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【UKP OFFICIAL LIVE REPORT】1/9(水)Zher the ZOO YOYOGI 「UNKNOWN WEDNESDAY YOYOGI #5」
1/9(水) Zher the ZOO YOYOGI
『UNKNOWN WEDNESDAY YOYOGI #5』
出演:CARTHIEFSCHOOL/nagisa
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毎月一回、水曜日にZher the ZOO YOYOGIにて、UK.PROJECTのスタッフがセレクトした次世代を担う若手バンドが集うライブイベント「UNKNOWN WEDNESDAY YOYOGI」の5回目が開催された。毎回、3組のアーティストとDJによるイベント。今回、DJはUK.PROJECTのスタッフがフロアを楽しませてくれた。
この日、出演を予定していたアイザックウシワカは、Vo/Gu.牛若丸のインフルエンザ感染により出演キャンセルを前日に発表。ギリギリまで待ったものの回復が見込めずで断念せざるを得なかったが、またの機会でリベンジしてほしい。
1バンド目、CARTHIEFSCHOOLは北海道・札幌から登場。
フロントの2人は裸足、ベーシストは上裸、それだけで汗臭いバンドと思わせながらも、ライブが進むに連れ、楽曲とサウンドのセンスの良さで逆にクールに感じられたほど。
ギターはジャキジャキと刻むひずんだ音から、リバーブやディレイを駆使した空間系や、サイケでトリッキーな効果音まで多彩なサウンドを聴かせる。
ベースは迫力ある動きと音圧に目と耳を奪われる。ドラムは時に変拍子も交え、スコーンと突き抜けるスネアの音が印象的。MCは口数少なくも「KAMIKAZE」や「蟹工船」など曲名にメッセージ性が感じられる。
その「蟹工船」でのアタックの強いベースが鼓膜をつんざく。続いて反復するベースラインとギターリフが気持ちいい「耳」。
ラップのようなポエトリー的なヴォーカルを聴かせた「兎角大宝」。最後の「約束」では絶叫とエフェクティヴなギターサウンドで、ライブ全編を通して楽曲の幅広さを見せつけた。今後が楽しみでしかないバンドと出会えた。
nagisaはポップであること、歌とバンド・サウンドを気持ちよく聴かせること、それらを無意識にできている、平均22歳の4ピース。
Vo/Gu.杉山の弾き語りにバンド・サウンドが重なるようにライブは始まった。続く「成れの果ての歌」で一気にたたき込む。サビのメロディが耳にこびりつく。
杉山が「あなたに会えてよかったという気持ちを込めて」とMCし「この街で」を披露。ドラムのやわらかいリズムに乗って、どこか牧歌的な空気感もある心地よさ。そんな側面を見せたあとに、「記憶の抜け殻」ではnagisa最大の魅力である“ポップネス”を花開かせる。
ラップ調の歌とメロディの融合が印象的な「absence」は、昨年リリースされた1stミニアルバム「ブルーライト中毒」から軸となる楽曲のひとつ。「踏切」や「さなぎ」では、ネガティヴで弱い自分を飾らずに歌う姿に心打たれる。最後は「背広と自由人」のエモーショナルな歌と演奏で締めくくった。ライブ中盤に、杉山が「皆さんにとってもいい1年になりますように、そう思って音楽をやりたい」と語った何気ないMCで、彼らの音楽がどこを向いているかを顕著に表している。nagisaの音楽がもっと多くの人に届くよう、さらなる飛躍を期待したい。
文:田代洋一(Zher the ZOO YOYOGI)