藤井と共にギターの吉田健二も観客を煽るように一歩前に出て弾き、林山拓斗のドラムがまたそこにいる全員の血を躍らせる。勢いにのった竹田は「ジ・ゴ・ク! ジ・ゴ・ク!」と、観客に“地獄コール”を促したりも。そして大声で「ジ・ゴ・ク!」とコールする観客に対し、「いいですねー。いい地獄感が出てきましたねー」と嬉しそうに言い、さらに今度は三三七拍子で「ジ・ゴ・ク、ジ・ゴ・ク、ジ・ゴ・クで・フィー・バー」とやるのだった。また、4曲目「金星人に恋をした」を演奏したあとには「みなさん、あれですよね。普段、ウソついてますよね。いつもは会社や学校で抑圧されてウソついてると思うんですけど、でも今日はウソつかなくていいんですよ」とMC。そんな言葉は、ステージとフロアの距離をますます近いものにするのだった。

 

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胸に抱いた希望と不安を歌った「アオの木苺」(この曲名を竹田が言ったとき、一部の客からは「おおっ」という声があがった)、そして「恋学者」と続け、7曲目はスケール感を有する「君は宇宙」。音のダイナミズムが凄い。とりわけ後半の演奏部分の力強さに圧倒され、“ああ、やっぱりウソツキはロックバンドなのだなぁ”と改めて実感した。歌い終えて「地獄ですよ、ここは。いい意味でね」と、またもや“地獄感”を強調する竹田。そのぐらい濃密な空間を作り上げることができているという、それは満足感を言い表した言葉だったのだろう。

ここでライブは観客参加型のコーナーに。そう、ウソツキ流ダンスナンバーの「旗揚げ運動」だ。いつものようにギターの吉田がカラダを使って手本を示す。「右手・左手・両手。フリフリフリ・気をつけ・肩!」。観客全員が楽しそうに、曲に合わせて“それ”をやる。さらに会場が一体となったところで、疾走感を持つキラーチューン「水の中からソラ見てる」へと展開し、そのまま「Roll Roll Roll」へ。続いては切なさも含んだグッドメロディ・ソング「春風と風鈴」を。いつものことながら僕はこの曲を聴いて心の中でサビを歌いながら、なんだかちょっと鼻の奥のほうがツンとしてしまうのだった。

 

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ミニアルバム『一生分のラブレター』から「ボーイミーツガール」を演奏したあと、竹田はこんな話をした。「ずっとひとりぼっちで生きてきたんですけど、(今の)僕には仲間がいまして。こいつらなんですけど」。続けて「そしてまた仲間ができました。みなさんなんですけど」。さらに「もう絶対、(誰のことも)ひとりぼっちにはしたくないと思ってるんです」。そんな思いが次のバラード「ピースする」へと繋がっていく。この曲ではこう歌われる。「自分を信じて 目の前の僕を信じてくれよ」。つまりそういうことだ。そして曲の最後、観客が全員、ピースした手を高く挙げる。この日、竹田は両手でそれをしていた。

 

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ライブは終盤を迎え、スローで始まって一気に加速する「過去から届いた光の手紙」へ。竹田は観客ひとりひとりの顔を確かめるように見ながら歌う。「今、確かに通じ合っている」というそのことを確認するかのように。そして最新ミニアルバムの表題曲「一生分のラブレター」。MVは笑いの要素も含んだ楽しいものだが、仕掛けなしのナマ演奏によるこの曲はといえば実に力強い。「いつか自分が死んでもいいように一生分のラブレターを書きました」と竹田は曲の前に言っていたが、確かにそのくらいの熱が歌唱と演奏に込められていた。因みにこの日のライブはいつもより男性客が多いように感じられたのだが、あとでスタッフに聞いたところ、どうやらこの曲によって男性ファンが増えたよう。恋愛におけるワンス・アゲイン。何度でも。それは恋愛のみならず人生にも通じることで、そのあたりに共感した男性が多いのかもしれない。

ここで吉田が、ギターで汽笛の音を表現する。何度も何度も、いつもより長く、ジャガジャガジャガとかき鳴らす。そう、ライブ本編のラストの合図。「汽笛の音が聞こえてきてしまったので、僕らは帰ります」と竹田。「新木場発、銀河鉄道」だ。林山のパワフルなドラムの音に乗りながら、いい笑顔でグッと前に出ていく竹田と吉田と藤井。曲の後半ではそれぞれがソロを弾きもする。竹田は「ありがとう」を繰り返し、曲の終わりでギターを誇らしげに高く挙げた。

 

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アンコール。しばらくリラックスしたトーンの4人の会話が続く。「アンコールはね、言うたらオレんちですよ」と竹田。流れにドラマ性がある本編を終え、アンコールはそういうラフなモードで一緒に楽しもうと、そういうことのようだ。そんななか、吉田が竹田を見て言う。「ってか、ビックリしたんだけど、オレのギターじゃん、それ」。それに対して「今日、僕、2本も弦を切りまして」と、しれっと答える竹田であった。そして「いやー、終わりたくないんだよ」と言いながら「ハッピーエンドは来なくていい」。吉田のギターを気分よさそうに弾きながら歌った竹田は、改めて「今日は本当にどうもありがとうございました」と丁寧に挨拶し、そして「みんなで歌いませんか?」と観客に投げかけて最後の最後に軽やかな「ダル・セニョールの憂鬱」を。大きな声で一緒に歌う観客たち。ステージ上の4人はもちろん、この日の観客たちもまたとてもいい表情を見せていたのだった。

 

さて、「お客さんが4人くらいしかいなかったこともあった新代田FEVERをパンパンにする」というひとつの野望をこの日叶えたウソツキだが、もう既に次の野望を叶えるべく大股で歩き出している。DAIZAWA RECORDSの15周年記念ツアー<代沢まつり>も先頃始まったばかりだ(ファイナルは10月4日、渋谷クラブクアトロ)。1年後、2年後、3年後……、果たしてウソツキはどんなふうに進化を遂げ、どんなステージを見せるようになっているのか。まずは2017年、どんな動きを見せるのか。少し気が早いけど、早くもそのへんが楽しみになっている。
(文●内本順一/写真●山野浩司)

 

<set list>
1.地獄の感情無限ロード
2.ミライドライバー
3.ネガチブ
4.金星人に恋をした
5.アオの木苺
6.恋学者
7.君は宇宙
8.旗揚げ運動
9.水の中からソラ見てる
10.Roll Roll Roll
11.春風と風鈴
12.ボーイミーツガール
13.ピースする
14.過去から届いた光の手紙
15.一生分のラブレター
16.新木場発、銀河鉄道

en
17.ハッピーエンドは来なくていい
18.ダル・セニョールの憂鬱

 

ここに載せきれなかった写真を多数集めたフォトギャラリーも公開中!
是非ご覧ください!
http://ukproject.com/column/2016/09/11780/

<ウソツキ・プロフィール>
決して嘘はつかないバンド、ウソツキ。
2013年夏に現在の4人編成となり、東京を中心に活動している“王道うたものバンド”。
2014年6月、ミニアルバム「金星人に恋をした。」にてUK.PROJECTからデビュー。
2015年1月、2ndミニアルバム「新木場発、銀河鉄道は行く。」10月には1stフルアルバム「スーパーリアリズム」をリリース。
2016年も大型フェスや全国のサーキットイベント出演等、精力的にライブ活動を行っている。
2016年7月13日に新作『一生分のラブレター』リリース。

<ウソツキHP>
http://usotsukida.com

<ウソツキTwitter>
@usotsukida

 

<商品詳細>
UKDZ-0170_jacket
3rd Mini Album『一生分のラブレター』
発売日:2016年7月13日(水)
品番:UKDZ-0170
価格:¥1,500(+税)
レーベル:DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECT
<収録曲>
01.一生分のラブレター
02.ボーイミーツガール
03.恋学者
04.地獄の感情無限ロード
05.ハッピーエンドは来なくていい

 

<「一生分のラブレター」MV>

 

《LIVE SCHEDULE》
・10/14(金)札幌「No Maps presents Sapporo Neutral 2016」

<代沢まつり >
・9/22(木祝)大阪 LIVE SQUARE 2nd LINE
・9/23(金)愛知 APOLLO BASE
・10/4(火)東京 SHIBUYA CLUB QUATTRO
http://ukproject.com/daizawamatsuri/

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